トランジスタ式ミニワッター Part5 (15版V)    〜Part4をサブ基板で簡単改造〜







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 ぺるけさんのトランジスタ式ミニワッターPart5は、トランジスタアンプらしくないと評判のPart4が「一皮むけた」ものだそうです。これはすごい殺し文句ですね。でも、一からPart5を組むのはめんどうだし、ぺるけさんが紹介されてるPart4基板の大改造も簡単ではありません(パーツを外すだけでも100以上の穴から半田を吸い取る必要が・・・)。

 そこで、横着者の当方としては、Part4基板に数カ所手を加えるだけで済むお手軽・簡単なサブ基板追加方式で作ってみました。


【アウトライン】

 改造するのは、タカチHEN110420ケースにタカスのユニバーサル基板IC-301-74を収めた標準型Part4(画像右上)。空きスペースがほとんどないので、ぺるけさんが紹介されているようにパーツ位置を大幅に移動させて定電流回路を組み込むか、IC-301-74基板にはほとんど手を加えずに定電流回路サブ基板を取り付けるか、になります。


 ぺるけ式パーツの大幅移動は画像右下のようになりますが、こりゃあ大変。横着&老眼の当方はチラッと眺めただけでギブアップです。

 それではどこにサブ基板を取り付けるかですが、大きなものはヘッドホンジャックやスピーカー端子などが邪魔して無理。このため、IC-301-74基板の縁をはみ出ない程度の超ミニサイズ基板をなるだけ2SA1680近くに置く必要があります。


 具体的には、タカス電子がデジタルパターンと呼んでいるユニバーサル基板の中で最も小型のIC-301-70から11mm×22mm位の範囲を2個切り取って左右チャンネルの定電流回路(2SA950-Y、1S2076A、CR類4個)を載せ、主基板の出力段付近の空き穴にピンヘッダで連結します。ピンヘッダはサブ基板の固定だけでなく、V+やV−などの通路にもなります。


 このやり方ですと主基板の修正は、2SA1680の共通エミッタから不要になった15Ω2個を取り外し、V+やV−などをサブ基板に導くジャンパー線6本を新設するだけと、超簡単です。
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【主基板の修正】

 まず、Part4の基板パターン(ぺるけさん作成)を右図のように修正します。

 修正部分は
@15Ω2本を取り外す(赤×印部分)
A0.28〜0.35mm径の裸銅線で4ヵ所のラインを新設(太青線部分)
B0.18〜0.2sqの被覆線で2ヵ所のラインを新設(太赤線部分)

 サブ基板は緑枠の位置になり、ピンヘッダを使って◎で固定します。ピンヘッダはまずサブ基板側に半田付けし、最後の最後に主基板へ半田付けしないと途中で作業が不可能になります。
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【サブ基板づくり】



 @まず、IC-301-70基板を上図の赤線に添って糸ノコなどで切り、2枚のサブ基板を作ります。サイズは11mm×22mm位になります。

 A0.28〜0.35mm径の裸銅線で上図青●間を繋ぎます。

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 B2SA950-Y、1S2076A、CR類を取り付けます。A側用とK側用とでは2SA950-Yの向きが違ってますので注意して下さい。

 定電流回路の抵抗値は、ぺるけさんのPart5当初値「300Ω+8.2kΩ」を採用しました。理由は、この抵抗値だと主基板にある1S2076Aを取り除く必要がない(手間が省ける)ためで、Part5最新版の「160Ω+4.7kΩ」にする場合は必ず主基板から1S2076Aを削除して下さい。ぺるけさんは「(当初値でも最新値でも)音や特性は変わらない」とおっしゃってます。


 Cサブ基板にピンヘッダを取り付け、◎部分でピン先を半田付けすればサブ基板の完成です。

 Dサブ基板のピン先を主基板の所定位置に挿して半田付けすれば全て完了です。挿す穴は【主基板の修正】にあるパターン図を参照して下さい。

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【ハラワタと実測電圧】


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           ※ 赤字が実測値

【基本特性】

利得     5.84倍(1kHz、 8Ω負荷)   ※Part4と変わらず。
最大出力  1.61W(歪み率1%、8Ω負荷) ※Part4より0.03W低下するも測定誤差の範囲内。
          19.3μV             ※Part4と変わらず。まだ十分馴染んでいなかったためのようです。(2016.12.12更新)
残留雑音  22.9μV(帯域制限80kHz)  ※Part4より約4μV増加
消費電流  368mA(無信号時)       ※Part4と変わらず。

周波数特性  Part4と変わらず。

歪み率特性  1W付近を境に、それ以下の領域ではPart5の方が僅かに低歪み、それ以上の領域ではPart4の方が僅かに低歪みという結果でしたが、測定時期も環境も異なるので実質的な差はないと思われます。

ch間クロストーク  ぺるけさんが指摘されているように、2SA1680の完全差動化によって、Part4に比べ大幅に改善されてます。


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【おわりに】

 Part4が持つトランジスタアンプらしからぬ音色傾向はそのままですが、Part4のややトロリとした緩めの雰囲気がPart5では少し修正され、個々の音の滲みが減って粒立ちがシャープになった印象です。我が駄耳には中低域がPart4より気持ち良く響く反面、高域のザラつきがきつくなったようで、悩ましい限り。ただ、このあたりとなるとチェコ・フィルの甘美なホルンにうっとりするか、ドイツ系オケのシャープなホルンに惹かれるかといった、いわば風呂の湯加減みたいな個々の好みが大きく影響する部分でもありますね。 (2016.11.17)

 気になっていた高域のザラつきですが、2週間ほど電源を入れっ放しにしてたら、駄耳にはわからなくなりました。これだと、あえて真空管アンプにこだわる必要はないのかも・・・ 長年、3極管アンプと付き合ってきた身としては、このミニワッターを鳴らすたび寂寞感に襲われます。
 (2016.12.12更新)


【高域歪みの改良結果】

 ぺるけさんがPart5(15V版)の高域歪み改善策を公開されたので、当方も早速改善工事をやってみました。

 当方のPart5はPart4の改修版で、パワートランジスタもPart4で最初に設計された2SA1931/2SC4881のままですが、2SA1869/2SC4935の改修定数に合わせて470pFを100pFに交換、負帰還回路の12kΩに33pFを抱かせました。

 下グラフのが改良前、が改良後。かなり多かった10kHzの歪みが見事に100Hzや1kHzラインと重なりました。高域歪み対策前と対策後では弓形カーブの様子がわずかに異なってますが、定数変更に加えて測定環境の違いも影響しているかもしれません。 (2017.06.08更新)


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