30(VT-27)は1920年代後半に米国で開発された直熱3極管230(ナス管)が、1930年代初頭になって電気的特性を変えることなくST管(ダルマ管)化されたものです。主な用途は家庭用ラジオ受信機の低周波電圧増幅段用で、直熱出力管の31や33などをドライブしていたようです。
当時はまだ、交流式ラジオ受信機が普及しておらず、ランニングコストが高くつく電池式受信機が主流でした。このため、フィラメントの消費電力は僅か0.12W(2V/0.06A)に抑えられており、この程度の電力では昼間に目視で点灯を確認するのは難しいです。
RCAやSYLVANIAなど6本を実測したところ、いずれも直線性は極めて良好で、それらの3定数平均値はμ=9.083、rp=10.695kΩ、gm=0.862でした。
【データシート値】
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30 |
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バルブ 形状 |
ST-12 |
ユニット |
直熱3極 |
フィラメント |
2V/0.06A |
最大プレート電圧 |
180V |
最大プレート損失 |
≧0.56W |
A1級動作例 |
Ep |
180V |
Eg |
-13.5V |
Ib0 |
3.1mA |
rp |
10.3 kΩ |
μ |
9.3 |
gm |
0.90 |
備考(データ元) |
RCA |
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【実測値】 ※3定数(μ、rp、gm)は、上記動作例 (Ep=180V、Ib0=3.1mA)での数値
個体① RCA 30 |
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<実測値> |
フィラメント |
2V/0.07A |
μ |
9.23 |
rp |
10.63kΩ |
gm |
0.87 |
<コメント> |
データシート値に近い。 |
個体➁ SYLVANIA 30 (その1) |
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<実測値> |
フィラメント |
2V/0.06A |
μ |
9.03 |
rp |
9.96kΩ |
gm |
0.91 |
<コメント> |
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個体③ SYLVANIA 30 (その2) |
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<実測値> |
フィラメント |
2V/0.07A |
μ |
8.53 |
rp |
10.20kΩ |
gm |
0.84 |
<コメント> |
μが最も小さい。 |
個体④ WIZARD 30 |
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<実測値> |
フィラメント |
2V/0.06A |
μ |
9.22 |
rp |
13.64kΩ |
gm |
0.68 |
<コメント> |
rpが飛びぬけて大きく、
gmが小さい。
管内真空度の低下?
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個体⑤ NATIONAL UNION 30 (その1) |
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<実測値> |
フィラメント |
2V/0.06A |
μ |
8.98 |
rp |
9.51kΩ |
gm |
0.94 |
<コメント> |
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個体⑥ NATIONAL UNION 30 (その2) |
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<実測値> |
フィラメント |
2V/0.06A |
μ |
9.51 |
rp |
10.23kΩ |
gm |
0.93 |
<コメント> |
データシート値に近い。 |
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