白い龍を呼ぶ雨

 

雨に呼ばれて
白い龍が現れた

巨大なもののスピードで
層雲がゆったりと山を渡る

鈍色の空に溶けそうな
半透明の靄の中へ
鳥が迷い込む

やがて
連なる山峰を超え
雲は神に似た龍姿となった


山の端に日が沈むころ
神宿る龍体は
吸い込まれるように
雲散霧消していった

夢の記憶のように
余韻だけ残して
見えなくなった