PAR AVION
 FC発足前にCD屋さんなどで配られていたフリーペーパー。創刊準備号からVol.9(間にSpecial issueを含む)そして1996SUMMER(「風にきえないで」発売時)と
 「虹」発売時の臨時増刊号からなる。ちなみに「PAR AVION」とは「航空便」の意である。

>>Par Avion vol.2
 長年、変わった人間に対する研究を続けているhyde教授。これは、そんな彼の観察眼が遺憾なく発揮された、ある人間達の記録である。

人類学の権威、hyde教授のhyde eye(観察記)その1/sakura

私はこれまで、人類としての人生を歩んでいるうちに、実にユニークな人間が何人かいることに気がついた。私の研究はその時から始まったのである。
それは人類の生命の神秘であり、宇宙の果てのような、いつまでも解けない謎であるのだが、この研究の記録を誰かに知ってもらいたいと願い、ここに
記すことにする。現在、私が最も気になっている猿…いや、人間はsakuraである。最初、彼に会った時に驚いたのは「四角より丸がいい!」と、ワケのわ
からない奇声を発したことである。しかし、そんな出来事は、彼のユーモラスな性質のごく一部だ。他の例をあげるとしよう。特筆すべきは、彼の食欲で
ある。通常”よく食べるな”という人間の、約20倍と想像してもらって結構だろう。私は彼が食事をするのを見て、鳥肌が立つのを覚えた。それは、蛇が
自分の体より大きな獲物を口にする姿そのものだったからである。最近は「胃が痛い。ものが食べられない」と言っていたが、それも先日、虚言だとわか
った。私は彼と、札幌を旅したのだが、彼はちゃんこ鍋を鬼のように食い、酒を飲み、その後、何とジンギスカンをたいらげてしまったのである!それともう
ひとつ。皆さんの中には、お気づきの方も多いと思うが、彼は実に瞬きをしない男だ。彼は無意識のなのだが、こちらが密かに、彼に負けぬように目を見
開いていても、彼に勝つことはできない。獲物を狙っているハゲタカ…そんな表現がピッタリなのである。私はここで、ある実験をしてみた。彼が酔っている
時、彼の頬を指でつついてみたのである。すると「何?」という反応。次に彼の額を叩いてみた。すると「何よ!」と言って、私に危害を加えようとしたのであ
る!私はその攻撃をかわし、その場は逃げきった。私も命がけである。さて、皆さんも私のこの実験を参考に、友達の反応を調べてきたらいかがだろうか?
その友人とsakuraを見比べるのも面白いかもしれない。私の、sakuraへの興味はつきないが、今回はこの辺でペンを置くことにしよう。それでは、また…。
hydeでした。

 

>>Par Avion vol.3
 人間観察の権威、hyde教授。今回もテーマはsakuraだっ!

hyde教授のhyde eye(観察記)その2/またもsakura

前回のPAR AVIONでsakuraに関する研究発表をしたところ、かなりの反響があった。そうなのだ。この男は実に興味深い。したがって今回、彼の性格の
奥深いところを、さらに掘り下げてみたいと思う。彼は……抜けている。どういうことかと言うと、実によく物を壊し、こぼし、そして倒す。最初のうちは「大丈
夫?」などと周囲も気を使っていたが、近頃では無視するのみだ。どこかで、ドンガラガッシャーンという音がすれば、それは間違いなくsakuraによる騒音な
のだ。それでいて、楽器に関する事は以上に神経質である。服にタバコの灰が落ちようが、飲み物が垂れようが、全く気にしないくせに、ライブ時に私がド
ラム・セットに足を乗せようものなら「ドラムをアシゲにするな!」と、怒るのだ。楽器への愛着は相当である。昨年モロッコに行った折にも、あらゆる民族楽
器を購入していたが、自らあやまって楽器を壊してしまった。それはビデオの撮影でも使ったが、どうせなら完全に壊してしまおう、ということになった。その
後、粉々になった楽器を集めた彼は、次にその楽器のための墓を作り始めた。石を積み上げた墓に、私は冗談のつもりで石を放ったのだが、彼は本気で
怒り出したのである。それにひるんだ私は石を投げるのを止めた。だがマネージャーは、sakuraの剣幕に気づかずに石を投げ続けた。不運なことに、近くに
いた現地の子供達までが、マネをして石を投げ始めた。仕方なくsakuraは諦めたのであるが、それだけ楽器に対する愛情が深いということなのだろう。純粋
であり、大人の皮をかぶった子供……それこそ、彼の本質なのではなかろうか。そんな部分を大切にしているヤツなのかもしれない。

 

>>Par Avion vol.4
 人間観察の権威、hyde教授。今回はtetsuの登場です。

hyde教授のhyde eye(観察記)その3/tetsu

彼について考えた時、まず神経質であるということが浮かび上がる。とにかく全てにおいて神経質であると言ってよいだろう。身の回りが整然としていないと、
気分も悪くなってしまうようだ。ライブ会場の楽屋が散らかっていようものなら「こんなに汚くして!」と怒りながら片付け始める。マメである。地方で泊まるホテ
ルにも敏感だ。霊が出そうな雰囲気に脅えることもしばしばである。ビデオ撮影でモロッコに行った時も、ホテルでの霊の話題に恐怖を覚えていた。そしてそ
んな時、彼が頼るのはsakuraである。前回と前々回、sakuraについて散々なことを述べたが、実は彼に頼れる一面があるということも付け加えておく。tetsuは
メンバーの中で、一番のロマンチストでもある。仕種が女性的というのではない。繊細なのだ。彼の書く字もかわいらしい。これはサインを見ていただければ、
その片鱗が確認できるだろう。一方で、バンドのデータを電子手帳のように記憶している。細かい年月日は言うに及ばずだ。しかし、その電子手帳な男も、元
気な時とダークな時の差が激しい一面を持つ。繊細で高い記憶力に恵まれながらも、非常に複雑な人間……それがtetsuである。彼とのつきあいは長いが、
いまだにその性格は把握できない。さて、色々話してきたが、このくらいにしておこう。ここでは言えない話もあるが、これ以上暴露すると私が抹殺(?)されて
しまいそうだから……。

 

>>Par Avion vol.5

hyde教授のhyde eye(観察記)その4/ken

彼をわかりやすく説明すると、人なつっこい雑種の犬のようである。どこかに庶民的な香りがするのだ。日頃は、かなりオチャラケた面を見せているが、実は非
常に気を使っている男でもある。例えば、彼は1ヶ月に1回は風邪をひく特異な(?)体質なのであるが、風邪をひいている時は、ボーカルである私の側には近
寄ってこない。「最近、寄ってこないな」と思うと、彼はしっかり風邪をひいているというワケなのだ。”風邪を伝染してはいけない”という心使いがありがたい。もう
ひとつの特徴は、彼は気持ちいいことに対する追究心が人一倍強いということであろう。私の場合、気持ちいいことがあっても、あ、気持ちいいな、で終わってし
まうのだが、彼はそうではない。”他にもっとスゴイ快楽はないのか!?”と考えるらしい。音楽に対する研究心も並ではなく、また、リズムにもなかなかうるさい
ところがある。「こういうリズムは気持ちいい」とか、常に模索しているようだ。彼によって、メンバー自身が音楽の気持ちよさに目覚めたようなものである。次は
ファンの方々がまたラルクを通して、その気持ちよさを体験してくれれば……そう願ってやまない。ところで、快楽を追い求めるkenちゃんが一番ハイな状態にな
るのは、まわりに同様の波長を持ったハイな人物がいた場合だ。そんな時、相乗効果となってハンパじゃないパワーが発散される。特に下ネタになった場合には
完璧である。おもむろに声のトーンが上がってしまう(情ない)。ちなみにバンド内ではsakuraと。ソレ系の話題で盛り上がっている。そこまで快楽を追究しても、彼
には手の出せないものがある。酒とタバコだ。酒によって気持ちがよくなるという感覚を彼自身も味わってみたいようだが、飲んだら最後、アレルギー症状が出る
ばかりか、気分まで悪くなってしまうらしい。だいたいいつもカシス系でしのいでいるのが実情のようだ。しかし、本当のところは我々が酒を飲んで、それで初めて
kenちゃんのノリについていけるほど、彼はナチュラル・ハイなヤツなのである。普通の状態が酔っているようなものだ。それだけ純粋と言えるかもしれない……か?
そんな子供の心を持ちつつも、彼の快楽追究の旅はまだまだ続いていくのである。
(*おまけ―ここで参考までにバンドを家族にたとえてみると、kenちゃんは間違いなく子供である。tetsuは母親、sakuraが父親、そして私は……おじいちゃん、
なのだろうか?)