ひとりタンポポ

 

種をひとつだけ
ぶら下げた冠毛が
身を寄せ合っていた
丸い綿毛を離れて
高みへと旅立った

ひとりの身は軽く
高く高く上ってゆく

行けども行けども
しかし
青い空には届かない

白い雲を抜け
雪を抱く山の上まで
たどり着いても

空は青くなかった

とはいえ
地上から見れば

ゆうらり
ふんわり
青い空に溶けて
ひとりタンポポ

ゆうらり
ふんわり
青につつまれて
ひとりタンポポ