"SWING ADDICTION"
<REPORT-PART.3>
by 田家秀樹
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"SWING ADDICTIONに遊びに来てくれた皆さん、ありがとうございます。ついにこ
の日がやってきました。氷室さんを支えてきてくれたファンの方々にも、しっかりと受け
継いだ血を是非とも感じて欲しい。GLAYを支えてきてくれたみんなには、俺たちはこ
んなに素敵な人とここに立っているんだということをしっかりと見て欲しい。"
"GLAYとして最高のライブを見せられると思うんで、初めてGLAYを見る方、これが
GLAYと思って受け止めてください"
8月5日、「ROCK'N'ROLL SWINDLE」「誘惑」を終えたGLAYのTERUは、晴れ
やかな表情でそう言った。
登場からすでにこれまでに見ていたGLAYと何かが違っていた。軽やかで誇らしげ。
気負いもなく清々しい。きっとそんな表情は、高校の卒業式などでも見せなかったので
はないだろうか。「真面目に音楽をやっているといいことがある」「長く音楽をやってい
て良かった」。このプロジェクトについて、彼らが何度となく口にしているそんな言葉が
、そのまま表れていた。
すでにセットリストは目にしているのだと思う。「ROCK'N'ROLL SWINDLE」から
「ACID HEAD」まで。一日目と二日目で、「彼女の"Modern・・・"」が「ピーク果てし
なくソウル限りなく」に変わった以外は二日とも同じ曲目の10曲。氷室京介から「受け
継いだ」ビートの血がほとばしるアップテンポなロックンロールからGLAYならではのヒ
ューマンないとおしさに溢れたバラード。一曲ごとに客席から起こったどよめきこそ、こ
の日の選曲が持っていた凝縮感の表れだっただろう。息もつかせぬダイナミックなス
ピード感と、それでいて心地よく揺れるビート。氷室京介が絶賛したJIROのプレイは一
段とたくましさを増し、HISASHIとTAKUROのフレーズが夜空を駆け上ってゆく。全
身がビートになったようなJIROのアクションとマジシャンのようにターンするHISASHI
のステップ、そして花道を全力で疾走し、ギターに口づけをするTAKUROのシャープ
なシルエット。メンバー全員の持ち味が見せ所となって展開するバンドならではのステ
ージ。味の素スタジアムのステージ一杯を使った躍動感に満ちたパフォーマンスは、
GLAYの真骨頂だった。
選び抜かれた選曲。それは、BOΦWYとも違うGLAYに流れる"8ビートの血"を証
明するというだけではなかったと思う。それぞれの曲に流れている"夢"と"出逢い"。
「SOUL LOVE」や「LAYLA」、そして「BEAUTIFUL DREAMER」。そこに込めら
れていることこそが、このプロジェクトでの彼らの「ANSWER」だったように思った。
TERUのボーカルは曲を重ねるごとに集中力を増していった。遙か遠くを見つめる
ような視線には、透明な光が宿ってゆくようで、喉が破れても構わないと決めたような
シャウトは空を切り裂いていった。でも、この日、印象的だったのは、モニターに足をか
けて歌っている時の彼の笑顔ではなかっただろうか。それが何を指していたか、
GLAYファンは、その後に登場した氷室京介のステージで気づいたに違いなかった。
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