白瓷壺

径 20.5〜20.2cm 高さ 17.7cm

磁器は陶器に比べて、質感が冷たく硬いと思われている。素地のガラス化が進む磁器は、たしかに陶器より機械的硬度が高い。しかしそのことが直ちに質感の硬さにつながるわけではない。
磁器も陶器も、生地土自体ともに柔らかな可塑性があり、成形時の呼吸やタッチが形となって残る。磁器生地のほうがきめの細かいこともあって、指筋や泥筋が、微細な指紋のひき筋にいたるまで表現される。むしろ手の中にある磁器生地の独特のボリューム感は、暖かく軟らかな表現を予感させる。
一般に、水挽きに際して刃箆で表面を整え、全体を削って仕上げるのは、こうした呼吸やタッチを、作り手の身体性を感じさせる野暮なものとしてきらい、消去するためなのだろう。磁器の硬質感は、どちらかといえば、この成形方法によるところが大きい。
私はといえば、呼吸やタッチを整え、柔らかな土とからむ身体性を、美しい形にしてみたいと思うのである。



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