インターネットで本を探して注文しよう

[2004年3月20日現在]

現在、インターネットで利用可能な、本の検索・注文システムについて、まとめました。

検:検索可、注:注文可、会:会員制、モ:モバイル版サイトあり

運営

名  称

形 態

数 量

特     徴

出版 Books(書協) 検・注・モ 61万 2001年12月までの入手可能な発行書籍収録。
オンライン書店にリンクし注文可能。
流通 本やタウン(日販) 検・注・会 書店扱い数 メガブックストア(11店)かサテライトブックストアの2種類。
後者は全国1300店に無料配達。
  e-hon(トーハン) 検・注・会 170万 加盟書店で受取り可(手数料無料)。会員専用情報ページ
取得、新刊書籍案内、発売前の商品予約可。
  本の問屋さん(大阪屋) 検・注・会・モ 注文27万
検索100万
情報が新しく早い。約1週で書店受取り可
(書店指定の場合、送料・手数料は無料)。
  本屋さん 検・注・会・モ 品切れ以外 1〜2週で宅配(最短3〜5日)。配送料全国一律200円
(1万円以上無料)。コンビニ等での店頭受取は無料。
  ブックモールジャパン 検・注 出展数 コンピュータ書、学習参考書、辞書・辞典、語学書の
専門図書サイバーモール
  ブックポータル(TRC) 95万 1980年以降の新刊書籍が検索可。図書館用「週間新刊
案内」公開。個人注文はbk1を利用。
販売 es!Books 検・注・会 160万 宅配又はセブン−イレブンで1〜3日後に受取り。
店頭受取り手数料無料。書店検索可。
  ファミマ・ドット・コム 検・注・会 150万 宅配又はファミリーマートで4〜20日後に受取り。
店頭受取り手数料無料。
  Jbook 検・注・会 140万 ポイントバック制。ポイント追加による図書券利用可。
複数商品一括配送(320円)と個別配送(280円)あり。
  専門書の杜 検・注・会 250社分 専門書・学術書専門。本文一部閲覧可。
注文後最短4日で入手。宅配手数料全国一律400円。
  cbook24 検・注・会 38出版社
出資
コンピュータ関連出版物専門。送料無料。
  日本の古本屋 検・注・会 21万 全古書連運営。2700軒の古書店検索可。
発注後の手続きは顧客と古書店双方で相談。
  Book SS 検・注・会 出展数 版元、書店、個人、取次の自由出展。ISBN無本、
オンデマンド書籍もあり。送料無料。通常48時間内で着。
  おとりおき 検・注・会 80万 阪急・北急の駅売店、フジカラーのお店で2〜5日後に
受取り。手数料なし。
  bk1 検・注 56万 データベース200万。4種類の検索可。送料250円。
ポイント制、読者の書評投稿、無料メールサービスあり。
  BOLブックショップ 検・注 56万 業務提携により、内容はbk1と同じ。
  えき〜プ 検・注・会 320万 JR西日本のキヨスク等で受取可。洋雑誌多い。提携書店、
駅売店受取は手数料無料。ポイント制、メールサービスあり。
その他 ブックサービス 検・注・モ 品切れ以外 内容豊富。2〜7日で宅配。手数料全国一律200円。
海外発送も可。
  こだわり出版センター 検・注   中小出版社・市民団体の出版物中心。
  地方・小出版流通
センター
検・注   地方出版社・少部数出版物中心。
  日書連 検・注   注文後に日書連加盟書店(全国1万店)で受取り。

出版社あるいは書店運営のもの(旭屋書店紀伊國屋書店三省堂書店ジュンク堂書店丸善など)は、勝手ながら省略させていただきました。その他の各種検索エンジンに付随した本の検索は、たいてい上記システムを使用しています。重複して使用しないよう、確認されることをお勧めします。
また、発行元がわかる場合は、そのホームページから本の詳細が確認できることがあります。



H o m e に も ど る





以下の内容は、「書籍の出版・販売から検索・注文に関する最新情報」として、以前掲載したものです。2003年以降更新していませんが、ご参考までにそのまま残しています。


1. 本を出すには 
 出版形態には、大きく分けて「企画出版」、「協力(協同)出版」、「自費出版」があります。「自費出版」とは、文字通り著者が自費で製作する方法で、大手の講談社小学館学研を始め、多くの出版社や書店が手がけています。ISBNの取得や書店での販売については、それぞれ取扱いが異なります。
 「企画出版」だと、出版社が製作してくれて、著作権使用料(印税)が入ってきますが、よほどの有名人かコネがないとまず企画してもらえません。懸賞応募や、出版社発行雑誌への投稿などの手もありますが、その場合著作者人格権はともかくとして、著作権(第21条から第28条)行使では、大幅な譲歩をせざるを得ません。
 「協力(協同)出版」は、両者の中間の発行形態です。費用を一部負担すれば、書店に本が並びますし、契約次第で印税ももらえます。販売ルートを持った出版社が運用していて、費用は自費出版時とほぼ同じです。出版側にとっても、大当たりに巡り会う可能性があります。ただし、売り上げは出版社の実力にかなり左右されますし、配本されても棚並べされない、宣伝費を著者がかぶって割に合わない等の問題があります。
 「本を書いて生活の糧とする」ことが厳しいのは仕方ありませんが、素晴らしい著作物が日の目を見ずに埋もれてしまうのは、悲しいことです。多種多様な自費出版の良さについては、もっと見直されるべきかと思います。最近、「頒布すること」より「公表すること」を重視して、インターネットで著作物を公開することが、盛んになってきました。この方法の良し悪しについては、今後の課題です。なお、著作権についての情報は、社団法人・著作権情報センター(CRIC)で入手できます。

2.本の出版から販売まで
 本ができて読まれるまでの流れは、「出版」、「流通」、「販売」と、大きく三つに分けられます。
 出版社には、東証一部上場企業から町の印刷屋さんまで、非常に多くの会社があります。関連団体としては、「出版事業の健全な発達、文化の向上と社会の進展に寄与することを目的」とする、社団法人・日本書籍出版協会(書協)や、「出版倫理の向上を図り、雑誌共通の利益を擁護することを目的」とする、社団法人・日本雑誌協会(JMPA)があります。
 出版された本は、いわゆる問屋さんから、本屋さんに配本されます。取次会社(流通)は、日本出版販売(日販)、トーハン栗田出版販売大阪屋太洋社日教販、中央社、協和出版販売などです。また、図書館専門企業の図書館流通センター(TRC)もあります。関連団体としては、日本出版取次協会(取協)があります。
 販売については、例示は省略します。全国チェーンの大手から、商店街の本屋さんまで様々です。関連団体として、日本書店商業組合連合会(日書連)が活動しています。
 その他の団体としては、出版社、書店、取次会社から設立された財団法人・出版文化産業振興財団(JPIC)が、「生涯学習の推進、出版文化産業に関する調査及び研究、人材育成、情報の収集及び提供等を行って、経済社会の健全な発展並びに生活文化の向上に寄与する」事業活動を行っています。「出版界と図書館界が一致協力して結成された」社団法人・読書推進運動協議会(読進協)は、「読書推進の国民運動を進めて」います。
 ここで重要なことは、全ての出版物が本屋さんに並べられているわけではないことです。せっかく著作物を出版し配本しても、本屋さんが売ってくれなければどうしようもありません。本屋さんも、限られた場所で、無名の新人の本をやたら並べるわけにもいかないでしょうし、古くなって売れない本をいつまでも置いてはおけません。

3.本の検索・注文について
 そこで、On Lineでの本の検索・注文が重要になってきます。著作者にとっては、いかにして著作物を見つけてもらうかは死活問題です。「本を買う側」にとっても、埋もれた名作を見つけるのは楽しいことです。
 現在インターネットで利用可能なものについては、上記「インターネットで本を探して注文しよう」をご覧下さい。
  いずれも、希望の本を自由に検索・注文し、受け取れるという長所があります。特に、受け取りにコンビニを利用できる「eS!Books」、「ファミマ・ドット・コム」や、駅に注文品が届く「おとりおき(阪急・北急)」、「えき〜プ(JR西日本)」はユニークです。
  しかし、欠点もあります。扱う商品が限定されること、本屋さんでぶらぶら見て回るような検索はできず、本の内容の詳細がわからないこと、好みの分野・内容で抽出してくれるデータベースがないこと、入手までに時間がかかること、手数料がかかることなどです。「bk1」、「e-hon(トーハン)」は、この点を改良しています。
 ここで、検索を運営されている、出版関係の方にお願いがあります。最近は、自分のホームページで自作の紹介をする、著作者の方も多くいらっしゃいますので、検索結果に著作者のホームページをリンクしていただきたいのです。情報が相互に補完でき、「本を探す側」に親切かと存じます。

4.電子書籍とは何か
(このページは原則「紙」による出版を扱いますが、電子出版も少し紹介します。)
 電子書籍とは書籍の内容を電子化したもので、読者(購入者)は電子データを通信回線経由でダウンロードし、画面上で読むことができます。データ形式には、テキスト、ドットブック、PDF、CXTなどがあり、読者(購入者)が選択します。
 現在様々なスタイルが模索されています。電子書店の草分け「電子書店パピレス」、「電子文庫出版社会」が運営する「電子文庫パブリ」、無料公開の電子図書館「青空文庫」、「電子図書館(書籍デジタル化委員会)」を覗いてみてください。立ち読みしてから購入できる「10daysBook」はユニークです。
 関連団体としては、日本電子出版協会(JEPA)があります。

5.e-commerceの試み
 電子商取引(e-commerce)の動きが、盛んになってきました。異業種が連携したネット関連企業は、この2年間に20以上設立されました。欧米では発達しているネット商取引(例1例2)が、日本でも勢いづいてきたのです。
 その中で、IBMが導入したe-businessを例示します。「利用者が要求した書籍紹介や予約、配達状況の確認などで基幹業務との連携を強めるため、ソフトウェアを組み合わせて構築」されたシステムです。「利用者からの要求の多い照会処理が迅速に」でき、「容易にバーチャル・モール構築」が可能になっているそうです。
 具体例です。日販が、「1999年11月29日から書店参加型のインターネット・サイト[本やタウン]を開設」し、「150万点のデータベースから書店店頭、流通センター、出版社の在庫の閲覧を可能」にしました。注目すべき点は、実在の書店(現在、八文字屋・うさぎや・ブックガーデンディラ上野・オリオン書房・有隣堂・蔦屋書店・HEIANDO・谷島屋・フタバ図書メガ・QUEST・ブックスミスミ)が、「サイト内にテナントとしてバーチャル出店する」様式を採っていることです。更に日販は、「出版社との共同出資でオンデマンド出版サービス[ブッキング]」を、1999年10月1日付けで開始し、「絶版本の複製事業、少部数出版事業」に乗り出しています。
 TRC、日経BP、アスクル、富士通、電通など7社は、オンライン書店「ブックワン(その後bk1に変更)」を2000年3月21日に設立し、7月から営業を開始しました。「TRCが持つ日本最大の約180万タイトルの書誌データベースと、株式会社ブックレビューが提供する豊富な書評によって、店頭に匹敵する書籍情報が利用」できます。「TRCの実在庫(約2万タイトル、約60万冊)と提携取り次ぎ4社(トーハン、大阪屋、日教販、大洋社)の仮想在庫(約20万タイトル、約200万冊)が確保」されます。「@niftyやgooとの提携で、1000万人を超える潜在顧客」を予想しています。
 一方2000年1月6日には、セブン−イレブン・ジャパンがソニー、NEC、日本交通公社等と連携し、セブンドリーム・ドットコムを設立しました。前述のeS!Booksもその一環ですが、「全国8000のセブン−イレブン店舗網にマルチメディア端末を設置し、家庭のPCと融合させた日本型e-commerce」を、目指しているそうです。同様にイオングループのミニストップは、2000年4月から「本屋さん」と提携し、注文した書籍を店頭で受け取り、代金の支払いができるサービスを開始しました。別大手のファミリーマートは、トヨタ、伊藤忠、ピア等と合弁会社「ファミマ・ドット・コム」を、2000年10月に稼働させています。
 コンビニ業界の別の動きとして、2000年1月12日に、インターネットで生鮮食品や日用雑貨を購入できる「ネットスーパー」を展開する合弁会社、「e−コンビニエンス」が設立されました。出資は、サンクスアンドアソシエイツ、サークルケイ・ジャパン、ユニーなど6社で、注文から2〜3時間で商品が宅配される「生活総合支援サービス業」指向でした。ローソンも三菱商事との共同事業「@LAWSON」を開始しました。今のところ、書籍は扱われていません。
 ディスカウント業界からは、ジャパンがサンクスアンドアソシエイツ、光洋など6社の協同出資で「イージャパンアンドカンパニーズ」の2000年4月7日設立を発表しました。日用雑貨、食品、化粧品など約5万種類が扱われますが、これも書籍はありません。
 2000年3月1日に開店した阪急電鉄の「おとりおき」(前述)は、宅配の弱点を解消しています。注文した書籍は、指定した阪急・北急の駅売店、アズナス、ブックファーストで受け取れます。「ネットで注文、駅でゲット」というコピーがついています。JR西日本の「えき〜プ」(前述)は、キヨスク、ハートイン、デイリーイン等の指定店舗で受け取れます。コンビニや指定書店での受け取りも含め、こういったシステムは今後増えるはずです。
 それ以外では、今後の郵便局の動向に注目する必要があります。

6.オンデマンド出版の将来
 小松左京氏が、2000年1月28日から、インターネットでオンデマンド版小松左京全集の販売を始めました。「作品管理をしている株式会社イオが全著作をデジタル化し、富士ゼロックスのニュービジネスと提携」し、「注文に応じて作品を集めて、1冊のオリジナル本を作り、届ける」システムです。これは、「お客様のcustomizing&publishingを実現するサービス」を提供する、BookParkが運営しています。富士ゼロックスの「BookPark」のもう一つの目玉は、村上龍氏のオンデマンドパブリッシングサービス「向現」です。講談社からの出版前に著者自らが販売した「共生虫」は、5日間で1000部を完売したそうです。価格は3000円(単行本は1500円)で、送料は500円、印税30%のうち10%が発行元に戻されるシステムでした。
 オンデマンド(on demand)出版について、更に解説します。これは、従来の「出版→流通→販売」の流れに拠らず、注文のあった内容と量で印刷・製本し届けるシステムです。出版社側の委託による「委託型」としては、上述した日販の「ブッキング」、紀伊國屋書店による法人会員向け「電写本サービス」などがあります。また、凸版印刷とトーハンの共同出資(1999年11月15日設立)による「デジタル・パブリッシング・サービス」では、「低コストで極小部数の印刷」を行う「ショートラン印刷サービス」も標榜しています。「読者の要望に応じて、新聞連載記事を中心に書籍化していく予定」の「アサヒ・コム ブックス」は、これを利用しています。
 本を読みたい側からの要望による「自己生産型」としては、本とコンピュータ・編集室と大日本印刷による「HONCO on demand」があります。1999年11月11日から2001年3月までの、期間限定の「実験」として、「少部数出版の具体的可能性を探り、本格的オン・デマンド出版のための基礎データをあつめる」狙いで、20点の新刊本を刊行しました。このホームページでは、オンデマンド出版に関する丁寧な解説と、世界の出版状況を読むことができます。  (完)


注)公開されたホームページからの引用箇所は、なるべく明確にいたしました。
   表現の過不足あるいはリンク上の問題があれば、御指摘賜れば幸いです。

 


[宗方玲のホームページ]

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