筆を持たずに絵を描くのなら美しい対照を考えてみるほろ苦い闇にほの甘い|橙《だいだい》紫色の絹のやわ雲とソリッドな黄色い月淋しい兎の目は赤く温かな兎の毛は白くときに同系色天色(あまいろ)の空の下地平線へと続くラベンダー冬の枯茶(からちゃ)に潜む春の兆しの若葉色透明に溶けてゆく悲しみ陽光に溶けてゆく哀しみ最後に不穏なアクセントを少しばかり月がふたつ並んだ|逢魔時《おうまがとき》振り返ったオッドアイの黒猫影のない後姿の人々