ビーチカシータの
窓ガラスの向こうは
南国の熱帯植物群
ココナッツの葉群れが
強風に煽られて
前衛舞踏集団のように
身を捩（よじ）る

脅かすように
鼓舞するように
風が吹き荒れても
植物は動けない
サイクロンをまともに受けながら
根付いた場所に
忍耐強く踏み止まる

風と雨の狂騒曲が止むころ
空は本来の色を取り戻し
白波の消えた海と
静かに対峙する

植物群から頭ひとつ突き出た
ココナッツの木々は
何もなかったかのように
同じ場所に立っている

嵐をやり過ごす度に
枝葉は強さを増し
図太いしなやかさを
身につけてきたのだろう

そしてこれからも
ずっと