季語:麦の秋(むぎのあき)

 

悲しびを吐いては麦の秋を吸ふ (かなしびをはいてはむぎのあきをすふ)


初夏の季語。

何かを失って悲しいとき
涙して
ため息して
気づけば
家にこもって
ずっと息を吐いている

肺がしぼんで
心がしぼんで
胸が痛いと
ひとりつぶやいていたけれど
やさしい人が届けてくれた
瑞々しい花の香をかぐと
少しだけ元気になり
外に出てみた

畑が金色に熟れる
麦の秋の候
空はすっかり晴れ上がり
その青さを深呼吸すると
心が少し膨らんだ