用語 |
説明 |
オミクス (omics) |
★ゲノミクス(genomics):生物の全遺伝情報を含有するゲノムを解析する学問分野(ゲノム科学)
★トランスクリプトミクス(transcriptomics):ゲノム情報から遺伝子情報が転写された転写物(トランスクリプト)を網羅的に調べる学問分野
★プロテオミクス(proteomics):全タンパク質を網羅的に調べる(プロテオーム解析)学問分野
★メタボロミクス(metabolomics):細胞内の代謝物を網羅的に解析する(メタボローム解析)学問分野
このような解析を行う学問分野は語尾にオミクスと付くことが多いので、これらを総称した学問をオミクス(オミックス)と呼ぶそうです。
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クラリスロマイシン (Clarithromycin) |
肺炎などの感染症に使用されるマクロライド系抗生物質で、骨髄腫治療はステロイドの効果を高めるとしてデキサメタゾンとの併用療法が検討されています。BiRD療法(バイアキシン+レナリドミド+デキサメタゾン)の論文[PMID: 17989313]では、「クラリスロマイシンは、特定のコルチコステロイドと併用すると、ステロイドのAUC(area under the curve:濃度曲線下面積)と最高血中濃度を高めることによって、グルココルチコイドの薬理効果を最適化すると考えられる。クラリスロマイシには、免疫調節剤としての特徴もあり、特にIL-6などの炎症性サイトカインを抑制する。さらに、直接的な抗腫瘍効果も認められている。」と記載されています。 |
オリゴクローナルバンド (oligoclonal banding) |
髄液の電気泳動像で、γ分画に2本以上のシャープなバンドが見られること。一般に脱髄性疾患(多発性硬化症など)、中枢神経系感染症(ウイルス性脳炎、急性無菌性髄膜炎、神経梅毒、急性特発性多発神経炎、視神経炎、亜急性硬化性全脳炎、ギランバレー症候群など)で検出される。骨髄腫では、自家移植後の回復期に見られることが知られていたが、BiRD療法でもASIP(atypical serum immunofixation patterns:非定型血清固定法像)として33%に確認され、これが見られた患者では奏効率(100% 対 85%)やCR率(71% 対 23%)が高かったと報告されています[PMID: 18950461]。 |
p値 |
臨床試験結果で、有意差を表すのによくp値が用いられています。これは、ある要因(例えばサリドマイド)が何らかの結果(例えば、M蛋白等)に影響を与えるかどうかを推測する際に、まずその要因による差はないという仮説(帰無仮説)を立てたのち、結果に差がないという前提のもとで確率分布を当てはめ、今回得られた結果が生じる確率(p:probability)を算出したものです。これが一定の値未満(通常は5%未満、p<0.05)であれば(つまり、同様の結果は100回の試行で最大でも5回しか生じない稀な結果である)、「差がない」と仮定したことが間違っていて、その要因が有意に影響しているとして、帰無仮説を棄却し「有意差がある」と判定します。しかし、100回の試行で5回は本来差がないにもかかわらず差があると誤って判定してしまう危険性も意味しており、「危険率」と呼ばれることもあります。注意すべきことは、p値の大小は、その要因の大小を示すものではないことで、統計学的な検定とは、母集団に対して有意な差があるといえるか否かという二者択一の選択を行うものです。つまり、結果がp<0.05、p<0.01、p<0.001のいずれであっても「有意差がある」と言えるだけです。ただし、pが小さいほど差があるという信頼性は高くなります。 |
ランドマーク解析 |
経過観察中のある時点(landmark time)までにイベントが発生したかどうかにより対象症例を郡分けし、その時点から生存曲線を描く方法をlandmark法といいます。
(参考:Anderson JR;J Clin Oncol 1,710-719(1983)) |
ITT解析とPPB解析 |
Intention to treat analysisを略で、無作為化後であれば逸脱者があっても、治療しようとした全例を解析対象とするもので、「包括解析」とも呼ばれます。それに対して実際に治療を受けた人だけを対象に解析するものをPPB(Per Protocol Based)解析(治験実施計画書に合致した解析)と呼びます。
→ ITT解析の解説 |
CTCAE v3.0 |
米NCIの有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events )で、日本語訳が日本臨床腫瘍学グループ(JCOG)で公開されています。副作用のグレードを知る上で有用です。
→ CTCAE v3.0 日本語訳[PDF]
→ CTCAE v3.0 解説と指針v1.0[PDF] その他に、NCI共通毒性規準(CTC)というものもあります。
→ NCI-CTC日本語訳v3.0[PDF]
有害事象のグレード
- Grade 0
- 正常
有害事象が観察されない、または検査値が正常範囲
- Grade 1
- 軽度の有害事象
軽度;治療を要さない;症状がない画像所見異常/検査値異常
- Grade 2
- 中等度の有害事象
最低限の治療/局所的治療/非侵襲的治療を要する
- Grade 3
- 高度の有害事象
入院や侵襲的治療/IVR/輸血/治療的内視鏡/手術などを要する顕著な症状を有する
- Grade 4
- 生命を脅かす、または活動不能/動作不能となる有害事象
急性で生命を脅かす代謝性/心血管系の合併症など。集中治療や緊急処置(緊急IVR/治療的内視鏡/手術など)を要する。
- Grade 5
- 有害事象による死亡
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ヘルシンキ宣言 |
世界医師会(WMA)のヒトを対象とする医学研究に関わる医師、その他の関係者に対する指針を示す倫理的原則(WORLD MEDICAL ASSOCIATION DECLARATION OF HELSINKI Ethical Principles for Medical Research Involving Human Subjects)で、医療関係者のバイブルです。
→ 日本医師会(英文/日本語訳) |
体表面積 |
投薬量が体表面積当たりの用量が示されている場合がありますが、一般的には身長と体重から下記の「Du Bois の式」で求めることができます。
体表面積(m2)=体重(kg)^0.425×身長(cm)^0.725×0.007184
例)60kg^0.425×160cm^0.725×0.007184=1.622m2
リンク先が分からなくなりましたが、別の資料では次のように記載されていました。
・日本人の体表面積代表値
男性:1.69u
女性:1.51u
・計算式
男性[u]=0.0053189×W[kg]^0.362×H[cm]^0.833
女性[u]=0.0110529×W[kg]^0.445×H[cm]^0.627
・平均身長
男性:166.5cm
女性:153.3cm
・平均体重
男性:63.5kg
女性:52.5kg |
allele:アレル(対立遺伝子) |
「染色体上、あるいは連鎖地図上で、同一の座(座位)を占めることができる遺伝構成要素が複数存在する場合、その一つの型をいう」(対立とは座を競合しているという意味)
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染色体異常 |
染色体異常には、次の種類があります。
@部分的な異常で、一般に交叉の失敗によって引き起こされることが多く、部分トリソミー(trisomy)=重複(duplication)、部分モノソミー(monosomy)=欠失(deletion )、転座(translocation )などがあります。
A異数体(heteroploid)や数的異常(numerical aberration )と呼ばれる、染色体の不足あるいは過剰による異常で、不完全な染色体の分離によって引き起こされることが多く、1本になるのが「モノソミー(monosomy)」、3本になるのが「トリソミー(trisomy)」、4本になるのが「テトラソミー(tetrasomy)」、5本になるのが「ペンタソミー(pentasomy)」と呼ばれます。また2本ある正常染色体はダイソミー(diesomy)と呼ばれます。まれに3倍体や4倍体などの倍数体(polyploid)があります。
また染色体は、セントロメア(centromere)=動原体で区切って、短腕(p)と長腕(q)に分けられます。例えば、14q32は14番染色体の長腕32番目のバンドを意味しています。
染色体異常の記号には次の接頭語が使われています。例えば、t(4; 14)は4番染色体と14番染色体の転座を意味します。
接頭語 | 日本語 | 英語 |
Cen | セントロメア | Centromere |
Del | 欠失 | Deletion |
Df | 欠失 | Deficiency |
Dp | 重複 | Duplication |
Hc | 挟動原体ヘテロクロマチン | Pericentric heterochromatin |
Hsr | 相同染色領域 | Homogeneous staining region |
In | 逆位 | Inversion |
Is | 挿入 | Insertion |
MatDf | 母性欠失 | Maternal deficiency |
MatDi | 母性ダイソミー | Maternal disomy |
MatDp | 母性重複 | Maternal duplication |
Ms | モノソミー | Momosomy |
Ns | 零染色体 | Nullisomy |
PatDf | 父性欠失 | Paternal deficiency |
PatDi | 父性ダイソミー | Paternal disomy |
PatDp | 父性重複 | Maternal duplication |
Rb | ロバートソン型転座 | Robertosonian translocaction |
Sp | 過剰染色体 | Supernumerary chromosome |
T | 転座 | Translocation |
Tc | 導入染色体 | Transchromosomal |
Tel | テロメア | Telomere |
Tet | テトラソミー | Tetrasomy |
Tg | トランスジーン | Transgenic insertion |
Tp | 転位 | Transposition |
Tr | トリソミー | Trisomy |
UpDf | 片親性欠失 | Uniparental deficiency |
UpDi | 片親性ダイソミー | Uniparental disomy |
UpDp | 片親性重複 | Uniparental duplication |
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ラテン語に由来する 医学専門用語 |
医学論文に出てくるラテン語に由来した医学専門用語を集めてみました。
英語 | 日本語訳 | 意味 |
in vivo | インビボ、生体(内)の、生体(内)で、体内(受精)の | 「生活している身体の中」を意味する。 |
in vitro | インビトロ、体外の、生体外での、人工の、体外受精の、人工授精の、ガラス管内での、試験管内での、器内での、インビトロ法の | 「人工的に作られた環境の中」を意味する。 |
in situ | インシチュー | 「元[本来]の位置[場所]で、そのままで、原位置で、自然の位置で、あるがままの状態で」 を意味する。FITH法では「DNA や RNA を染色体や細胞の中から取り出さない状態で」という意味に使われています。
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bis | 2回、二カ所で、両、二度、繰り返し | 英語では (twice) |
ter | 3回 | 英語では (three times) |
quater | 4回 | 英語では (four times) |
quaque | 毎 | 英語では (every) |
die | 日、さいころ | そのまま英語では死ぬという意味になるが(day)のこと |
hora | 時 | 英語では (hour) |
nocte | 晩 | 英語では (night) |
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PDQ(R) |
PDQ(Physician Data Query)は、米国国立癌研究所(NIC)が制作した癌情報データベースです。直訳すると「医師のデータ検索」という意味になります。日本では「がん情報サイト」(http://cancerinfo.tri-kobe.org/)が日本語訳を公開していますが、頻繁に更新されており、翻訳が間に合っていないのが現状みたいです。
→ 医師向け(日本語)「多発性骨髄腫とその他の形質細胞腫瘍: 治療」
→ 医師向け(英語)「Multiple Myeloma and Other Plasma Cell Neoplasms (PDQ): Treatment」
→ 患者向け(日本語)「多発性骨髄腫とその他の形質細胞腫瘍: 治療」
→ 患者向け(英語)「Multiple Myeloma and Other Plasma Cell Neoplasms (PDQ): Treatment」
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薬剤投与 の省略形 |
ラテン語が元になっているので分かりにくいですが、主なものを調べてみました、
省略形 | 英文 | 意味 |
S.i.d. | Single daily | 1日1回 |
B.i.d.(bis in die) | Twice daily | 1日2回 |
T.i.d.(ter in die) | Three times daily | 1日3回 |
Q.i.d.(quater in die) | Four times daily | 1日4回 |
q.d.(quaque die) | Every day | 毎日 |
E.O.D. | Every other day | 1日おき |
Q.o.d. | Every other day | 1日おき |
A.C.(ante cibos) | Before meals | 食前 |
P.C. | After meals | 食後 |
h.s. | At bedtime | 就寝前 |
p.o.(per os) | By mouth | 経口 |
s.c. | subcutaneous | 皮下投与 |
i.v. | intravenous | 静注、点滴 |
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パフォーマンス ステータス (PS) |
パフォーマンスステータスPS(performance status)は、「全身状態」、「一般状態」などと訳されていますが、患者に該当するのは、指標が2〜4の人だと言えます。
1) 日本で一般使用されているパフォーマンスステータス指標
PS指標 | 意味 |
0 | 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく発病前と同等にふるまえる。 |
1 | 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行や軽労働、(軽い食事など)、座業(事務など)はできる。 |
2 | 歩行や身の回りのことはできるが、ときに少し介助がいることもある。軽労働はできないが、日中の50%は起居している。 |
3 | 身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床している。 |
4 | 身の回りのこともできず、つねに介助が必要で、終日就床を必要としている。 |
外国では主に以下のズブロド(Zubrod)指標とカルノフスキー(Karnofsky)指標が使用されています。
2) ECOG/WHO/Zubrod 指標
PS指標 | 意味 |
0 | 無症状 |
1 | 症状あり 但し行動制約なし |
2 | 症状あり 一日の50%以下の時間を床で過ごしている |
3 | 症状あり 一日の50%以上の時間を床で過ごしているが、寝たきりではない |
4 | 寝たきり |
5 | 死 |
3) カルノフスキー(Karnofsky)指標
PS指標 | 意味 |
100% | 正常、臨床症状なし |
90% | 軽い臨床症状あるが、正常の活動可能 |
80% | かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能 |
70% | 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能 |
60% | 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要 |
50% | 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要 |
40% | 動けず、適切な医療および看護が必要 |
30% | 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない |
20% | 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要 |
10% | 死期が切迫している |
0% | 死 |
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マルク |
ドイツ語の骨髄「knochenmark」からMarkと呼ばれ、「骨髄穿刺」と訳されています。血液疾患では必須の検査で、ほとんどの患者が経験されると思われる、痛い検査です。胸骨又は腰の腸骨から骨髄液を注射針で吸い出して採取するもので、吸い出す時に数秒間大きな痛みがありますので、いつもやる前は憂鬱になります。主に研修医の先生がやりますのでなおさらです!!私がいつもやる痛みを和らげるコツは、吸い出す合図で、コメカミを強くしかめたりして、注意を外に逸らすことです。 |
ルンバール |
脊髄内の髄液を採取したり、脊髄内に抗ガン剤を注入するもので、「limbar puncture」の略で、腰髄穿刺・髄注とも呼ぶそうです。末梢血液中に入り込んだ細菌などが脳などの大事な中枢神経へ入らないように髄液と血液の間には血液脳関門という関所があり、抗ガン剤なども届かないため、ルンバールで直接注入するのだそうです。また悪性細胞が髄液中に無いかも調べます。腰の脊椎から細い注射針を挿入しますが、横向きで足を抱え込んで背を丸めた状態で腰の骨の隙間に針を刺します。針の刺しどころが悪いと神経に触れて、足がビクッとかってに動いたりしますので、マルクに比べ痛みは少ないですが、これもあまり好きじゃありません。
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ガリウムシンチ |
ガリウム(Gr)シンチグラフィの略で、放射線を含んだガリウム-67(クエン酸ガリウム)というくすりを静脈注射して、その2〜3日後に、微量の放射線を検出する機械で全身撮影します。このくすりは腫瘍や炎症に集まるので、それが集積したところに腫瘍があるということになります。私も髄外腫瘍が多かったので何回か受けました。 |
ムンテラ |
ドイツ語の「Mund Therapy」(ムント・テラピー)という言葉(直訳すると「口の治療」)から作られた「ムンテラ」という日本語だそうです。先生が患者や家族に病状や診断、治療、今後のことなどを説明することを医学界での長い間の慣習で「ムンテラする」と言っていたそうです。今では「インフォームドコンセント」(IC=informed consent)という英語で「情報と同意」、「十分な説明に基づく了解、同意」などと訳されていますが、「あの患者さんからはICを取りました」という感じで、どうも患者の同意(サイン)を得ればそれでOKという風に聞こえてしまします。昔ながらの「ムンテラする」という言葉の方が私は好きです。 |
13番染色体欠失 |
13番染色体欠失は13qモノソミーとも呼ばれている染色体異常で、2つあるはずの13番染色体のうち、1つの染色体が無くなったものを言います。はっきり原因は分かっていませんが、この染色体には”Rb”と呼ばれる癌抑制遺伝子の領域があり、癌の増殖抑制効果が弱く、病気が進行するのが早いことが予想されており、自家タンデム移植など、ほとんどの治療で予後不良因子の一つとされています。私の場合もこの13番染色体欠失がFITH法という検査で検出されており、HLA不一致のミニ同種移植というリスクの高い治療を選択した一因となっています。しかし、最近ボルテゾミブ(ベルケード)の臨床試験で、ベルケードに対しては予後不良因子とはならないという嬉しい結果が報告されているようです。
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HLA |
HLAは、Human Leukocyte Antigens の略で、ヒト白血球抗原と呼ばれている自己細胞を区別する分子で、全身の細胞に発現されています。これによって白血球などの免疫細胞は自己/非自己を認識し、体内から除去するかどうかを決めていると考えられています。ですからこのHLAの型がある程度一致していないと、移植はうまく行かないことが分かっています。HLAにも沢山の種類がありますが、移植に適合が必要なHLA分子には、6種類あります。両親から受け継いだ遺伝子の2つの染色体に各々3つの計6つ(6座という)あります。ですから6座のうち3座はまとまって、子供に遺伝されます。つまり、母がもっているA1とB1という組と父がもっているA2とB2という組が、子供に受け継がれますので、組み合わせとして考えられるのは、A1+A2、A1+B2、B1+A2、B1+B2の4種類しかないことになります。ですから姉弟のHLAが一致する確率は1/4となるわけです。 |
NIMA不一致同胞 |
母親が妊娠した状況を考えると、子供の血液と母親の血液は母のおなかの中で交じり合っています。それでは、母親の白血球は、HLAが違う子供の細胞を除去しようとしないのでしょうか?子供のHLAは半分は母親自身と同じですが、もう半分は夫という全く赤の他人のはずです。これにはなんらかの免疫寛容が働いているのではないか?というのが母子免疫寛容の理論です。詳しいメカニズムは分かっていないようですが、妊娠中のツワリという症状は、母子免疫寛容を獲得するまでを反映しているのではないかとも思われます。そして、子供が生まれた後も、長期にわたって母親の細胞が微小ながらも、子供の血液中に存在することが分かっています。これを調べるにはマイクロキメリズムという検査をします。 私の場合もマイクロキメリズムの結果、母親の細胞が残っており、免疫寛容が期待できることから、母親から受け継いだHLAが違っていても、父親から受け継いだHLAが一致している姉弟であれば、移植は可能だということになります。つまり、A1+A2とB1+A2、A1+B2とB1+B2の姉弟間では免疫寛容が期待され、移植が可能になります。
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慢性GVHD |
移植片対宿主病(GVHD)には、移植後100日までに現れる急性GVHDと、それ以降に現れる慢性GVHDがあります。急性GVHDは、移植した血液中の幹細胞以外に含まれているドナーリンパ球によって引き起こされる自己細胞障害で、慢性GVHDは骨髄に根付いたドナーの幹細胞から生まれたリンパ球によって引き起こされる自己細胞障害と言われています。慢性GVHDの場合、ドナー幹細胞から継続的にリンパ球が生み出されますので、なんらかの免疫寛容が働かない限り、その症状は生涯続くことになります。 |
FDG-PET検査 |
癌などの腫瘍は活発に分裂活動をするため、エネルギーを沢山必要としているので、ブドウ糖を多く取り込みます。それで、PET(陽電子放射断層撮影)で放射線から出る陽電子(プラスの電子)を撮影すると腫瘍の有無と位置が分かります。画像としては、ガリウムシンチと似ており、全身的な検査が行えます。FDG(フルオロデオキシグルコース)という放射線を含んだブドウ糖の一種を撮影1時間前に静脈注射し、撮影まで安静にしておきます。なお、ブドウ糖代謝を押さえたり血糖値を上げないように、検査前4時間は絶食し運動を控えます。PETは、CTの様な装置で約20分程度横になっているだけで、全身を撮影します。2004年でのFDG-PET費用:初診料270点+指導管理料290点+画像料6,531点=計7,091点(3割負担の場合は、21,270円)
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帯状疱疹(ヘルペス) |
帯状疱疹(herpes zoster)とは、ヘルペスウィルスの一種である水痘・帯状疱疹ウィルス(VZV:varicella-zoster virus)によって引き起こされる感染症で、初感染である水痘(みずぼうそう)羅患時に知覚神経節に潜伏したウィルスが免疫の低下、過労、加齢、ストレスなどの様々な要因によって再活性化し、知覚神経にそって広がり皮膚に病変を生じるものです。通常は生涯に1回しか発症しませんが、免疫不全患者の場合は2回以上発症することがあります。 帯状疱疹は帯状の皮疹に加え同部に強い痛みを伴うことが多く、皮膚症状が治癒しても後遺症として強い疼痛が持続することがあります。一般に3ヶ月以上経過して残存する痛みがある場合は、帯状疱疹後神経痛(PHN:post-herpetic neuralgia)と呼ばれます。PHNは難治性の疼痛として知られ、様々な治療がなされていますが、今だ決めてとなる治療法が確立していません。原因は帯状疱疹の急性期に水痘・帯状疱疹ウィルスが知覚神経で急激に増殖し、神経変性を起こさせるからだと考えられています。従ってPHNを予防・防止するためには、発症早期に非ステロイド性の鎮痛剤などの投与により急性期の炎症性疼痛の治療を積極的に行うと共に適切な抗ウィルス薬を十分投与し、ウィルスの急激な増殖によって引き起こされる神経変性をより早期に食い止めることが重要であるとされています。
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看護師 |
今まで女性は看護婦、男性は看護士と呼んでいましたが、法律が「保健師助産師看護師法」として改正され2002年3月から男女とも「看護師」という名称に変更されました。でも婦長さんを師長さんとは呼びにくいですよね。
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転帰 |
転帰とは、治療後に病状がどういう結果をたどったかを意味する臨床指標で、退院時の退院転帰と病名転帰とがあり、標準統計などで使用されるのは退院転帰だそうです。
転帰の定義
【治癒】 :退院時に退院後に外来通院治療の必要が全くない、またはそれに準ずると医師が判断した場合
【軽快】 :疾患に対して治療行為を行った結果、改善が明らかにみられたもの。原則としてその退院時では外来等において引き続き継続的な治療を必要とするものであるが、必ずしもその後の外来通院の有無については問わない。
【不変】 :疾患に対して改善を目的として治療行為を施したが、それ以上の改善がみられず不変と判断されたもの。検査または精査を目的とした場合の転帰としては適用しない。
【悪化】 :疾患に対して改善を目的として治療行為を施したが、改善がみられず悪化という経過をたどり転帰となったもの。
【死亡】 :死亡退院したもの。
【検査】 :単なる検査入院、精査入院など本来の治療行為を行う前の段階 |
カルテ |
独語(Karte)で診療録のことで、英語では medical record というそうです。医療に関してその診療経過等を記録したもので、かつてはドイツ語で書かれていて患者には暗号にしか見えませんでした。記録後最低5年間の保存が義務付けられています。
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IVH |
IVH(IntraVenous Hyperalimentation)は、静脈内高カロリー輸液のことで、経口摂取が不足するときに行う栄養輸液、もしくはそのためのルートを指していうこともあります。 ここから細菌感染し易いので清潔に保つことが肝要です。
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CRP |
C反応性蛋白(C-reactive protein)は、体内で炎症反応や組織の破壊が起きているときに血中に現れるタンパク質で、肺炎球菌のC多糖体と結合するためこのような名前になっているそうです。CRPの上昇の程度には大きな個人差があって、CRPを標準値や他の患者の値と比較することはあまり有意義ではなくて、一人の患者の経過を観察するために有用な指標だということです。
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