つれづれに・京都あれこれ (2017年発表分)

                                                                                         【伊東静雄 詩集より】

師走の星に人想う(2017年12月)

   「樹々はとり囲む垣に似てつらなり とほく退いて 自ら暗くなつた(金星)」

 竹田街道札ノ辻にある、「長谷川 歴史・文化・交流の家」をご存じですか。築270余年のこの農家住宅は、虫籠窓や箱階段など、京町屋の風情を残していて、貴重な資料が公開されています。2階厨子は、11代当主だった、長谷川良雄のギャラリーになっています。その良雄の水彩画展が、10日まで開催中。彼の描いた古都の田舎を味わってみましょう。
 幻の「拳を打てる三人の舞妓」を、見てみよう。大正から昭和にかけて活躍した日本画家、岡本神草。締切に間に合わず、制作途中の真ん中だけ切り取って出展したとか。今回、その切り取られた残りの部分が発見されて、3人揃うことになりました。近代美術館で、10日まで。他にも「口紅」や「婦女遊戯」、更には甲斐庄楠音の「横櫛」、稲垣仲静の「太夫」など。これが、デロリか。
 師走と言えば、京の年中行事の吉例顔見世興行。ことしはなんと、ロームシアターで。1日から18日の短期興行ですが、八代目芝翫と息子3人の同時襲名が、しっかり披露されます。芝翫は、渡海屋銀平・碇知盛と左官長兵衛とは、渋い。息子たちは、対面、俄獅子、大江山酒呑童子で、梅玉、時蔵、孝太郎、勘九郎、七之助の胸を借ります。お弁当もおいしそう。
 その向かいの伝統産業ふれあい館(みやこめっせの中)では、同時期に「歌舞伎のモノコト展」が開催。舞台で使用される衣装や小道具、その中での京都の伝統工芸の技法が紹介されます。鳴物を触って音を出せたり、動物と乗り物に乗れたり、まねき看板書きやミニ提灯づくり体験があったりと、楽しそう。もちろん、八代目芝翫襲名に関する展示もあります。
 「さあ、お行き! 出番です、マヤ」って、月影千草がこわーい。そうです、連載40周年を迎えた名作、美内すずえの「ガラスの仮面」(今も未完結)。その原画やグッズが、約300点公開中なんです。マヤと亜弓の争い、速水真澄の優しさ、月影千草の厳しさなど、キャラをたっぷりと楽しもう。さあ25日までに、伊勢丹の美術館「えき」にお行き!
葉の露に夜の酒を(2017年11月)

   「栗の矮林を宿にした夜は 反落葉にたまつた美しい露を 秧鶏はね酒にして呑んでしまふ」(秧鶏は飛ばずに全路を歩いて来る)

 京都市で開催中の、東アジア文化都市は大詰め。5日は、コンサートホールで「日中韓、音楽の祭典」が開催されます。第一部では、朝鮮民謡、中国ヤオ族の民謡、外山雄三の曲を京響が演奏します。第二部は、京響をバックに日中韓の歌手が「カルメン」を歌う。スペインが舞台のフランス人の曲を、東アジアで聴く趣向。19日は、クロージングの式典が、ロームシアターであります。
 龍谷ミュージアムに、地獄のオールスターズ勢揃いとは何のこと。「地獄絵ワンダーランド」と題して、地獄に関連する木造、絵画、書物などが、全国から集められました。鎌倉時代から南北朝時代の、地獄十王図、閻魔王像などは、迫力十分でやはり怖い。でも、江戸時代になると、怖い中にもどこかユーモラス。地獄キャラ人気投票もあって、怖いより楽しい。12日まで。
 みなさん、京野菜食べてますか。18日から2日間は、岡崎公園で「京野菜フェスティバル」がありますよ。京野菜を使用した、和食、中華、イタリアン、フレンチの特別メニューを堪能してみましょう。旬の京野菜と京のブランド産の販売があって、もちろんきき酒の販売会も。食べて飲んで、でも野菜なのでヘルシーに。
 同じく食べるなら、23日に中央卸売市場に行きましょう。この日は、市場開設90周年で、市場まつりの日です。青果物、水産物、特産食材の展示・販売があり、カニ、松茸、ふぐなどを使った鍋ブースも置かれます。市場ならではの、マグロの解体、あんこうの吊るし切り、バナナの叩き売り等のイベントもたくさん。こりゃ、腹いっぱい。
 やっぱり国宝はスゴイぞ。って企画は、国立博物館の特別展覧会。国宝指定の美術工芸品885件のうち、200件以上を一堂に集めたとはスゴイ。十日町市の火焔型土器、雪舟の秋冬山水図、等伯と久蔵の親子共演、松林図屏風と桜図壁貼付、薬師寺の吉祥天像などなど、もう見逃せない。26日まで、4期に分けて公開なので、4回行ってしまうかも。
野分に去る草と人(2017年10月)

   「野分よさらば駆けゆけ。目とむれば草紅葉すとひとは言へど。」(野分に寄す)

 秋日和の日は、京都駅近くの梅小路公園に行ってみましょう。鉄道博物館と水族館がある、広い公園です。9日までは、「藤袴と和の花展」が開催中。「朱雀の庭」ではフジバカマが満開、アサギマダラが遙かな旅を経て来園中です。7日から2日間は、「太陽と星空のサーカス」。シアター、楽団、バザール、クレーン体験などのイベントを楽しもう。
 次は、みやこめっせで、石の不思議を発見しよう。毎年恒例の「石ふしぎ大発見展」では、鉱物、化石、石製品の展示即売会が行われます。今年は、京都で発見されたイルカ化石が目玉。えっ、京都でイルカ? そうです、1600万年前は、東海、岐阜、京都南部にかけては海だったんです。発掘の様子も、勉強したいですね。7日から3日間です。
 こちらも恒例、円山公園のコンサート。14日は、フォークコンサートで「京の旅人」。いつもの杉田二郎、ばんばひろふみに、堀内孝雄、高山厳、稲葉晃など。15日は、カントリードリームです。お馴染み永富研二とテネシーファイブ、石橋イサオ、森山公一などに、キャシー・キアボラがゲストとはうれしい。雨天決行なので、お天気にご注意。
 最近は、いろんなコラボがあります。高台寺では、バロン吉元の特別展が15日まで開催中。バロン吉元50周年を記念して、その名も「画侠展」。ご想像どおり、柔侠伝シリーズから、柔侠伝、昭和柔侠伝、現代柔侠伝、男柔侠伝、日本柔侠伝、新柔侠伝。ほかにも、どん亀野郎、黒い鷲、徒然草(マンガ日本の古典)など。おお、侠気とユーモア。
 ただ今、麦わらの一味が京都に潜伏中。そう、「京都麦わら道中記」とのイベント。一味の目印がある市内8箇所を巡って、スタンプを集めると、記念のグッズがもらえます。
その手配書は、市役所新設の手配書課でもらえます(もちろん架空)。特に、ナミは地下鉄東西線のあちこちに現れるので、大変かも。まずは、京都駅のルフィから。22日まで。
空に蜻蛉我は立つ(2017年9月)

   「弓弦絶たれし空よ見よ 陽差のなかに立ち来つつ 振舞ひ著し蜻蛉のむれ」(蜻蛉)

 「玉三郎×鼓童」。その新たな伝説が、ここに。アマテラスに続くコラボ、そのお題は「幽玄」。能から「羽衣」、「道成寺」、「石橋」の3演目が、題材として表現されます。囃し、謡う、いつもと違う鼓童、優雅に舞ういつもと変わらない玉三郎。花柳流から、壽輔とその一門も参加。これはもう、新たな伝説か。21日から3日間、ロームシアターです。
 京まふって、なに?岡崎動物園の可愛い動物?いやいや、それはもふもふ。こちらはまふで、京都国際マンガ・アニメフェアのこと。最新マンガとアニメ作品の展示、グッズ、フード、ステージ、コスプレとは盛りだくさん。東アジア文化都市のイベント、クッキングパパ企画展では、中韓名物料理が紹介されます。みやこめっせで、16日と17日。
 初春に梅を愛でて、秋に梅酒を楽しむ。気になる人は、北野天満宮に集合。全国の酒蔵から選ばれた、40種以上の梅酒が飲み比べできるんです。もちろん、京都の酒蔵でつくられた梅酒もあります。京菓子と梅酒のコラボ企画、梅酒ビールの試飲とは楽しそう。梅結びグラスも、もらえるとか。16日から3日間、大人限定ですよ。
 これも、東アジア文化都市の一環。いつも驚きの企画で楽しませてくれる、やなぎみわ。今年は、中上健次原作による「日輪の翼」の野外劇。河原町十条の鴨川特設会場に、巨大なステージトレーラーがやってきて、俳優、タップダンサー、ポールダンサー、ロック、新内、サムナダンなど、様々な趣向で夜を彩ります。14日から4日間です。
 心疲れたときは、西陣に行ってみましょう。西陣織会館では、グッズの販売はもちろん、種々の展示や資料を拝見できます。外国人観光客に大人気の、着物ショーもあります。それから、西陣碑、舟橋碑、千両が辻、観世稲荷社、首途八幡宮、本隆寺、雨宝院、岩上神社などを、ゆっくりとゆっくりと回るのです。そうして、石畳の道で、織成館に。ほっ。
夏の海に深く合唱(2017年8月)

   「海波は最後の一滴まで沸り墜ち了り 沈黙な合唱をかしこにしてゐる」 (有明海の思ひ出)

 9日は、観世会館で市民狂言会。夏休みらしく、蝸牛、棒縛、竹生島詣、鶏聟と、わかりやすく親しみやすい狂言が、並びました。茂山家から、千作と七五三の重鎮、千五郎と茂、宗彦と逸平の兄弟などが勢揃い。棒縛の次郎冠者は、忠三郎襲名を控えた良暢です。「なに、打擲ならば夜の棒じゃ」と、飄々とした明るさがキャラです。
 夏休みは、子ども向けの企画がたくさん。12日と13日は、ロームシアターで遊ぼう。劇場ツアーでは、ホールの中、楽屋、バックステージなどを見学できます。こどもディスコやDJ体験もあるよ。近くのみやこめっせでは、11日から20まで電車王国。鉄道おもちゃ運転、運転士なりきり撮影、レゴブロック展示、ふわふわエア遊具など、もういっぱい。
 大人はじっと暑さを我慢して、下鴨神社に行こう。11日から16日まで、恒例の納涼古本まつりです。真剣に本を探すより、うちわをぱたぱた(会場でもらえます)、かき氷をしゃりしゃり、糺の森をゆっくり散策するのが風情。今年は、突然の雷雨に注意。あっと、子ども向けにちゃんと児童書もあって、紙芝居や絵本読み聞かせもありますよ。
 大人も子どもも、「京の七夕」で願いごと。北野天満宮・紙屋川、堀川、二条城、梅小路公園、岡崎、鴨川と、市内各地が会場です。堀川会場では、御池から今出川まで、光の天の川、光の友禅流し、光のしずく、なつかしチンチン電車、かがり火ライブ、舞子はんの七夕茶屋など、もうイベント尽くし。戻橋の鬼も、浮かれて出てきそう。5日から11日まで。
 マグナムといえば、パリで結成された写真家集団。写真家自身が権利と自由を守り、主張することが目的。その創立70周年の写真展が、文化博物館で開催中。戦前、戦後から現在まで、何が写されているのか。来月18日までです。文博の楽しみは、元・日銀のレトロホールを利用したコンサート。12日には、市立芸大の学生がフランス楽曲を演奏します。
己が時に朝顔の夢(2017年7月)

   「かのふきあげの魅惑に 己が時逝きて朝顔の なほ頼みゐる花のゆめ」(朝顔)

 7月の京都は、祇園祭。今年も、山鉾巡行は17日が前祭、24日が後祭です。色々な所で案内所がありますが、面白いのは京都駅コンコース。ミニチュア山鉾による地図、山鉾ゆかりの品々の展示、そうして秘話の紹介。中でも、悪王子町のスサノオを祀る神社、祭りの間だけ開いている御手洗井など。まだまだ知らない京都があります。
 今年は、梅雨がだらだら続く分、猛暑の予感がしますね。こんな時こそ、蹴上から銀閣寺まで歩いてみましょう。そう、哲学の道です。途中で東に曲がると、法然院。ここで、ちょっと変わった「幻想絵画展」が開催されます。田中照三、臼井信雄、上田寛の3人による、ファンタジックな絵がいっぱい。18日から23日までです。
 伊勢丹でプレビュー、ホテルアンテルームで写真展があった、デヴィッド・ボウイ。撮ったのは、ミック・ロック。このイベントの締めくくりで、ミックが自ら出演し語る映画、「SHOT!」の日本初・先行上映があります。ボウイ、ルーリード、イギーポップはもちろん、シドバレットやクイーンに何を語るのか。みなみ会館で、17日まで。
 北山駅で降りて、上賀茂神社まで歩く途中にある、瑞雲庵。西枝財団が町家を改造して、アーティストに解放しているイベント会場です。17日まで、「アンキャッチブル・ストーリー」」と題した展覧会が開催中。過去・現在・未来の「わからないもの」を、ストーリーとして再構成する、3人の作品は何を語るのか。猛暑の中、行ってみる楽しさはありますよ。
 たまにはジャズのライブで、暑さを忘れましょう。すっかり京都にお馴染になってきた、New York Standards Quartet。新作アルバム「Sleight of Hand」のツアーが、13日の京都RAGから始まります(ん? 手練の技?)。サックスのカルテットによる、軽めのハードバップ。揺れて、揺られて、スイングしよう。
水無月に光る昼夜(2017年6月)

   「六月の夜と昼のあはひに 萬象のこれは自ら光る明るさの時刻。」(水中花)

 今年も来ました、ファッションカンタータ。伝統和装と最新モードの華やかな舞台、今年のテーマは「『ハレの日』の装いをクリエイション」。プロデューサーは山本寛斎で、山田優、本田望結ちゃん、中村玉緒さんがゲストなのがうれしい。「オー!マイキー」の石橋義正が演出とは、どうなるのか。場所は、ちょっと地味に京都劇場。10日です。
 「にゃーるど! 全開!!」って、何だ? そう、文化博物館の「いつだって猫展」で、江戸後期にあった、猫ブームの秘密を探りましょう。可愛いやら、恐いやら、妖しいやら、猫の浮世絵、招き猫、玩具などがずらりと勢揃い。おや、「京都(うち)だって猫展」も同時開催。京都の猫文化を見てみましょう。どちらも、11日まで。
 燦然と輝くロックスター、デヴィッド・ボウイの姿を見てみましょう。ミック・ロックが写した、その70年代の写真には、この世のものとは思えない魅力がたっぷり。写真展は、ホテルアンテルームで17日から1ヶ月間の開催ですが、それに先駆けたプレビューが、13日まで伊勢丹で開催。グッズ販売は、7日から。
 漢字はみんなの友達だ、僕らは昔から漢字遊びが好きだった。と言うことで、漢字ミュージアムで、漢字を遊んでみましょう。祇園にある、正式名「漢検 漢字博物館・図書館」で、18日まで「みんなの創作『感』字展」が開催中。江戸時代の漢字資料、昔の教科書、漢字クイズなどが、楽しい。ミュージアムに寄せられた、創作漢字も見てみたい。
 学ぶんだったら、京都産業大のむすびわざ館。30日まで、「弓矢町 祇園祭の武具飾り」展が開催中。祇園祭の山鉾巡行と同じ日に、町家の玄関先で武具を飾る町があることを知っていますか。その弓矢町の道具類を見て、町の歴史と人々の活動を学びましょう。18日には、講演会があります。
初夏の光と飛ぶ燕(2017年5月)

   「門の外の ひかりまぶしき 高きところに 在りて 一羽 燕ぞ鳴く」(燕)

 今年もやって来ました、京都国際写真祭。京都市内16ヶ所が、写真でいっぱいになります。今年のテーマは、「LOVE」。過激な写真や性的な写真もありますが、そこはアートということで。まずは無料の、虎屋京都ギャラリー、誉田屋源兵衛、ギャラリー素形、元・新風館(現在建て替え中)あたりで、馴染んでみますか。
 で、有料でも押さえておきたい、展示を二つ。まず、文化博物館の映像インスタレーション。作者はラファエル・ダラポルタで、作品は世界最古36000年前の、ショーヴェ洞窟内部です。ゆっくり動くカメラに、感動。それから、京都伊勢丹。アニエス・ベーのフォトコレクションです。人間味あふれる写真に、またまた感動。
 同じくやって来る、京都薪能。来月1日と2日に、平安神宮で夜6時から。それに先立ち、スペシャル・プレ公演が、京都駅地下街のポルタプラザ特設会場であります。薪能出演者による解説と、ダイジェスト版の上演とはうれしい。能は小鍛冶と経正、狂言は棒縛りとは、うれしい。無料なのが、またうれしい。11時と14時の2回です。
 すごいジャズには、理由(ワケ)があるらしい。それを知るには、13日に府民ホールアルティに行こう。いやいや、ご安心を。難しくはありません。「ジャズってどう楽しむの?どういう聴きどころがあるの?」との、初心者向けのイベントです。演奏するのはフィリップ・ストレンジのピアノトリオで、お話は岡田暁生さん。どうぞ、お気軽に。
 若冲が終わると、海北友松ですか。「この絵師、ただものではない」って、どんな絵師なの? 「桃山最後の巨匠、いよいよ登場」、「遅咲きの孤高の絵師」とか言われると、んっと思ってしまいますが、そこは気にせず、襖絵、屏風絵、奉書などを、無心に見てみましょう。威風堂々の雲竜図は、大迫力。国立博物館で、21日までだリン。
四月の風と青い麦(2017年4月)

   「わが去らしめしひとはさり...四月のまつ青き麦は はや後悔の糧にと収穫れられぬ」
     (行って お前のその憂愁の深さのほどに)

 なかなか咲かずにやきもきした桜が、ようやく開花。すかっと晴れずに、雨やら風やらの天気が続きますが、そこで花が揺れるのを見るのも、また一興。9日は、みやこめっせで桜まつり。オカリナと歌曲、パーカッションのさくらコンサートを楽しみましょう。ステージを楽しみながら、桜スイーツが味わえるさくらカフェも楽しみ。
 哲学の道で桜を楽しんだら、銀閣寺を越えて、どんどん歩いてみましょう。北白川伊織町まで来ると、あるのが駒井家住宅。京大・駒井博士の私邸として、昭和2年に建築された住宅です。建築の素晴らしさはもちろん、季節の花々が美しい。4月は、桜に合わせて9日まで公開されます。その後は、さつきに合わせて、28日から5月7日まで公開です。
 毎年恒例の、二条城桜まつり。16日までなので、後半が見ごろかも。山桜、里桜、枝垂桜など、50品種300本が、世界遺産で咲き誇ります。お花見弁当が売られる屋台、伝統工芸、京菓子、漬物が並ぶ老舗名産品展などが楽しみ。夜は、ライトアップ。唐門、香雲亭、清流園では、プロジェクションマッピングで、光と音の演出があるとか。
 桜でうきうきした後は、西陣の本法寺でこころ鎮めます。15日まで、春季特別寺宝展が開催中です。長谷川等伯の大涅槃図を、拝見しましょう。家族や僧侶の供養を目的に描かれた、縦10m横6mの図。この中には、深い物語があります。ほかにも、日親上人曼荼羅本尊、趙昌の貝尽くし図、光悦の花唐草螺鈿経箱などの、重文が見どころ。
 花は、桜だけじゃなくて薔薇もだよ。ということで、高島屋に行ってみましょう。池田理代子のデビュー50周年記念展が、12日から23日まで開催。タイトルは、「ベルばらとともに」。名場面の原画、宝塚歌劇の歴代公演写真、ステージ衣装、などなど。ハーブティーなどの、オリジナルグッズも見逃せない。初日は、御本人のサイン会とトークショーがあります。
温い空気に春の鳥(2017年3月)

   「野は褐色と淡い紫、田圃の上の空気はかすかに微温い。何処から春の鳥は戻る?」(早春)

 今年もあります、東山花灯路。五条の茶わん坂から、産寧坂、二年坂、石塀小路、ねねの道、円山公園、八坂神社、知恩院、青蓮院まで。夜の街が、灯りで幻想的に彩られます。今年のテーマは、「花」。現代いけばな展といけばなプロムナード、特別拝観とライトアップで見る早春の花たち。これは楽しみ。3日から12日まで。
 太秦天神川にあるユニークなギャラリーが、京都dddギャラリー。国内外のグラフィックデザインとアートにまつわる、企画展やワークショップが開催されます。ただ今18日まで、「グラフィックとミュージック」と題した企画展が開催中。音楽に関係するポスターを見ながら、「聞くこと」と「見ること」のクロスオーバーを楽しんでみましょう。
 君は、まゆまろとトラりんに出会ったか? 「京都ほんまもん祭」(京キャラ博)で、全国のキャラクターに出会ってみよう。京博120周年記念イベントで、総勢40キャラ以上が集合。もちろん、あの有名キャラも。更に、グルメ・物産も大集合ということで、激辛お好み、海鮮地醤油焼きそば、岩牡蠣蒸し焼きなどが、出店予定。18日です。
 「東アジア文化都市」とは、日本・中国・韓国それぞれが、文化芸術の発展を目指す都市を指定し、様々な文化芸術イベントを実施するプロジェクト。そのイベントの一つが、19日の芸術センターでの、「The 饗宴」。「狂言×中国変面」は、去年3月の「からくり人形」の再演で、中国変面王の姜鵬、狂言師の千五郎と茂が共演します。
 芸術歌曲の誕生と、音楽の近代との関係とは何? 25日に、府民ホール・アルティで考えてみよう。西洋化が過ぎ去った20世紀初頭、東アジアで生まれた、母語による芸術歌曲。同じ動きは、オーストラリアでもあったとか。このイベントでは、国境を越えて活動した作曲家たちの作品を、国境を越えた歌手たちが歌います。
氷れる日に愛の歌(2017年2月)

   「きりない歌をなほも紡ぐ 憂愁に気位高く 氷り易く 一瞬に氷る谷間」(氷れる谷間)

 まだまだ続く、琳派イベント。100年ごとに現れる琳派の天才、19世紀は鈴木抱一です。その一番弟子、鈴木其一の展覧会が細見美術館で開催中。江戸で活躍した、其一。写実から始まり、大胆な構成と明快な色彩、誰も到達し得ない自由な作風を展開しました。「画狂其一の挑戦」との、大胆な講演会もあり。19日までです。
 未来は、挑戦する若者のためにあり。その途中には、苦悩の中に悦楽がある。工芸繊維大が、若手作家を支援する「未来の途中プロジェクト」は、もう4年目。その、美術、工芸、デザインの新鋭9人展が、工繊大の美術工芸資料館で24日まで開催中。感じたそのままに、感想、意見、批評を述べてみましょう。それが未来のため。
 未来は宇宙にあるのか。今年で10回目の、宇宙ユニットシンポジウム。2日間で、ポスター展示発表、シンポジウム講演と、パネルディスカッションが行われます。今年のテーマは、「宇宙における持続可能な社会基盤の構築」。行くだけじゃなくて、しっかりコミュニティを確立すること大切です。京大百周年時計台記念館で、11日から。
 未来がわからないから、この世はおもしろい。五線譜に書けないから、音楽はおもしろい。と言うことで、「五線譜に書けない音の世界」に行ってみますか。声明、ジョン・ケージ、フルクサスと、これはどんどん攻めてきますよ。演奏も、ヴォイス、ベル、チェロ、トイピアノ、声明、ギターと、何でもありだ。市立芸大アクアで、26日です。
 江戸時代から明治時代にかけて、日本はどう変わったのか。徳川幕府から朝廷への政権交代は、何を意味したのか。今年は、大政奉還150周年。その記念プロジェクトで、歴史を学び未来に活かしましょう。二条城を始め、会津若松、日野、上田、桑名、福井、和歌山、高知、萩、熊本、霧島など、全国でイベントが始まります。
新春の白雪に夢む(2017年1月)

   「わが死せむ美しき日のために 連嶺の夢想よ! 汝が白雪を 消さずあれ」(曠野の歌)

 新年と言えば、お粥。上賀茂神社では、7日に白馬奏覧神事です。青馬(白馬)を見て1年の邪気を祓い、七草粥をいただきましょう。同じ7日には、西院春日神社で若菜節句祭。白馬飾りが公開され、お札を焼く焼納祭の後、若菜粥がふるまわれます。下鴨神社では、15日に小豆粥と大豆粥を神前に供する、御粥神事です。
 特別展やら、シャッターライトアップやら、髑髏酒やら、色々あった若冲生誕300周年のイベントも、ぼちぼち終わり。国立博物館では、ほかの展覧会では展示されない作品を中心に、特集陳列が15日まで開催。520円と、ちょっとお得。建仁寺塔頭の両足院では、冬の特別公開が29日まで開催。お馴染の、雪梅雄鶏図も見られます。
 今年は、大政奉還150周年ということで、様々なイベントが企画されています。22日の立命館大朱雀キャンパスでは、記念シンポジウムが開催されますが、なんと徳川宗家18代当主と土佐山内家19代当主がパネルディスカッション。二条城二の丸御殿と大広間の見学がセットになっているとは、歴男歴女にはたまりません。
 連動した企画が、「京の冬の旅」。京都定期観光バスの特別コースで、「大政奉還150年記念 京の幕末ゆかりの地をたずねて」です。周るのは、会津藩の本陣があった金戒光明寺、京都御所と二条城。もちろん、オリジナルグッズ、宇治抹茶ソフトクリーム、西陣魚新での昼食と、そこは観光。さあ、行ってみよう。
 カワイオカムラは、川合匠と岡村寛生による映像制作ユニット。1993年のライトボックス作品、「アマゾン」で有名になり、以後スーパースター、ヘコヒョン・ドリル、コロンボスなど、ユニークな作品を公開してきました。その特徴は、一見チープな人形劇と、そこにある深い詩的世界。今回、新作のムード・ホールとともに展覧会が開催中。市立芸大アクアで、22日まで。
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