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田村隆一詩集『緑の思想』
未知くん病気
きみは生きている
なぜって きみには熱があるからだ
きみは冒険家
「お誕生」までに まだ十日もあるというのに
もう戦いをはじめたわけか
母性愛でも父性愛でもない愛があるとしたら
もし愛があるとしたら
夏のおわり
秋のはじめの
あの稲妻の色
熱性の
暗い感覚の王国に入って行く
きみの
最初の旅だ
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