2007年明日香文明会長 今月のお言葉

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1月 また1年間 自分の歴史を 自分でつくろう

また1年間 自分の健康を 自分でつくろう

また1年間 自分の生活に メリハリをつけよう

また1年間 明るく 楽しく  仲よく走ろう

2月 往年のランナー山田啓蔵は今年中に80歳を迎える。今も走るのが日課。彼の一日はなんと午前2時に始まる。未明から川崎市内を30キロ走る。生涯に走った距離は35万キロ、地球を8周と3/4周した計算になる。秋田県で生まれ、戦後鉱山でトラックの修理工をしながら国体に出場。その頃「日本マラソンの父」といわれ、グリコの両手を揚げたランナーのモデルになった金栗四三に見込まれ指導を受けることになった。52年ヘルシンキ五輪に出場。金メダルは「人間機関車」と言われたチェコのザトペック、山田は26位に終わった。だが翌年ボストンマラソンに出場、有名な心臓破りの丘を力を振り絞ってスパート、優勝をさらった。小柄な山田は身長僅か157cm、その走りは「人間機関車」を真似て「小型機関車」の異名をとった。ゴール直後師の金栗が涙ながらに言った「体が小さくても努力で世界一になれる。手本になるよう走り続けなさい」と。60歳代からボストン12年連続参加。今も4時間余りで完走している。
3月 2月18日に行こなわれた東京マラソン、世界有数の巨大都市東京で、新宿、銀座、浅草などの名所を結び7時間も交通規制をひいてしかも3万人のランナーを集め大会が行われた。
ロンドン、ニューヨーク、ベルリン等でも同様の大会が開かれているから世界的にみればひとつの流れかもしれないが、東京石原知事の警察を従わせる豪腕あればこそ実現したものだろう。 一般に警察はマラソン大会で交通規制を長くとるのをいやがる。
奈良では過去にシルクロード博を記念してフルマラソンが計画されたが許可しなかったのでハーフマラソンに短縮して実施せざるを得なかった。
明日香ひなまつりマラソンでは、橿原市や桜井市の道路の使用を制限し村内だけでやるようにとの無理な指導によりフルマラソンではいいコースがつくれなくなり参加者の減少をきたして最終的に大会が消滅した。
東京でさえも7時間も幹線道路を封鎖し大会を開くことができる事例を契機に、各地で同様の大会が開かれるように広がりを期待したい。
4月 高齢化社会を迎え、寝たきりや生活習慣病の予防、リハビリが大きなテーマになってきた。
マラソン選手が実施する「高地トレーニング」も生活習慣病の予防に効果があることがわかってきた。酸素が薄い環境でのトレーニングは血液中のヘモグロビンを増加させ持久力わ高めてくれる。
標高2千〜二千五百mの高地でトレーニングすると、脂肪の代謝は平地に比べて5〜10%高くなる。
高地では成長ホルモンの分泌が促進され脂肪の分解が進むという。
低酸素トレーニング室を使うやり方もある。20代、30代の12人に対し、1回30分のトレーニングを週4回、4週間続けたところ、体脂肪率が3%、コレステロール値も約6%低下した。
「初動負荷トレーニング」もリハビリ用に病院が導入している。動作の最初だけ負荷をかけた後は惰性に従って動きを続ける。関節の可動域を広げ、無理なく鍛えられる。
筋肉を疲労させず、血圧低下にも効果があるようだ。
5月 春の陽気が柔らかく肌にしみ込んでくる。
鶯の鳴き声が自然の中に生きる歓びを伝えてくれる。
軽くジョギングをしただけで足元に汗がしたたり落ちる。山野の新緑がランナーを暖かく包み込む季節を迎えた。
こんな素晴らしい季節の中で今年も各地からランナーを迎えて合同練習会が開催される。
ヤマブキの鮮やかな黄色の花をめで、木いちごを摘み、山野草を眺めながら楽しく走って戴ければありがたい。
鍛えあげたランナーの集まりとは言え、長距離の山道、天候によっては日差しや高温の影響を体がストレスとして受けるので、無理のない楽々ランを貫いて戴きたい。
会員の皆さんは参加のランナーをお客様としてもてなす立場で、様々趣向をこらして企画して頂いており、当日もご苦労をおかけ致しますが成功裏に終えられるよう何卒よろしくおねがいします。
6月 天候に恵まれた合同練習会。盛会裏に終えたことを心から祝福します。ご苦労様でした。
ところで、サントリーが無料でお試しセットを提供している。「グルコサミン&コンドロイチン」がスポーツマンの膝痛にとても効果があるそうだ。
軟骨成分を補給するためのもので、多分サントリーのものが類似品よりもうまく配合されているのだろう。膝のクッションとなるのがこの軟骨成分。
中高年になると体内で作られにくくなるから、クッションが薄くなって痛みを生じやすい。
食品にもふくまれるが、グルコサミンはカニやエビの甲殻、コンドロイチンはフカヒレなどに多く含むが高価でで食べる機会が少ない。
さらにポリフェノールであるケルセチン配糖体もプラス配合され、この特有の配合がトリプル効果となるそうだ。
効果を期待するには半年以上の使用が必要だそうだが、膝痛が消えたという人も多い。
他にも杖が必要だった婆さんが一年半の使用で杖がとれて元気に歩けるようになったという話もある。
7月 「なぜ走るのか?」と聞かれて、「走りたいから」という答えと「走らなければならない」という答えの2通りに大別される。しかし少なくとも中年以降に走り出したの大部分は、今は「走りたいから」と答えていても、はじめは「走らなければならない」からスタートしたはずなのである。
理由はともかく現実には「走る」ことが続けられればよいのであって、ある日突然に「走る必要がなくなった」として走るのをやめてはならないのである。
走ることによって、何が得られるかは、自分の体で確認するしかない。
酒と一緒だと考えてよい。
百薬の長であるといっても自分にとって百薬の長であるためには、そのようになる飲み方を自分の体で確認する以外にはないのだ。
8月 水が飲みたいのは、多量の汗をかくランナーとしては自然な要求だ。
しかし、運動する際に水をがぶ飲みしすぎると、運動誘発性の低ナトリウム血症(EAH)に襲われかねない。米国の専門家が医学雑誌に発表し適度の水分補給を呼びかけている。
EAHとは、運動中に水分を取りすぎて血液中の塩分濃度が下がると、けいれんや呼吸困難に襲われる恐れがある。
ある年のボストンマラソンでは参加者の13%がEAHになった。今年のロンドンマラソンでは一人が亡くなっている。トライアスロンや軍隊の行軍でも同様の報告例がある。
運動を続ける時間が4時間を超えると注意が必要だ。
過去のマラソン大会の調査でレース中に3リットル以上の水を飲んだ人がEAHになるリスクが高かった。 運動後に体重が増えれば水分の取り過ぎ。 水の代わりに、スポーツドリンクを飲んでも、飲みすぎては水分の取り過ぎでEAHだ。
9月 8月25日から31日にかけて、フリープランでカナダバンクーバーへ。
2010年の冬季オリンピックはこのバンクーバーとウィスラーという山岳リゾート地で開催される。 バンクーバーは碁盤目状の市街化区域と緑に囲まれた高級住宅街からなる。
海岸沿いの遊歩道にはジョギングをする人も多い。 午後8時を過ぎるまで日が暮れず、気温も20度前後だが、暖流の影響で冬には雪よりも雨が多く寒さがそれほどで厳しくないそうだ。
ウィスラーへは食事付きの山岳電車で3時間、バスなら2時間半の工程。
ウィスラー山がアルペン競技の舞台になる。
頂上(2160m)への登山道も整備され、頂上までのリフト建設も進んでいる。
頂上は真っ白に雪を戴くカナディアンロッキーの遠景展望台の感がある。
中高年ジョガーの勲章でもある膝の古傷が今夏のお盆中に長時間の正座の繰り返しで再発したがあまりの絶景に登山中も痛みをすっかり忘れてた。
10月 マラソンランナーも短距離スプリンターも一流の選手は体脂肪が一桁台だ。
余程のことがない限り10%わ越える選手はいない。
でも体型の方は大きな違いがある。 マラソンランナーは筋肉量が少ないやせ型が普通なのに対してスプリンターは筋肉量の多いガッチリ体型が普通である。
どちらがより好ましい体型であるかの議論はさておいて、なぜこのような違いがでるのだろうか。 最大の理由はトレーニングの質の違いにあるといえる。
マラソンのように長時間走り続けると筋肉も落ちるし脂肪も落ちる。
短距離のようにダッシュとジョギングを繰り返すと筋肉が落ちずに脂肪が落ちる効果がある。
たとえばダッシュ30秒、ジョグ30秒を繰り返すと5〜15分で、ジョグ30分〜1時間ほどの脂肪燃焼効果がある。
トレーニングは脂肪の燃焼を促進するホルモンの分泌を促進するが、このホルモンの分泌は長距離のような有酸素運動よりも高強度のトレーニングでより多く促進される事を示している。
11月 00年9月 20世紀最後の五輪がシドニーで開催され女子短距離陸上で米マリオン・ジョーンズが金メダル3個、銅メダル2個の大活躍で世界中が湧いた。
しかしその栄光は、すべてが夢の中の出来事であったかのように消えさってしまった。
米 NY州の連邦地裁で執拗な追求を受けた結果、薬物使用を認め、その後泣きながら謝罪し現役引退を表明した。メダルは剥奪され、記録は抹消されることになる。
現在彼女は多額の借金を抱ええており、今後の人生の見通しすら立たない苦境の中にいる。
これまでの証言が偽証罪となり禁錮刑を課せられることにもなる。
世界は薬物使用に対する断罪強行姿勢を明確にした。
選手を調べるだけでなく、薬物製造、提供業者がどこにどれだけの量を提供したかを調べ、選手の証言との違いを追及する。
食い違いがある限りどちらがウソをついているから追求をする。食い違いがある限りどちらがウソをついているから追求は厳しくなる。
彼女の場合はバルコ社筋肉増強剤「クリア」の使用が人生を悲劇に反転させた。
12月 東京女子マラソンで圧倒的な強さで優勝し北京五輪の切符を確実にした野口みずき選手、一躍優勝候補になったようだが、なにせ世界を相手にすると信じられない怪物揃いだ。とくにに凄いのがニューヨークマラソンで優勝したポーラ・ラドクリフ。
娘を出産して育児に追われていたはずの10ヶ月目に復帰。
初戦なのに、2:23:09の記録で優勝をさらった。妊娠7ヶ月まで心拍数を抑えたジョギングを続け、出産後4ヶ月で再び走り始めた。胎児への影響も考えられるし、出産の前後は体に色々な変調が表れる筈なのに、一体どんな体の持ち主なんだ。しかもニューヨークマラソンでみられた全身から浮き上がる筋肉、引き締まった腹筋、首を縦に揺らせる走法は以前となにも変わっていない。
北京五輪を目標に仕上げてくると野口みずきも苦しい戦いになる。「最後の3KMでの競り合いよりも出産の方がよっぽどつらかった」レース後はまな娘を抱きかかえて喜びをあらわしていた。