たゆたう景色

 

寒い朝に生まれた無数の露は
冷たいガラスにフィルターをかけ
窓の向こう側に
いつもとは違う景色を描きだす

朝日は小さな光の玉となって
駐車場の車の窓々に宿り
徐々に高くなる地勢にはりついた家々は
どこかの白っぽい島を思わせる

結露の向こうに広がる空は
青い粒子の集まりのようにも見える

この世界は光の粒でできている
そんなふうに教えてくれる水滴群を
無意味な図形を描いて指で払うと
まどろんだような景色は
たちまち崩れ
幾筋にも流れる水の滴が
合流しては離れて落ちてゆく

そして
いつもの朝の景色が
幻のように姿を現わす