月明かりがなければその境目を知るすべがないミッドナイトブルーの空と海何もかもを隠して何かを|露《あらわ》にする夜寄せては引く波の音足裏の砂の感触熱帯植物の葉擦れ風が運ぶ海の香貝の|泡《あぶく》のつぶやき世界の中心にいるような世界の端っこにいるような宙に浮いているような宙に溺れているようなあらゆる色を|孕《はら》みながらすべてを隠してしまう黒に限りなく近い色世界の始まりのような世界の終りのようなミッドナイトブルーの夜にわたしは地球上で独りきりになる