new maxi single
<ｵﾌｨｼｬﾙ･ｲﾝﾀﾋﾞｭｰ>
by 田家秀樹
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氷室｢あの日の選曲については､比較的新しい曲､最近の曲､ここ何年かでやってきた曲でやろうと思ったんですね｡普通､ﾋｯﾄ曲のｵﾝﾊﾟﾚｰﾄﾞにした方が知らない人には説得力があると思うんですけど､それよりも最近の自分､俺が今考えていることがどう受け入れられるかという方に興味があった｡かなり冒険的な気分ではあったんですよ､最初から｡二日間とも今までずっとやっていた｢ANGEL｣を外しましたけど､いつかどこかのﾀｲﾐﾝｸﾞでそういう時が来るとも思っていて､｢WILD ROMANCE｣を持ってきて不自然じゃないｼﾁｭｴｰｼｮﾝはどこだろうというのと､あの曲がどう響くかということもあって｡そういう意味でも実験的でしたね｣
｢SWEET REVOLUTION｣は､今､彼がやろうとしている8ﾋﾞｰﾄの代表曲になるのではないだろうか｡爽快なﾄﾞﾗｲﾌﾞ感とｽﾘﾙ｡それも単に心地よいだけのｽﾄﾚｰﾄさに終わらない演奏の危険さ｡ﾜｲﾙﾄﾞに揺れるﾋﾞｰﾄの中を疾走するﾎﾞｰｶﾙは､彼にしか歌えないｽﾋﾟｰﾄﾞ感に満ちている｡
氷室｢ﾒﾛﾃﾞｨはｸﾗｼｶﾙなんですけど､ｺｰﾄﾞ進行はちょっと変わったりしてますね｡俺の中では同じﾋﾞｰﾄ系でも､ﾆﾙｳﾞｧｰﾅ以降というのが大前提としてあるんですよ｡ﾋﾟｽﾄﾙｽﾞがあってﾆｭｰｳｪｲﾌﾞがあって､ﾍﾋﾞﾒﾀは関係ないんですけど､その後にﾆﾙﾊﾞｰﾅでｶﾞﾗｯと変わったじゃないですか｡やっぱりそれ以降をやりたいんですよ｡例えば､ﾆｭｰｳｪｲﾌﾞだった頃の美学というのは､ｸﾘｯｸに沿っていかにﾀｲﾄに出来るかと言うことで､その当時にそれをやったのがBOOWYだったわけで｡それはもうやり尽くしてるんですよ｡それ以降の､いかにｸﾞﾘｯﾄﾞからずれていて､その中で行っちゃいけないｺｰﾄﾞに行って､しかもﾎﾟｯﾌﾟというのがﾃｰﾏなんです｡｢SWEET REVOLUTION｣もそういう曲ですよね｡今､BOOWYみたいなﾊﾞﾝﾄﾞが出てきても堅すぎて多分評価されないでしょうね｣
氷室京介が今やろうとしていること｡それがこれだけ端的に表れている言葉は珍しいのではないだろうか｡時代とﾋﾞｰﾄ｡｢SWEET REVOLUTION｣は､そういう意味でも彼の現在形を象徴している曲だろう｡同時にｶｯﾌﾟﾘﾝｸﾞの｢IN THE NUDE〜Even not in the mood〜｣は､"行っては行けないｺｰﾄﾞ"のﾎﾟｯﾌﾟｾﾝｽの代表曲だ｡
氷室｢そうですね｡それでいてしつこくﾙｰﾌﾟされる｡こっちのｴﾝｼﾞﾆｱなんかはこっちがｼﾝｸﾞﾙじゃないかって言ってくれますね｡あれが今､一番ﾓﾀﾞﾝなｽﾀｲﾙなんですよね｡ﾀｲﾄﾙも英語圏の人にとっては二曲とも聞き慣れない響きみたいですね｡"REVOLUTION"は"SWEET"じゃないんでしょう(笑)｡守りに入らないで愛に向かって突っ走ろう｡その一線を越えて､向こう側に行ってしまおう､それがﾚﾎﾞﾘｭｰｼｮﾝだというようなｲﾒｰｼﾞですね｡｢IN THE NUDE｣も､それだけだとちょっと変なんで､ｻﾌﾞﾀｲﾄﾙをつけました｣
待望の新曲｡2006年の氷室京介は､これまでとは違うﾓﾁﾍﾞｰｼｮﾝの中にいる｡｢SWEET REVOLUTION/IN THE NUDE〜Even not in the mood〜｣は､その序章であり期待感に満ちた予告編である｡この先に､更に大きな動きが待っていることは間違いなさそうだ｡
[text by 田家秀樹]