2016年明日香文明のお言葉へ

2017年 明日香文明会長のお言葉

 
 お言葉
 1月  
 2月  新年に当たり、過去に当会で活動され種々の理由で当会を離れて行かれた人だちから近況を知らせる年賀状を戴いた。皆よく頑張っている姿をご紹介しよう。
おしどりランナーだったIさん夫妻、
今はそれぞれ別々の趣味の道を歩んでいる。旦那は北海道を北、東、南と1700KMを大型バイクで旅行、奥方は石垣島でマンタやウミガメと戯れるダイバーとして熱中自然との触合いを楽しんでいる。
M.Tさんは、スペイン巡礼の独り旅。巡礼路も種類があり既
に三回目、人生を見直し何をかを再発見する旅だ。昨年は北の道を独り旅。今年は30日間のポルトガル道の独り旅。
M.Rさんは、金剛山登山を、大雨でもない限り毎日続けて
いる。登頂回数は既に2961回、3000回達成も間近だ。登頂の度に光り輝く明るい笑顔が見えてくるようだ。
 M.Mさんは、今もランナーとして活躍されている。リオパラリンピックでは、視覚障害女子Mの西島美保子さんの伴走者としての貴重体験。産経新聞(11/12)でも特集記事になった。
当会を離れても、それぞれが選んだ道で、元気に頑張れるのはなぜか。明日香の厳しい練習コースで、鍛え上げた精神力・根性のお蔭であるに違いない。
 3月  女子マラソンに新指針が出された。 男女ともに、アフリカ勢の飛躍で3年後の東京五輪も苦戦必死だが、男子よりは女子にメダルの可能性がまだあるとのことで、レースに臨む新指針となった。これまでのマラソンレースでは、前半から思い切った速いペースで走る「ポジティブ・スプリット」が強調されてきた。しかし日本選手は後半になると耐えきれず、息切れが目立ち好成績を残せず、後半は全く戦いにならないことが多かった。そこで東京五輪を控え、現状に日本陸連は我慢できなかったのか、遂に新指針を出した。
それがこれ迄とは、全く逆方針の「ネガティブ・スプリット」で後半が前半より速くなるペース設定だ。これならレース終盤に競り合うこともあるだろうということだ。世界選手権や五輪では、ペースメーカーが付かないから新指針で戦いやすいようだが、前半がスローペースになりすぎる可能性があるので、通常の国内レースではペースメーカーを付けるが、これまでの30km迄から中間点迄とするようだ。これからのレースでは、実力者がなかなか先頭に立とうとしないから、テレビ中継も迫力に欠け解説者もやきもきした解説になりそうだ。日木陸連の本音は「前半から先頭について最後まで戦って勝ってほしい」だから、全く苦肉の新指針だ。

合同練習会】6月11日
()に決定会員の皆様よろしく
 4月  毎年沢山のマラソン大会が開催される中で、大会参加者が怒り心頭の悪評大会で2回目が開催できないのもある。例えば、長崎国際マラソンinハウステンボス佐世保(2011.11)だ。
前日受付がハウステンボス内で、受付だけの為に入場料4000円を払わされた。(当日受付は無料)10kmのコースが実に8kmしかなく、給水はコーラだけ。参加者は怒り心頭でも話をきくだけなら逆に楽しくなる。2回大会はまだない。
男鹿なまはげマラソン(2014.9)では5kmコースで参加料4000円。ゴール後の飲料サービスがなく、ドリンクを買わされた。10kmではゴール地点がスタート地点と異なり、ゴール後1時間以上経過してやっとスタート地点へ戻るバスが運行した。暑い時期でよかったが、寒い時期の開催だと着替えもなく1時間以上待たされたら一体どうなるか、考えると恐ろしい大会ではないか。
ここまでならまだ可愛い話だ。酷かったのは東京・荒川マラソン(2014.12)。参加者1500名、前日の夜に突然中止の決定。しかも参加者に連絡なくホームページでの連絡だけ、当日多数の参加者が知らずに集合して怒り心頭。主催者が会場使用許可を取らずに募集していたのだった。サギにあったような話ではないか。
 5月  超ウルトラ、超過酷なマラソンレースが日本にもある。トランス・ジャパン・アルプス・レース(TJAR)がそれだ。制限時間はなんと192時間(8日間)毎年開催は無理があるので隔年ごとの開催となり8月初旬に開催される。前回は2016年に開催されたので、次回は20188月。このレースは富山湾魚津市をスタート、北アルプス、中央アルプス、南アルプスを経て静岡駅南の大浜海岸がゴールで距離は415km、上り下りの標高差の合計は2万7千m。コース上にはレース用標識はなくコース図を見て自分で確認しながら走る。チェックポイントは31ヵ所、その間は自分で任意に道路選択できる。4日目以降は関門が5箇所あり通過制限時間が設けられているので、厳しい。昨年の大会で新記録がでたが、4日23時間52分。この優勝者は毎日睡眠2時間で我慢、4連覇を果たした。途中、山小屋、旅館、民泊等での宿泊は禁止されているのでテント等を持参しての露営になる。参加者は幻覚を見たりする極限状況に置かれる。切り株が人の顔になって見える。石ころが自分の欲しかったものに見える。誰かが呼んでいる声が聞こえたりする。ウルトラランナーの行き着くところはこんなレースに出ることだろうか
 6月  今年もまた合同練習会が近づいた。会員が皆で力を合わせて参加のランナーに喜んでもらえるように努力致しましょう。
 今の時期、奥明日香には豊かな緑が一杯に拡がっている。新緑が産み出す、オゾンを沢山含んだ新鮮な空気を吸えば、若き時代の元気が甦ってくる。 小鳥の鳴き声を聞いていると日頃の苦悩の心も爽やかに澄み渡って行く。 初夏にしたたる汗は、この上もなく心地よく、一年を通じて最も快適さに溢れる汗でもある。
こんな素晴らしい環境の中で、楽しく走って喜びを感じるランナーは、この世の中で一番幸せな人達なのだ。
会員の皆が運営のスタッフだ。運営のあり方ひとつで、ラン
ナーの喜びが大きくもなれば小さくもなる。
ランナーの喜び
が大きなものであれば、スタッフに自信と満足感を与えてくれる。 スタッフの抱く自信は翌年以降の開催への大きな力となる。 だから皆で力を合わせて頑張ろうではないか。事故が起こらないことを願っている。 なにせ傾斜がきつく狭い道を走る。 ランナー自身が自分を管理し無理のないランに終始してくれることを望みたい。 今年もまた、合同練習会が成功裏に行われることを願ってやまない。
 7月  RUN愛好者は他のスポーツより中高年になっても続ける人の割合が多い。これは何故だろうか?
①団体競技でないから個人で好きなように楽しめる。他人を気にせず自分の立場で自由に楽しく続けられる。
②RUNにより生きがいを感じている。折角めぐり会った生きがいを失いたくはない。
③RUNの継続が、健康のために役立つことが永年の経験で自覚できている。健康をこれからも維持したい。
④RUNの継続が、疲れにくい元気な体を維持でき、何事にも頑張って生きて行ける自信となっている。
⑤屋外でRUNを行うと自然との触れ合いができ、四季の変化を味わう楽しみがある。RUNなればこその体験だ。
⑥RUNで汗を流した後に飲むドリンク、特にビールの味の美味さから離れられない。うまいビールを飲み続けたい。
⑦RUNはストレス解消に一番効果的である。やめるとストレスが溜まることが分っている。
⑧RUNにより、体重の増加を抑え、太らない体でいたい。
⑨足腰の強さを維持したい。やめると加齢により足腰が弱くなり、やめたことを必ず後悔する結果になる。
⑩RUNの疲れで快眠できる。やめると寝付かれなくなる。
⑪歳に負けない体力、気力の維持はRUNしかない。
 8月  酷暑の毎日が続く時節、走るにも暑さ対策が必要だが、東京五輪は3年後のこの時期に開催される。夏の暑さが楽しめる涼しい国もあるが、日本の暑さは湿度が高い蒸し風呂のような暑さだから五輪参加選手を苦しめるだろう。ちょうど10年前、8月下旬にカナダを旅した。この時期に大阪で陸上競技世界選手権が開催されており、現地の新聞にも報道されていた。その報道では「なんだこの暑さはクレイジーだ」と酷評していた。8月下旬には、暑さの中にも秋の気配が漂う。東京五輪はそんな時期でない、一年中でも最も暑い7月24日から8月9日までだ。 もの凄い酷評を受けるに違いない。暑さ対策を徹底しないと具合が悪いが、とても困難が多い。メイン競技場もドームにして空調を効かせればよかったが上が開いたままだから、炎熱会場で記録は出にくいだろう。マラソン、競歩のコースは遮熱性舗装を施して10℃近く路面温度を下げるそうだが、スタート時間を早朝にするとか、冷水をコースに噴霧するとか、給水箇所を増やす等の案も考えられている。会場、コースだけではない、選手、役員、ボランティア、観客等の暑さ対策、熱射病予防等が同時に必要となる。何を行っても東京五輪は炎熱下の大会だから世界が評価する目は厳しい。「こんな五輪はもう絶対にやりたくない」というところが結論になるだろう。
 9月  今年もお盆の行事後の骨休めに、8月25日から4日間、福井県いわき市スパリゾートハワイアンズを訪れた。かつては常盤炭鉱のあったところ。石炭採掘が衰退後、この地から温泉が湧き出るのを利用して、温泉、プール、ハワイアンショー、三ホテルからなるリゾート地として甦った。炭鉱閉山の危機を逆手にとって成功した例だ。東京駅、横浜駅からも2時間以上もかかる遠距離なのに無料送迎バスを出している。温泉も三箇所にあり、面白いのは江戸風の造りでギネスに載る世界一の広さの露天風呂、ただし洗い場はなく、つかるだけ。
地方を旅行する楽しみは、その地域をジョグすることにもある。近くの神社、寺院、資料館、特殊施設を地図を見ながら巡る。神社の一つは木の鳥居が斜めに傾いていた。多分地震の影響だろう。全く入館者がいない考古資料館では、「奈良からよく来て下さった」と大歓迎を受けた。中央競馬の馬の温泉治療センターが山上にあり、午後4時頃だったので馬のリハビリは終った後で、馬の姿はなかったが、ここでも「奈良からこられましたか」と歓迎、外から施設を見学させてくれた。距離にして7kmのジョグを楽しむことができた。
 10月  3年を切り近づいてきた酷暑の東京五輪、超過酷な男女マラソンレースとなるが、日本陸連は男女代表各3名の選考方式をこれまでと変えることになった。過去、代表は五輪前の世界選手権を含め4レースから3名を選出してきた。しかしマラソンでは記録の比較は難しい。気候、コース、レース展開が夫々異なり記録、順位の比較は単純にはできない。選考委員の「ひいき」が出ないとも限らない。このため選考の不透明さが指摘されてきた。今回、「一発選考」が取り入れられることになった。五輪前年に「グランドチャンピオン(GC)レース」を行い、2名を決定する、一発選考を行う。あとの1名は、選考委員会により協議して決める。3名全部をGCで決めなかったのは、メダル候補でありながら、GCに出られない事情、若干の故障、体調の変化等が有りうるから、1名を残しておいたということだ。 GCに出場する条件もきびしい。男子は2時間8分30秒、女子は2時間24分以内、世界選手権8位入賞、アジア大会メダル獲得などの一定の条件を満たす必要がある。 ところで、今年8月のロンドン世界選手権で男子Mの川口優輝は2:12:19の9位、女子は清田真央が2:30:3616位でGC出場基準にも達しなかった。
 11月  最近の傾向として、会員もフルよりウルトラに魅力を感じているように思える。では何故ウルトラに執着するようになったのだろうか。その理由を考えてみよう。
ウルトラはフルのように、記録の良さを競う競技でなく、ゆったりとした気持ちで完走だけを目指して参加できる。(しかし主催者は長時間過ぎるレースの菅理をいやがり、関門を次第にきびしくしがちだ。特に暑さ、寒さの厳しい地域や時期でのウルトラは、主催者も早く終わりたがるものだ)

②フル参加が、初期は完走が目的であっても、やがて目的が記録を伸ばすことに変ってゆく。しかしこれも壁にぶつかり記録が頭打ちを迎える。この為フルから興味が薄れがちである、この状態でウルトラに活路を見出そうとする方向性が出てくる(フルの記録は五輪級の選手に到底及ばないが、五輪級の選手がウルトラに興じることもない。ウルトラは、自分の存在感を自分で感じる場である)

③ウルトラにはフルよりも達成感がある。早朝から日が暮れる迄一日中走ることに没頭しなければならないから、最終ゴールに到達したときの達成感は、フルとは比べものにはならない。(ただ達成感を味わうには自分はこれに打ち込むしかないという純真な心が必要だろう。長時間なぜこんな無意味なことをしているのだろう等の思いは抱いてはならない)

 12月  1210日開催の奈良マラソン、関門の多い大会で嘆きの声も聞こえてくる。
歴史的景観を味わえるので好評だが、この種の大会は地域活性化策として、実施されているので、マラソン開催による奈良地域の活性化評価で課題が見えてくる。具体的に今後の課題点を上げてみるが、これらは東京、大阪京都、神戸等の都市型市民マラソンにも共通している。
①女性ランナーをもっと増やすがある。女性ランナーの方が男性よりもウェアー等、ファッション性を大切にして消費する。参加後も観光をする人が多い。宿泊消費が多い。男性は圧倒的に日帰りで観光宿泊は少ない。
②海外ランナーをもっと増やす必要がある。海外枠を創って、台湾、韓国、中国など近距離を中心に海外ランナーを増やす。旅行、宿泊、みやげ、食事等で大きな消費が見込める。
③観客、ボランティア等、ランナー以外の人達の満足度を高める必要がある。
物産販売、音楽イベント、放映等の誰もが興味をもつ事が出来る工夫が必要である。大会も回を重ねると観客、ボランティアが飽きて興味を失い、長続きしない要はなぜこの大会が地域にとって有益なのかが明確でないと市民の理解が得られず淘汰されてゆくに違いない。