追憶の森深く降る雪のような光を手にとればかすかに煌めいてやがて温かくなりとけてゆくそしてほんのしばらく春になる春もまたとけてゆき手の平に|花弁《はなびら》の存在感のような重さだけが残る存在するものしないもの質量をもつものもたないもの記憶の花弁はやがて風にのり青い可視光線に満たされた空へと消えてゆく全ての存在を受け入れて天空で回り続ける地球のどこかに質量もなく目にも見えない追憶の森がある