季語:楊梅(やまもも)

 

黄泉路より楊梅くはへ戻れかし よみじよりやまももくはへもどれかし


仲夏の季語。

ヤマモモの実は赤い。少し暗めの濃赤色(こきあかいろ)
鳥が好んで食べそうな実だ。

ヤマモモについて調べていると、イザナギ・イザナミの神話にたどり着いた。
イザナギが、火の神を産んで亡くなったイザナミのいる黄泉の国を訪ねるくだり。
美しい逢瀬があるのかと思いきや、恐ろしく変化してしまったイザナミに驚き、踵を返す。
魔物が追いかけてくるが、霊力のあるヤマモモを投げつけてイザナギはどうにか帰還する。

そこから、私の想像は広がった。

今まで何度か小鳥を飼い、時には寿命で、あるいは、逃がしてしまっていなくなったことがある。
そのときどき、喪失感に沈んでいた私のもとに、ヤマモモの実をお守りのようにくわえ、小鳥たちが
戻ってきたら、どんなにうれしかっただろう…
などと今の私は思ったりする。