2009年のお言葉へ

2010年明日香文明会長のお言葉




月   お言葉
 1月  今年もマイペースを忘れずに元気に走りましょう
いつも、明るく楽しく仲良い雰囲気の会 自由でありながら、お互いに尊敬しあい、信頼しあえる会を創ってゆきましょう。 10日am8:00常谷寺本堂集合、初詣
2月   毎週TVで放映されるマラソン大会、最近どの大会でもラビットと通称されるペースメーカーがいる。ドッグレースで犬の獲物に見立てた機械仕掛けの「うさぎ」からきた名称であるが、欧州では中距離以上のトラック競技でもラビットを使うことが当たり前になっている。
このラビットも、見事なランナーだ。多くは25km〜35kmまで、絶えず優勝を狙って走る選手達に気を配りながら理想的ペースを見出して見事に先頭を走る仕事をなし遂げる。そして仕事をなし終えたあとは悠然とレースの場から消えてゆく。
これを見ていると、勝負とは無関係なラビットにも一種の美学があることがわかる。
ラビットがなぜ要るのか。近年のマラソンには勝負以上に人間が限界にいどむスピード記録が期待されているが、ランナー同士のかけ引きだけだと様子からスローペースになり記録がでない。
また先頭ランナーは風圧を受け消耗するから風除けが必要だからだ。
3月   2月の後半を楽しませてくれたバンクーバー冬季オリンピックが幕を閉じた。
闘う競技者の姿は夏のオリンピック以上にすさまじいものがあった。スキーの滑降や大回転、フリースタイル系スキー及びスノボー、ソリ競技等は過酷で命知らずの極限の闘いだった。
また選手の国籍やメダルの獲得数を国別に数える時代ではないグローバルな時代になっている。フィギュアでは両親が日本人の長州未来がアメリカ代表、フィギュア・ペアでは愛知県出身の川口悠子がロシア代表、ショートトラックでは日系二世で父が日本人、母がアメリカ人のアポロン・アントン・大野が3個の金メダル、アイスダンスでは父がアメリカ人、母が日本人のキャッシーとクリスのリード姉弟が日本代表だった。
コーチ陣でも浅田真央のコーチのタラソワはロシア人、織田信成、安藤美姫のコーチのモロゾフはベラルーシ人。日の丸を振って応援する気持ちは分るがもはやそんな時代ではない
 4月  東京マラソンの影響もあってか1周5kmの皇居周回ランナーが激増。
しかし目立つのがマナーの悪さ。 かって企業在職中に毎週皇居周回を楽しんだ経験があるが、反時計廻りをすること、歩道左側を二人以内で走ること、追い越しは歩道の外側からすること、集団では走らないことがマナーとして守られていた。
歩行者の数が圧倒的に多かったし、格式高い皇居を眺めて走る限り当然の約束ごとで皆がそれを守って周回していた。 ところが最近はそれを守らないランナーが多いのだ。
中には歩行者を邪魔だと怒鳴りつけているものもいる。
また空のビンや缶を放置したり、近くの銭湯の脱衣所にシューズを袋に入れずに持ち込む者もいる。
苦情に困った警察庁は5箇所に注意を促す看板を立てた。 その看板には「皇居周辺の歩道はランナーは専用ではありません」と書かれている。皇居ランナーはマナーを守るべきだ。そのうちジョギング禁止ならないように。
 5月 過去のマラソン大会の中で選手の最も過酷な姿を見たのが、ロス五輪(1984)での女子M・スイス代表のG・アンゼルセン選手(当時・39)だった 。
女子Mが始めて五輪の種目となった大会で、USAのベノイトが2:24:52で優勝。
約20分後にアンゼルセンが競技場に戻ってきた。しかし姿はフラフラ、まるで夢遊病者。両手を差し延べ、体は傾いて、足はもつれ、目はうつろ、ジグザグにしか前に進めない。特に右手、右足が全く思い通りに動かない。
熱中症にかかっていることは誰にも明らかだった。 監察医もゴール付近にいたが、ゴールへの執念を汲んだのか、生きてゴールできると判断したのか、やめさせなかった。満場のシュプッレヒコールに支えられ競技場に入ってから5分44秒をかけてゴール、2:48:42で37位だった。
ゴール後、担架で救急車に運ばれ冷水わかけられ、病院へ運ばれていった。
思い出すと、背筋が凍りつくような場面だった。 早いもので彼女は今アメリカに住み、既に65歳を既に65歳を迎えている。
 6月 マラソンは正式には、42.195KMを走るものだが、それ以上の距離を走るウルトラマラソンも100KM迄のものが多い。その日のうちに終わらせるにはその辺りの距離が限度になるからだ。
しかしもっと走り続けたい奇特な人達がいる。 世に「超人マラソン」といわれるもので、24時間や48時間でどれだけ走れるかを競う長時間走や、100KMを超える距離を走るものだ。
24時間走の世界記録は303.506KMだから、1KMを4分45秒で24時間走り続けたことになる。 ちなみに日本人の24時間走の最高記録は、神奈川県相模原市の関谷良一(43)選手の274.884KMだ。
そして更に「アース(EARTH)マラソン」なるものが現れた。間寛平が挑戦中の、世界を一回りするマラソンで、陸路は走り、海路はヨットで渡る。サポーターや資金援助がないとできないが、これまで533日をかけて32512KMを達成した。
トルクメニスタンまで到達しながら、前立腺のガンのためにサンフランシスコに戻り、現在は中断している。
 
 7月 走ることが人生を変えることがある。
アナ・ガルセスさん(47)はブラジル・サンパウロの孤児院前の靴箱に生後捨てられた。 18歳の時孤児院を出て家政婦になったが給料をもらえず、5ヶ月後に、宝石や服を盗んで逃げた。
路上暮らしで飢えや寒さに耐えるため大麻やコカインに手をだした。ひったくり、強盗、恐喝を繰り返し、髪を切り男のように振舞った。ある日、電気屋の店先のTVで放送中の映画「炎のランナー」を見て心を奪われた。その時期にサンパウロ市が開催のM大会に参加。
靴、シャツ、参加費用まで盗みとったものでまかなった。 初Mはビリに近いが完走した。ランナーになりたいとの願いに地元のテレビ局が興味を示し、番組を見たサンパウロ州のスポーツ局長が寄宿舎で生活してトレーニングを受けられるにしてくれた。やがて南米、米国、、日本のM大会にも参加。
昨年1月に、45〜50歳代のハーフM南北米大陸新記録となる1時間26分の記録を出すに至った。
 
 8月  皇居を周回する1周5kmのコースは、今や大人気だが、着替えたり荷物を預ける場所がないという問題があった。
約30年程前には、近くにランニング好きの爺さんが経営する、板仕切の簡易シャワー室と、荷物預かりを兼ねた有料施設があり、とても安っぽいものであったが何回か使用した経験がある。
先月から地下鉄東西線に直結する、毎日新聞の入るパレスサイドビル皇居側1階に「ランピット」という名称のシャワー、ロッカーを備えた施設ができた。上京した際には是非一度利用したいと思っている。
毎日新聞社とKDDIの共同経営で、シャワー15基(男7、女8)、ロッカー122基(男60、女62)と女性優位だ。 営業時間は7:00〜22:00(土日祝8:〜18)、施設利用料は一般800円、会員700円とリーズナブルだ。バスタオルのレンタルもあって200円で利用できる。更に長期間利用のランナー用に月極め利用のシューズロッカーも設置されている。
 9月  お盆の行事を終え、8/24-8/30にかけてカナダ(ナイアガラ)、アメリカ(ニューヨーク)を旅した。時差13時間、日本と朝晩が全く逆になるので昼眠く、夜中に目が覚め、体にはきついのがアメリカ旅行の特徴といえる。しかも飛行機の便の関係で成田からテキサス州ヒューストンへ、乗り継ぎでトロントに到着。
ツアーでない個人旅行ならではのタフな行程だった。
水しぶきが霧をつくりあげるナイアガラはレインコートをつけて船で滝つぼに近づき見学を終えた後、近くのホテルから対岸のテキサスに出てジョギング、ナイアガラを横に見ながらのジョギングは贅沢きわまりない素晴らしいものであった。
NYではセントラルパークで沢山の人達がジョギング、サイクリングを楽しんでいた。
自由の女神を見た後、テロの跡地(グランドゼロ)を訪れたが今は再建の進む工事現場。
NYではどの通りを歩いても凄い人手。ブロードウェイのミュージカル「ライオンキング」も満席の盛況だった。
 10月
 奈良フルMが遷都1300年の終末を飾りそうだが、来年には大阪、神戸で市民レベルのフルM、再来年春には京都で市民レベルのフルMが行なわれることが決定。 フル好きのランナーはとかく忙しくなる。 健康志向の表れというよりは、地域活性化が裏にある。 小規模のMをいくら行っても地域活性化には繋がらない。大規模なMにより全国から多くのランナーを集めホテルを満室にし、家族にもきて貰い、観衆を集めてその地域での飲食、みやげ物で消費をうながして、初めて地域が活性化する。 きっかけは東京M、石原都政の功績は、日曜のビジネス街をランナーに開放したこと。 定員3万に対して参加応募30万人、落選ランナーはフル欲求不満の難民になって、各地のフルMを求めてさまよう。
運営には人員、経費が巨大になるが、大規模Mはマスコミの注目度も高くスポンサーもつきやすい。 やるっきゃないのだ。
 11月 地域の活性化の為にマラソン大会を行うことが盛んになっている。
地域の特産品を売り物にする大会で参加者にも好評だ。巨峰の丘M(山梨)では参加賞に巨峰1キロ。富里スイカM(千葉)では「給スイカ」があり、レース後はスイカ食べ放題。玉名市横島町イチゴMでは参加賞がイチゴジャムで、特産イチゴ2パックがお土産につく。
伊達市ももの里M(福島)では遠来ランナーに桃6個をくれる。マキノ栗M(滋賀)では栗がもらえる。うきは柿M(福岡)では柿8個が提供される。東根さくらんぼM(山形)も人気で参加者が1万人を超える。白井梨M(千葉)も梨をサービス。日本海メロンM(秋田)は名産メロンが参加賞で、しかもメロン食べ放題。サービスがよければランナーが多く参加し、特産品の知名度が向上し、走る以外の楽しみが増えるので家族連れも多くなり土産も沢山売れる。特産品もまだこれからという地域には特に有効なのがこんなM大会だ。
 
12月  県民ランナー待望の奈良Mが5日に開催される。参加者が1万人の規模だから盛大そのもの。来年10月の大阪、11月の神戸、再来年の京都と都市型大規模フルMが創設されるので、今後はMブームに拍車がかかりそうだ。
都市型Mでは道路が平日より日曜日に閑散とするから問題はないが、奈良は日曜日に観光客が押し寄せるから来年以降の開催は問題がありそうだ。同じ観光都市でも京都は道路幅が広く、碁盤目状の道路になっているから迂回路をとりやすい。奈良は道路が狭いし生活道路として使われている箇所では迂回路もとりにくい。その上片側通行ができず長時間全面通行止めにするなら、物凄い苦情が殺到することは目に見えている。こんな事情の奈良で来年すんなり繋がるかどうかみものだ。参加ランナーの方々は、うまいやり方を考えながら走ってみてはどうか。