新月の光

 

思索の小径を彷徨ううちに
言葉たちの迷宮が
新月の闇の中へと
わたしを誘い込む

ひとひら
またひとひらと
言葉は意味を脱いでゆき
最後に残されたのは
文字という形骸

あれはすべて幻だったのだ
異形の影が笑う

形すら残らない意味に
囚われていたのは心

心もまた
意味のない言葉

けれども

新月が隠しきれない
鮮青の光を
美しいと思っている
わたしがここにいる