Flower Report


{8月の花}ガラス器に花を飾る
(2008年8月21日 奈良新聞より転載)

 暑い夏に花を飾るのは少し工夫が必要です。気温が高くて花が長持ちしないからです。でも室内に花を飾ると少し気持ちも安らぎますよね。そこで今回は猛暑でも花を楽しむコツをお教えしましょう。

 まず器は透明で清涼感のあるガラス器がおすすめです。写真では青に白の模様の入ったコンポートを使用しています。どんな形でもいいのですが水や吸水性スポンジを入れて花を生けた後でもぐらつかない安定感のあるものを選びましょう。
 また大きな花は茎をあまり長く使用せず花の数も減らし、それぞれの花に水が充分行き渡るようにします。空間を出したいときは軽い小花を長く使用したり、暑さにも強いモンステラやクッカバラなど形のおもしろい葉、またリリーグラスや利休草など線を行かせる花材を選んだりするといいでしょう。

 写真では器に吸水性スポンジをセットし、花は夏の代表的な花ヒマワリを器の右寄りに低く生けています。このヒマワリは八重で鮮やかな黄色がまぶしいのが特徴です。そこから光を放つかのようにウイキョウを数本生けています。ウイキョウはセリ科の植物で別名をフェンネルと言い、ヨーロッパ原産の多年草です。ハーブとしても知られ草全体に独特の香りがあります。枝先に放射状に小さな黄色い花をたくさんつけ夏の風物詩花火を連想させる花でもあります。

 空間にはモンステラ、クッカバラをその形のおもしろさがはっきり見えるように向きを考えて入れていきます。そして彩として白い八重のトルコキキョウ、グレーがかったうすい青のルリ玉アザミ、白い小花がかわいいマトリカリアを数本ずつヒマワリの周りに入れます。黄色を基調にきらきら輝く夏の光を表現した作品です。

気温が高いと器の水が腐敗して濁りやすくなります。これは茎の切り口から出される有機物がバクテリアを発生させるからです。器に水のみを入れているときは一日一回水を替え、茎を数センチ切り戻しましょう。吸水性スポンジを使用した場合はこまめに水を補充することが大切です。また切花専用の延命剤を水に入れると数日間水を替える必要がないのでおすすめです。

今回使用したヒマワリ、ガーベラなど茎に産毛のような毛のあるものは水が特に腐りやすいため深水にしないほうがいいでしょう。
花を飾るときは直射日光を避け、植物を乾燥させないようにエアコンの風が当たらないところに置きましょう。

少しの手入れ、注意で夏の切花も美しく咲きます。愛情を込めてかわいがってあげましょう。

(使用花材)八重のヒマワリ(黄)、ウイキョウ(黄)、八重のトルコキキョウ(白)、マトリカリア(白)、ルリ玉アザミ(薄い青)、モンステラ、クッカバラ

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