蝉時雨ときに天使の声まじり せみしぐれときにてんしのこえまじり
晩夏の季語。
まだ小学校に上がる前の頃だったか
ひととき田舎に住んだことがある
近くの雑木林で蝉が一斉に鳴きだすと
その音量は子どもの耳にはかなりものだった
そのせいか
外で用事をしている母のそばにいて
ふと蝉しぐれの世界に入り込むことがあった
聞いているうちに何かしらの旋律が浮かび上がってきて
わけのわからない言葉で合唱しているように聞こえはじめ
あれは天使たちに違いないなどと確信に変わり
小さな天使や妖精が飛んでいやしないかと
あたりを見回したりした
残念ながら見つけることはできなかったけれど
天使を探して心が弾んだことは
今でも記憶に残っている