6R-A8は1960年前後に、NECが2A3を念頭に置いて開発したとされるオーディオ用出力管。NECでしか製造されなかったのですが、LUXや山水などの市販管球アンプに用いられて人気を集め、現在は市場に出回ることも少ないため実力以上の高騰球になっています。 雑誌などのEp-Ip特性グラフの中には直熱3極管を凌ぐような優れた直線性を示すものも見受けられますが(下グラフ参照)、3極管とされるこの球の実態はスクリーン・グリッドが管内部でプレートに接続されている「傍熱多極管の3結仕様球」なので、あまり過大な期待を抱かない方がよろしいかと・・・ 小柄な体に2A3とほぼ同量のエネルギーが注ぎ込まれるので、スクリーン・グリッド支柱に放熱フィンを設けたり1番・8番・9番ピンをプレートにつないだりして少しでも放熱効果を高める設計になってます。それでも管壁はうっかり触れると火傷するほどの猛烈な高温になりますので、通風に気を配り、プレート損失も10W程度に抑えた方が安心です。 1970年代初頭に新品や中古で入手していた10本を実測したところ、μは8.69~9.94、rpは855~983Ω、gmは8.87~10.53の範囲に分布。それらの単純平均値はμ=9.14、rp=922Ω、gm=9.92で、巷に出回っている平均的数値よりμとgmはやや低めでした。 【データシート値】 ※ 明らかにNEC発行とわかるデータシートが見当たらないので、以下の数値は書籍やネットデータなどによる参考値です。
【実測値】 ※3定数(μ、rp、gm)は、上記動作例付近の数値
◆真空管一覧に戻る ◆トップページに戻る |