オニノゲシを抜く

 

柑橘の鉢植えに
一本育ったオニノゲシ
雑草の生命力で
スルスルと茎が伸び
ギザギザの葉を茂らせた
可憐な黄色い花までつけた

それから
猛暑日が続いた

太陽の熱波との
せめぎ合いの中で
緑色が褪せてきたころ
白い冠毛の花を
たくさんつけた
命をつなぐために

それから
枯れかけのオニノゲシを
抜いた

朝夕の風が涼しくなったころ
近くの鉢植えに
オニノゲシの芽が
たくさん育ち始めた

わたしはしばらく眺めた後
ふた葉と小さな苗を
いくつか抜いた

雑草は抜かれるもの
生命力が強いから?

雑草は抜かれるもの
花がすぐに萎むから?

雑草は抜かれるもの
そう教わってきたから?

そんなことを思いながら
全ては抜かなかった