詩を描く

 

筆を持たずに
絵を描くのなら
美しい対照を
考えてみる

ほろ苦い闇に
ほの甘い|橙《だいだい》

紫色の絹のやわ雲と
ソリッドな黄色い月

淋しい兎の目は赤く
温かな兎の毛は白く

ときに同系色

天色(あまいろ)の空の下
地平線へと続くラベンダー

冬の枯茶(からちゃ)に潜む
春の兆しの若葉色

透明に溶けてゆく悲しみ
陽光に溶けてゆく哀しみ

最後に
不穏なアクセントを
少しばかり

月がふたつ並んだ|逢魔時《おうまがとき》
振り返ったオッドアイの黒猫
影のない後姿の人々