悲しびを吐いては麦の秋を吸ふ (かなしびをはいてはむぎのあきをすふ) 初夏の季語。何かを失って悲しいとき涙してため息して気づけば家にこもってずっと息を吐いている肺がしぼんで心がしぼんで胸が痛いとひとりつぶやいていたけれどやさしい人が届けてくれた瑞々しい花の香をかぐと少しだけ元気になり外に出てみた畑が金色に熟れる麦の秋の候空はすっかり晴れ上がりその青さを深呼吸すると心が少し膨らんだ悲しみについて