季語:野分(のわき)

 

星々を研磨し過ぐる野分かなほしぼしをけんましすぐるのわきかな


仲秋の季語。

今なら台風と呼ばれる野分
台風が暴風雨なら野分は暴風
その呼び名からは野の草を分けるように吹くイメージが思い浮かぶ

源氏物語第28巻の巻名でもある
このとき、光源氏は36歳
季節でいえば秋のただ中
若くはないが老いてもいない
そんな季節に吹き荒れる野分

吹く前と吹いた後では景色が違って見えることだろう
野分が過ぎ去った後
無慈悲に折られ倒された野の草花を眺めれば心は沈む
けれども空を見上げると
いつになく輝く星たち
星と地上の間にあった空気が新しく入れ替わっかのたように光り出す
野分がくれた唯一の贈り物
かもしれない