Flower Report


7月の花}線と形を生かした花
(2008年7月18日 奈良新聞より転載)

 今回はフトイのまっすぐ上に伸び行く線に対して、ヘリコニアやグロリオーサなど形に特徴のある花を合わせたアレンジメントのご紹介です。シンプルな仕上がりですが力強いインパクトのある大きな作品になります。

 フトイはカヤツリグサ科で日本原産であり、湿地に生える大形多年草です。丸く細い茎がまっすぐ二メートルほどの伸び、節はなく葉も退化して目立たず、先端に小さな穂をつけているのが特徴です。品種に茎に白の横縞が入るシマフトイ、縦縞が入るタテジマフトイもあります。まっすぐな茎をそのまま生かしたり、茎を折り曲げたり、いろいろな構成に工夫することができるおもしろい花材です。

広めの器(写真は直径二十五センチ)に吸水性スポンジを全面にセットします。このとき器より高くならないようにまた隙間がないようにすると花材が生けやすく仕上がりもきれいです。

 フトイ十五本を垂直に生けていきます。丸い器ですから全体の形態は円柱になります。飾る場所に応じて高さは決めますが上に向かってのびのびと生けましょう。上部でわずかに高さに変化をつけ、それぞれの茎が平行になるようにします。また茎と茎の間隔が等間隔にならないように、花を入れる空間を考えながら入れることもポイントです。

 次にヘリコニア、グロリオーサを生けていきます。両方とも南国が原産で鮮明な色と特異な形が美しいのが特徴です。フトイの静的な線に対して、動的な印象があります。下方の茎はフトイと平行になるようにして上部で花をフトイの線と対比するように入れます。

 花材は三種と少ないですが大きく存在感のある作品になります。フトイをまっすぐに入れるのが少し難しいかも知れませんがここできれいに入ることが大事です。

暑いこの時期は今回のように南国産の花を使うと長く楽しめますが、線的な花材のデルフィニウムや花の姿の美しいバラ、和花ではキキョウなどと合わせてもいいでしょう。

形と線、動的なものと静的なもの、のように対比を強調したアレンジメントはいつもと違った花の趣が楽しめます。暑い夏はすっきりとシャープに花を生けてみるのもいいでしょう。

(使用花材)フトイ、ヘリコニア(黄色)、グロリオーサ(赤)

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