
鰻焼く煙流れて花街へ うなぎやくけむりながれてはなまちへ
先斗町の川面の色や鰻食む ぽんとちょうのかわものいろやうなぎはむ
三夏の季語。
一見、かわいらしい舞妓さんは
厳しいしきたりの中、芸妓となるために見習い修行中
白塗りにささやかな思いを封じ込めて赤いおちょぼ口で笑う
多分、柔な女ではつとまらない花街稼業
京都にある五つの花街は
祇園甲部、宮川町、祇園東、先斗町(ぽんとちょう)、上七軒
八坂神社の門前の祇園東や鴨川沿いの納涼床で知られる先斗町などは
京都の主要観光地ともなっている
鴨川にはり出した納涼床
そこから見える夜景は
ちょうどいい塩梅(あんばい)の賑やかさだ
真っ暗な川面には
街のネオンが映り込んでいる
儚い花のように
揺れては消え
消えてはあらわれる
あの徒花(あだばな)は私なのだろうか
歌舞練場のお稽古で
叱られて少しだけ泣いた
けれども
メランコリーに沈むことはない
目の前には
ふっくらと香りよく焼き上がった
鰻のお弁当があるのだから