眠りの扉

 

瞼の裏一面に広がったのは
液体酸素のような水色

刻々色が濃くなって
宮沢賢治がのぞいた
青ガラスの色

瑠璃色の光は燃えるリン
炎色反応が極まれば
いよいよ冴えて天藍(てんらん)に

白く光る青
青く光る白

燐光は思考回路を
幻惑して
なお衰えない

ライト・ブルーの氷河の奥へ

カプリ・ブルーの洞窟の奥へ

ラピスラズリの密林の奥へ

青を探索するうちに
眠りの扉があらわれる

その向こうには
新月の星月夜が
無限に広がっている

はずだ