龍の風

 

寝室のカーテンの
向こうの窓を
大風が震わせる

あれは
闇に紛れて天翔ける
龍の風だ

ドラマチックな唱法で
鳴きながら翔けている

歓びでもない恐怖でもない
豊かな声で鳴いている

地上に繁茂する悲しみ
地上にもやだつ憎しみ

すべてを食らい尽くそうと
超音速の風となって
蛇行しながら闇を裂く

星は彼方へ飛ばされて
月は凍って白く固まった

そして私は眠りにつく

寒風に凍てつく夜
すべての生き物に
眠る場所があるのだろうか
そんな思いを地上に託して
龍は帰っていった
ブラックホールの
自らのねぐらへと