末法を染める

 

御堂の扉が開くと
高い梢を透かして
青空が見える

磨かれた浜縁に
落ち葉がひとひら
晴れた秋の日

吹き寄せる風は
強くもなく
弱くもなく
掃き清められた
板の間へと
森の香を運ぶ

風に乗る
精霊
陽光
鳥の声

私はただ
ここに佇んで
訪れるものを迎える

たとえば
艶やかな象牙色の顔に
煌やかな青い衣
手を合わせた人々が
想い描いた姿となって
私は存在する

祈り人の気持ちをいただいて
その色でこの世を染める日々

溢れんばかりの色で
世界を染め上げるまで
私はここに立ち続ける