▽2007 Season
└Point Ranking
◇焦点
舞台は南半球へ移り、いよいよこれが今シーズンの最終戦となる。注目はなんといってもドライバーのタイトル争いである。ハミルトンは自身が2位以上になれば、チャンピオン決定となる。アロンソは5位、ライコネンは2位以上に入らなければチャンピオンの目はない(もちろん他の2人の成績も大きく影響する)。
自力でタイトルを決める可能性がある分、ハミルトンが一番優位ではあるが、優勝さえすればアロンソにも大逆転でタイトルを獲得する希望は、少なからずある。
一方ライコネンは他力本願にならざるを得ず、ハミルトンの大きな失点を祈るほか無いのが現状である。
結局のところミスが致命傷に繋がる。当たり前のことではあるが、戦略と天候を読み違えないこと、プレッシャーに打ち勝つこと、そして少しばかりの運を引き寄せることがタイトルへと繋がるポイントであろう。
また先日引退を表明したヴルツに代わり、中嶋一貴がウィリアムズからデビューすることが発表され、日本人として楽しみな一戦になりそうだ。
◇スタート
天気は快晴。コースコンディションはドライ。絶好のレース日和の中、21年振りの三つ巴最終戦のスタートが切られた。
◇焦り(Lap1)
アウト側の奇数グリッドからスタートしたPPのマッサが、ハミルトンの鼻先を押さえるようにインへ切り込み前へ出る。ハミルトンはそれを避け、アウト側に出ようとするが、絶好のスタートを切ったライコネンに阻まれやや失速。
結局1コーナーにはマッサ、ライコネン、ハミルトン、アロンソの順で飛び込んでいく。更に、続くターン2でアロンソがハミルトンにアウトから並びオーバーテイク。
そしてターン3、ハミルトンがアウトからアロンソに並びかけ、ポジションの回復を狙う。しかしオーバースピードのせいかタイヤをロックし、曲がりきれずコースアウト。順位を8番手まで下げてしまう。
[1.MAS(H) 2.RAI(H) 3.ALO(H) 8.HAM(H)]
[1.ALO(109pt) 2.RAI(108pt) 3.HAM(108pt)]
◇トラブル(Lap8)
ミスを取り返すべくオーバーテイクを重ねるハミルトン。6番手まで回復し、更に上を目指す。しかし突如のスローダウン。エンジンは動いているが、ギアがニュートラルの状態。数10秒この状態が続いた後、再びギアが入り、通常の走りに戻った。なんとも不可解なトラブルで18番手まで後退する。
[1.MAS(H) 2.RAI(H) 3.ALO(H) 18.HAM(H)]
[1.ALO(109pt) 2.RAI(108pt) 3.HAM(107pt)]
◇ピットイン1(Lap19-23)
まず4番手走行中のクビサが、翌周にマッサがピットイン。マッサの数秒後ろにつけていたライコネンはこれを機に逆転を狙う。しかし翌周のピットインまでに充分なマージンを稼げず、結局マッサの後方でコースに復帰。
更に22周目にアロンソ、ハミルトンと相次いでピットイン。ハミルトンは勝負に出たのか給油量を抑え、タイヤもソフトを選択する。
[1.MAS(H) 2.RAI(H) 4.ALO(H) 14.HAM(S)]
[1.RAI(108pt) 2.ALO(108pt) 3.HAM(107pt)]
◇ピットイン2(Lap26)
快調に飛ばしていたハミルトン。ポジションを9位まで上げたところで2回目のピットイン。明らかに3ストップ作戦である。しかしこのピットインによりフェラーリ勢に周回遅れにされてしまう。
[1.MAS(H) 2.RAI(H) 3.ALO(H) 9.HAM(H)]
[1.ALO(109pt) 2.RAI(108pt) 3.HAM(107pt)]
◇混迷(Lap44-45)
最終コーナーの1つ手前ターン14。トップを快走していたマッサがタイヤをロックさせてしまう。若干開いていたライコネンとの差が一気に縮まる。
一方、ハミルトンはポイント圏内の8位まで上げてきた。タイトル争いは更に熾烈を極める。
[1.MAS(H) 2.RAI(H) 3.ALO(H) 8.HAM(H)]
[1.ALO(109pt) 2.RAI(108pt) 3.HAM(108pt)]
◇逆転(ピットイン3/Lap50-56)
勝負所となる最後のピットイン。最初に飛び込んできたのはマッサ。無難に作業を済ましコースに復帰するが、バックマーカーに捕まってしまう。52周目にアロンソがピットイン。こちらも無難に作業をこなし5位でコースに復帰。
自己ベストを連発して飛ばしてきたライコネンは53周目にピットイン。そしてコースに復帰。ここでマッサを0.7秒押さえ、ついにトップに立つ。タイトル争いでも一気に優位に立つ。
ハミルトンは56周目に3回目のピットイン。9位でコースに復帰。
[1.RAI(S) 2.MAS(S) 5.ALO(S) 9.HAM(H)]
[1.RAI(110pt) 2.HAM(107pt) 3.ALO(107pt)]
◇最後の攻防(Lap59-64)
前車のピットインによりアロンソが3位に復帰。ハミルトンも7位まで上げ、更に上位を狙う。
[1.RAI(S) 2.MAS(S) 3.ALO(S) 7.HAM(H)]
[1.RAI(110pt) 2.HAM(109pt) 3.ALO(109pt)]
◇歓喜(ゴール/Lap71)
結局このオーダーのままライコネンが最後まで走りきり今季最多の6勝目で110ポイント。アロンソが3位で109ポイント、ハミルトンは7位で109ポイントとなり、ライコネンの初のタイトルが決まった。
ライコネンは、優勝をほぼ手中に納めていた残り5周の時点でファステストラップを記録するなど、最後の最後までアグレッシブな走りを貫いた。この姿勢が世紀の大逆転劇を生んだと言っても過言ではないだろう。
◇日本勢
このレースがデビュー戦となった中嶋一貴は10位でフィニッシュ。最初のピットインでタイヤをロックさせ、ピットクルーを轢いてしまう場面もあったが、全体で5番目のラップタイムを記録するなどまずまずのデビュー戦となった。
佐藤琢磨は12位で完走、山本左近は不運なアクシデントでリタイヤに終わった。
ホンダは2台ともリタイヤで、今季の苦戦を象徴付けるかのような結果に。トヨタは2台とも完走。トゥルーリはポイントを獲得。