鳩の赤ちゃん誕生物語   '03.07.22 Eri

の話は、鳩の成長について勝手な憶測を加えて書いているもので、
真実とは違うかもしれませんので、ご了承下さい。

今年の4月頃、鳩が巣を作っていることに気が付きました。
会社の、2階の事務所の隣の建物の鉄骨の上にワラのようなものを乗せて、
それが、ちょうど私達の部署の席からよく見えるところにあるのです。
私の席からは、ちょっと横を向いて見上げると鳩の巣がある、という感じでした。

その時は、ヒナが2羽誕生したのが見えたので、成長を楽しみにしていたのに、
小さくてよく見えないうちに、5月の10連休に入り、その間にすっかり成長してしまい、
連休明け2日後には巣立ってしまうという寂しいものでした。

ところが、6月に入って、もう一度2羽の鳩が巣に戻ったときから、
私達女性数人で、にわかに「鳩を見守る会」を結成して(?)、
毎日、鳩の親子を見守るようになりました。

ラブラブ期
お父さん<T介 濃紺1色で小柄な身体
ちょっと怖がりで、私達が立って見ていると巣に近付きません。
お母さん<Q子 全体は薄いグレーで、尾の付け根のところに
濃い紺色で2本のラインが入っています。
身体のサイズはやや大き目。

名前は私が勝手に付けました(課の略称をもじって)。
どちらがオスかメスかも、本当はわかっていませんが、見ていて、きっとこうなのだろうと思いました。

6月にこの2羽が巣に戻って来ましたが、以前はどんな鳩だったのか柄を覚えていないので、
4月の鳩と同一人物(?)なのかは、わかりません。
そこで「4月と同じ夫婦」「今度はダンナが違う」などと、みんな勝手に想像しました。
誰も決して、「4月のオスが別のメスを連れて来た」なんて言いません(^_^;)

T介とQ子は、実に仲がいいのです。
恋愛期間なのか、新婚時代なのか、とにかく1日中、巣の中で2羽でくっついているのです。
2羽で優しくつつきあったり、T介がQ子の胸の辺りに顔をうずめたり、
キスもするんですよ!
でも、くちばしとくちばしのキスってどんな感じ?カタそうですね。
いい加減にしたら?と思うくらいイチャイチャしていました。私達は当然仕事中なのですが…

卵あたため期

1週間後くらいには、卵が生まれたらしいのですが、
何個あるのかは、見えないのでわかりません。、
それからはQ子が巣に座って卵を温め始めました。
いつもQ子ばかり座っているな…と思っていましたが、
どうやら、夜はT介が交代して座って温めているようでした。
朝9時頃にT介→Q子夕方5時頃にQ子→T介、と交代していました。
1日中、じっと座っています。飽きもせず…
でも、鳩から見たら、私達だって、1日中、じっと座っているように見えるだろうな。
しかも、制服を着ているから、みんな同じように見えるかもしれない(笑)
私達から見ると、鳩がみんな同じ顔に見えるように…

ある朝、9時半くらいになってもT介が座っていて、おかしいなあ…と思っていたら、
突然、T介がどこかに飛んで行きました。
どうも、なかなか交代に来ないQ子を、T介が迎えに行ったような気がするのです。
その時のT介の言葉(もちろん想像です)
「お〜い、いつまで何やってんねん!」それとも「どうしちゃったの、心配したよ…(なぜか関東弁)」
それからすぐにQ子だけが戻ってきました。

誕 生

その事件(?)があった日にヒナがうまれました\(^o^)/
どうやら1羽のようです。
鳥の子育てといえば、ツバメが有名で、ヒナだけが並んで大きな口をあけて、
親鳥が運んでくれる餌を待つのですが、
鳩の場合は、ヒナが生まれると、親鳥が1羽、必ず寄り添っています。
で、もう1羽の親が餌を運んでくるのです。
ヒナに付き添っている親の餌は、どうするのかはわかりません。
時々いなくなることもあったので、自分で食べに行っているのかもしれません…

その、親鳥が、ヒナに餌をやるシーンが実にスゴイのです。
最初は、ヒナをいじめているのかと思ったくらいです…
ヒナのくちばしのずっと奥ののどの底まで餌を押し込むらしくて、
まるで、親がヒナをつついたり、引きずりあげているように見えました!

ヒナは、最初は全身が灰色のうぶ毛に包まれています。
3頭身くらいの、なんとも頼りない姿で、いつも親鳥のそばで寝ているので、
なかなか姿を見ることができませんが、唯一、餌をもらう時に、
親から吊り上げられるので(くちばしが離れなくて?)、その時だけ見えます。

成長期

やがて、骨格が鳩らしくなっていきますが、頭の灰色のうぶ毛だけが、
いつまでもヒナの面影を残して、ピンピンと立っているのが笑えます。

小さくて頼りないヒナ時代は、本当に親が大事に寄り添っていますが、
少し大きくなって、親の半分くらいの大きさになると、巣も狭くなるのでしょうが、
親は巣から離れて、ヒナだけでお留守番をします。
一人ぼっちのヒナが可哀相で心配で、親が帰ってくるのを心待ちしていました。
私達って、いったいヒナのなんなの?(笑)

親が帰ってくると、ヒナは喜んで羽をばたばたさせます。
そしてエサをのどの奥まで突っ込んでもらって、また一人ぼっちのお留守番です。
大きくなると、頭を上げて、起きてる時間が長くなりました。

ツバメはスイスイ飛ぶ姿が印象的で、あまり歩いている姿を見ません。
でも、鳩は公園等で、よく歩いていますよね、歩く鳥だと思います。
なのに、狭い巣の中で、ずいぶん成長したのに、決して歩くことなくお留守番です。
でも、歩いて、巣から落ちたらきっともとには戻れないでしょう。

巣立ち

5月のヒナは、2週間半くらいで、アッという間に巣立って行ったけど、
今回のヒナは成長したのに、なかなか飛び立つ気配が見られませんでしたが、
やがて、T介やQ子が来た時に、懸命に羽をばたつかせるようになりました。
「ほら、もうこんなにできるんだよ」とアピールしているように見えます。

ある日、少し離れたところから2羽で見守るT介とQ子の姿がありました。
「ここまで飛んでおいで」と言っているようでした。
でも、とうとうその日は懸命な羽ばたきだけで、飛ぶことはできませんでした。
建物と建物の間の巣は、外敵からは安全と思えますが、
最初の第一歩、じゃなくて第一飛(?)には、ちょっと挑戦しにくい作りだと思います。

それから3日間の連休後、朝から、もうヒナの姿はありませんでした。
巣立ちに成功したようです。
寂しいけど、「飛べなかったらどうしよう…」と心配していたので、安心しました。