2016年 明日香文明会長のお言葉

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 月  お言葉
1月   明るく、楽しく、仲の良い、 明日香古京走る会。  自由で 上下関係のない 横のつながりの明日香古京走る会。老いも若きも 男も女も スピードランナーもスロージョガーも皆が一つになって楽しめる明日香古京走る会。これが実現できれば日本一の素晴らしい走る会です。頑張って実現してゆきましょう!
 2月 ランニングがブームになった歴史を振り返ってみよう。アメリカのジェイムズ・フィックスがジョギングの神様と呼ばれ、ブームを創りだした男だ。フィックスは、大学卒業後、30代なかばで、100kgを越える肥満に苦しみ、減量のために毎日ランニング15kmを続けたやがて30kgの減量に成功。「減量と健康増進を勝ち取った」として、マイペースランニング(ジョギング)を続ける健康法の著書を出版した。『奇蹟のランニング』と題する三部作は、アメリカが肥満に苦しむ国であったから、大ヒットとなり、全世界で翻訳、出版された。そして肥満解消の為にジョギングブームが起きた。 1970年代後半から1980年代にかけては、アメリカだけでなく、日本を含む世界規模のジョギング健康法ブームの最盛期であった。フランク・ショーターが活躍し、ランニング・ギアの会社を設立するに到ったのもこの時期だった。しかしその後急速にジョギングの衰退時期を迎える。52になっていたジョギングの神様フィックスが、1984年7月20日、ジョギング中にバーモント州の国道15号線脇で心筋梗塞を起こして突然死、全米に大ショックを与えたからだった。ジョギングは健康法として有用であると共に、体調によっては命に関わる危険と隣り合わせであるとの認識が確立するに至った。現在都市型の大規模マラソンが日本では盛んなため、ジョギングブームと思われがちだが、全世界的には、それほど熱気はない。しかし、何時でも、何処でも、独りでも楽しめる手軽なスポーツとして多くの支持を集めているのが現実だ。
 3月  ブラジル、リオデジャネイロ五輪は今年8月5()21()17日間開かれる。代表選手の決定もこれから続々と決まって行く。問題になったのが、814日開催の女子マラソンの代表決定のあり方だった。131日の大阪国際女子Mで22217の好タイムで、陸連の五輪出場設定記録を突破して優勝した:福士加代子選手が、これで代表決定でないなら3月13曰の名古屋ウイメンズに出場すると言い出したからだ。疲労回復、故障の恐れを省みない過酷な福士選手の決意に大慌てした日本陸連が出場しないでほしいと要望した。結局は出場しないことになったが、これで問題になったのが、代表選考基準だった。女子代表は3名で①前年度の世界選手権で8位以内で最上位の選手(大塚製薬の伊藤舞が7位で229.48ながら決定)②さいたま国際、大阪国際女子、名古屋ウイメンズの3位以内の選手の中から2名を選出する。これでは、優勝者が選出されるとの約束はない。陸連役員の選手の好き嫌いや、役員間の力関係が影響するのではないか。客観的に見て勝てる選手を選ぶといいながら主観的な判断に陥ってしまう。 スポーツの爽やかさは、全てが一発勝負の結果によって決まることにある。ああだ、こうだとの言い訳は通用しない。潜在する実力そのものが勝ち負けの結果その通りになるわけでもない。やはり結果から自動的に代表が決まる制度にして選手が納得できるようにすべきだと思う。
 4月  スポーツ団体は個性の強い人材で構成されるから、人ごとに考え方に違いが出るのは当然だ。 たとえば、一般市民レベルの団体では「真剣に鍛えあげたい」と主張する人達と「趣味として楽しむことができればいい」との意見対立から、団体が分裂したり、団体解散に追い込まれることがよくある。これは、どちらが正しいということはない。どちらも立場としては正等だから、団体内で各人の考えでいずれかに入って、両派を両立させて運営すればいい。ただ、一つの団体として両者をつなぎ合わせる為には、お互いの立場を理解しあい、皆で「明るく、楽しく、仲良く」やってゆくことだ。 こんな当たり前のことができなくて解散の憂き目にあった団体も現実には多い。
団体の成り立ちの要素は、主に「契約関係」と「融合関係」の二点にある。「契約関係」とは、個人がそれぞれ独立していて他人との関係は、約束や決まりごとで結ばれているということであり、「融合関係」とは個人がそれぞれ協調しあって一体化してゆくことである。この二点がうまく作用しあうと健全な運営が実現される。 個人間の感情的対立は団体内であってはならない。それは対立する個人間の問題ではなく、団体を構成する全ての人達に不快感を与え団体自体を価値のないものとしてしまうからだ。
 5月  マラソン大会も進化する。うるとらMや山岳Mロゲイニングは進化の一形態であるが、最近は「顔マラソン」が各地で行われ、参加者が増加している。フルと同じ42.195kmが原則だがスマホのGPS機能をを使い、自分の位置情報を記録すると、地図の上に顔が浮かび上がる。タイム競争とはひと味違う達成感がランナーを魅了するようだ。スタートはスマホのGPS機能で現在地を取得して、コース指示書にしたがって走る。一筆書きで顔を描くので、同じ道を何度も走ることがある。走っている途中で両面をみると顔の部分が少しづつ現れてくる。いろいろ各地でコースが作られ、29都道府県で顔Mコースが作られている。 愛知県で「信長」、岡山の「桃太郎」、沖縄の『シーザー』、大阪の顔は「殿様」だ。顔マラソンは、タイムを狙うものでないので楽しいし、現代版の「ナスカの地上絵」だという人もいる。またコースをアレンジしてもっと優雅な顔を作づたり、髪型を変えることを提案してくる人達もいるようだ。
 6月  かっての名ランナーが健在であることを知ると、今日迄健康を造ってくれたランニングが有難く感じられる。これに巡りあってなければ、今頃はどんな健康状態であっただろうかとつい思ってしまう。かってよく大会参加していた頃、浴場でボストンM優勝者の山田敬蔵に出会った。「最高の趣味を持ってますね。旅行して、マラソンを楽しんで、体を元気にして、風呂に入って汗を洗い流しですっきりする、こんな幸せないじやないですか」と話してくれた。彼は今88歳で健在だ。同じボストンM優勝者の君原健二は今75歳、直接話しかけたことはないが、大会ゲストで同じ新幹線に乗っているのを見かけた。当時はまだ黒髪で精悍な感じだった。今年4月のボストンMに、半世紀前の優勝者である彼が招待され、4:53:14の記録で完走。メキシコ五輪の銀メダリストだが、今や白髪の好々爺になっている。世界を翔けた選手も、今は皆健康Mの世界にいる。健康は維持するものではない、造り上げてゆくものなのだ信念をもって努力して行こうではないか。    【例会日程】6~9月サマータイム)
 7月  612日の合同練習会は、300名の大参加となった運営に苦労が増すと思われたが、大きな問題もなく円滑に遂行できたのは、これまでの経験を生かして緻密に練り上げたマニュアル、周到な事前準備、会員の力を合わせた運営の成果だ。参加者からも「ありがとう、また参加したい」との喜びの声ばかりが聞こえてきた。この声を当会への感謝と来年度への期待として有難く受けとめたい。合同練習会の魅力とは何なのか、あの山間緑中の強烈な坂道が何とも強い印象を残し、また来年もここで頑張りたいという強い思いを残しているように思う。過去に開催された「ひなまつりマラソン」の経験からも、参加者は走路行程の良し悪しに直接正直に反応する。行程の印象が良ければ参加者は増え、悪ければ参加者は自然に減少する。いまの行程を変えないことが一番肝心なことだろう。次には参加者に温かく迎えられていると感じてもらうことで、物を与えることには限度があるから、頑張って走る全参加者に励まし讃える声をしっかりと掛けてあげることだ。
 8月  リオ五輪が8月5日()21()17間開催される。時差が日本時間でプラス12時間だから朝晩逆の同時刻になる。女子Mは8月14()、男子Mは21()で共に現地時間午前930分のスタート。夜は結構遅くまで起きていても平気な夜型には、LIVE中継が楽しめることになる。ただマラソンで日本勢にメダルが取れるかとなると、男女共にケニア、エチオピアを中心にアフリカ勢が強すぎて不可能。もはや欧米では、本気でマラソンをする選手自体が少なくなった。アフリカ勢が強すぎるから、勝ち日のない戦いをする気。にならないのだ。アフリカ勢は、なぜ強いのか、歴史的に淘汰の世界で強者だけが生き残ってきたから、元々体の強さの違いが根本にある。マラソン大会が賞金レースになり、大金を獲得した勝利者が、荒涼とした大地に宮殿のような自宅を建て住む、夢のような現実がある。これを見て若者達が懸命に頑張れば夢が実現できるという気を起こす。一方日本では、マラソン選手が弱体化していると考えられている。日本では駅伝が盛んで、大学、実業団共に駅伝に勝つことが目標になっている。個人競技と異なり、駅伝ではチーム名が「大学名」「企業名」でイメージを高める効果があるからだ。駅伝ではマラソン選手は養成されないという厳しい現実がある。
 9月  日本勢が大活躍したリオ五輪、世界のトップアスリートの戦いに、ついTVに見入ってしまった。最終日の男子マラソンもスタートからゴール迄見続けた。予想通り、ケニア、エチオピアが金・銀メダルだったが、エチオピアのリレサが2位でゴールした際に頭上で両腕をクロスしながらゴール。中継を見ていた時は、喜びのパフォーマンスかと思っていたが、直後の報道で強権政治に対する抗議の姿を世界にアピールしたものだと知った。エチオピアでは、政権への抗議にバツ印を作ることが、抗議のシンボルになっているそうだ。彼の出身はオロモ族、多数派民族でありながら政権から弾圧を受けている。政権による土地収奪に反対するオロモ族のデモに対する弾圧で、昨年11月以降500人以上が殺され、数万人もが逮捕されたそうだ。
リレサはゴール後、「エチオピアに戻れば殺される。殺されなくても逮捕される。他国に行くだろう」と亡命を話した。政府高官は「帰国すれば英雄として扱う」と述べたが、そんな言葉が信用できる国でない。彼を救う為世界中から11万ドル(1100万円)が数日で集まった。メダルを首に掛けて誇らしげに帰国する選手、メダルを獲得しても帰国に命の危険を感じる選手。これが世界の現実だ。
 10月  マラソンからウルトラヘ、ウルトラからスーパーウルトラヘ、挑戦はエスカレートし勝ちだが、登山者が近郊の山に飽き足らず、日本アルプスからヨーロッパアルプス、ヒマラヤヘとエスカレートするのと共通する、言わば人間の持つ達成欲望だろう。ウルトラ系が完走できたとしても、決して健康を増進する訳ではない。体力の限界に挑む走りは、体を痛め、逆に不健康を増進することをしっかり認識すべきだ。
ところで、世界には、超過酷なスーパーウルトラがある。
米カリフォルニア、国立公園デスバレー(死の谷)での大会。全体が砂漠で気温は50(C超えの、世界で最も暑い処で、海抜マイナス86mののバッドウオークーからホイットニー山(2548m)の中腹ゴール迄の起伏に富む217km
あまりの熱さで、スタートは夜、ゴールまでに夜は二回くる。暑いのでない、熱いのだ。車のボンネットで、目玉焼きができる。アスファルトにかげろうが立ち、焼け焦げた臭いがする。深く空気を吸い込むと、気管支が火傷して、血の混じった鼻水と痰が止まらない。走りだすと、脳が危機を回避させるために幻覚を起こすようになる。熱さの中での睡魔との闘い、蛇行した走りしかできなくなるような睡魔だ達成感はあっても、超不健康マラソンの代表例だ。
 11月  4年後の東京五輪、当初の会場建設予算からかけ離れた会場建設費が問題になつている。アスリートはどんな会場でも全力で闘う訓練を積み重ねているから、五輪の成功は会場建設費の多寡で決るわけでない。アスリートの厳しい闘いからどんな感動的なドラマが生まれるかが五輪の価値を決定する。 今年のリオ五輪でも多くの感動が生まれた。 女子5000mの予選2組で、3000m付近まで集団での争いが続いていたが、ニッキ・ハンプリン(ニュージーランド)が転倒、後ろを走っていたアビー・ダゴスティノ(アメリ)の脚が接触したからであった。先に立ち上がったダゴスティノが、ハンブリンを助け起こし、これは五輪だからゴールしなきや」と励ました。二人はレースを続行するが、今度はダゴスティノが脚の激しい痛みで倒れこんだ。するとハンブリンが逆に「五輪だからゴールしましょう」と励まし、二人は再び走りだした。そして大きく遅れたものの16人中15位と16位で完走した。完走後、二人は抱き合ってゴールを祝福し合った。 五輪競技委員会は二人の救済措置を取り、決勝進出を許可した。しかしダゴスティノは、右膝前十字靭帯断裂の重傷であることが判明、決勝には臨めなかった。
 12月  今年も残りわずかとなり、日没時間が早いため一日があっという間に過ぎ、年末のあわただしさを感じます。この一年間活動された会員の皆様、誠にご苦労さまでした。 これからも「明るく、楽しく、仲良く」を忘れずに、活動を継続してゆきましょう。
○奈良マラソン(1211)に関し、桜井市の児童養護施飛鳥学院から、今年も児童虐待防止のオレンジリボンを付けて参加して欲しいとの要請がありました。今も親から虐待を受けて命を落とす子供が絶えません。選手、ボランティア、応援の皆さん、児童福祉活動「オレンジリボン運動」に是非協力してあげて下さい。

○忘年会(1218)の件ですが、毎年小料理店「元気」で開催され、賑やかで盛り上がった会で参加したかったのですが、当日大分市に出張中で誠に残念ですが欠席します。 実弟が大分市で内科クリニックを営んでいる関係で、医療法人「あすか会」の監査をしています。 そんな関係で毎年7月と12月に大分に出向いています。通常第2週ですが向こうの仕事の関係で今年は第3週になり、都合悪くなりました。
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