季語:鱈場蟹(たらばがに)

 

海の紫紺背負ひて揚がる鱈場蟹  うみのしこんせおひてあがるたらばがに


三冬の季語。

鱈場蟹が生息するのは水深 200~300m。
水深200m を越えると、どんなにきれいな海でもほとんど光が届かないという。

暗く冷てたい安息の地に
鱈場蟹は甲羅を深海の色に染めてひっそりと冬眠する。

一方、鱈場蟹漁は主に極寒の中、夜明けを待たずに行われる。
冬眠から覚めて回遊し始めた蟹の漁期は冬から早春。
深夜から早朝にかけての大仕事だ。

引き上げられた鱈場蟹は、太陽ではなく船の照明にさらされて
名残を惜しむかのように深い海の色に染まる。


FYI
ズワイガニの脚は10本、鱈場蟹は8本
…ズワイガニは「カニ」の一種であるのに対して鱈場蟹は「ヤドカリ」の一種である
という生物学上の違いによるもの。