真空管カーブトレーサーを自作してみる
















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 真空管カーブトレーサーってほとんど見かけない機器ですが、簡単に言えば真空管のプレート電圧と電流、グリッドバイアス電圧の相関関係をEp-Ip特性曲線グラフなどとして「見える化」するためのツールです。Ep-Ip特性曲線グラフは真空管アンプを自作する際の是非もので、これがあれば安心してロードラインが引けますし、真空管の3定数(増幅率、相互コンダクタンス、内部抵抗)も割と簡単に求めることができます。

 そんな便利な機器がなぜ普及しなかったのか。理由はいろいろあると思いますが、ほとんどの真空管はメーカーのデータシートさえ見ればこれらの要素が不十分ながらも記載されているので、わざわざ自分で計測しなくてもとりあえずは事足りる、というのが最大の要因でしょうか。しかし、データシートの記載はあくまで標準的な値であって、個々の真空管の特性を担保するものではないため、現実にはアンプを組み上げてみるとパワーが出ない、歪みが極端に多いなど問題に直面することも珍しくありません(特に中古球は)。

 そんな訳で、真空管も人間同様、体力測定と健康診断をしておくと一応安心できます。これまでは必要に応じてバラック組みで使っていたのですが、操作性や安全性を高めるためシャーシ上にまとめてみました。もっとも、真空管をセットしてボタンを押せば自動的にオシロやパソコン画面にカーブが現れるという優れものではなく、得られたデータをせっせと表計算ソフトに入力してグラフ化するという全手動の人力カーブトレーサーですので悪しからず。



【仕組みと仕様】


 製品化された実物を手にしたことはないのですが、アナログデータ取得に必要な動作模式図は右図のようなものになります。

 安定化されたプレート電圧やグリッドバイアス電圧を連続的に変化させてプレート電流を計測、そのデータをExcelなどの表計算ソフトでグラフにします。一連の動作をマイコン制御で自動化すれば大いに楽チンですが、当方のようなアナログ人間には到底無理な話ですから、高望みはしません。

 となると、「TV-7などのgm測定型真空管試験機とどう違うんだ」との茶々が入りそうですが、こうした試験機の多くは計測範囲が狭いので、アンプとしての実際の動作条件に合わせた真空管のデータを得るのはなかなか難しい(特に出力管は)ように思います。
 

 ご覧の通り、基本回路自体は極めて単純で、6DJ8、6FQ7、2A3、300B、KT88、211etc、電圧増幅管から送信管まで様々ある真空管のどのクラスまで計測できるかどうかは電源部、特にB電源のスペック次第になります。電圧増幅管だけで良しとするのなら安定化B電源は最大400V30mAもあれば十分ですが、300Bなら700V260mA近くが、送信管ともなると約2000Vと気の遠くなるような高電圧が必要となってしまいます。

 当方の場合、巨球趣味はありませんので、せいぜい300B(これも巨球か!)位までを測定対象にしました。また5極管やビーム管は使うとしても3結動作のみなので、構造が複雑になる多極管測定は見送り、これらは3結仕様のみで測定することにします。

 真空管ソケットは使用頻度の高いUX、USオクタル、MT9pinのほか、欧州規格のUF、コンパクトロン12pin、UYかUZ、MT7pinを用意。ヒーター(フィラメント)用のA電源は一般的な2.5V、4V、5V、6.3V、12.6Vのみ内蔵させ、それ以外の8.4V、16V、50Vなどといった半端なものは外部電源と切り替えて使うようにします。

  バイアス用の安定化C電源は、0~-11Vを1V単位で設定できる電圧増幅管用のみを内蔵、出力管用のマイナス高電圧は外部の直流安定化電源から取り込むことにします。

 ヒーター電圧変更や双3極管のユニット切り替えなどを簡単にし、操作性をなるべく高めるようにします。これまで使ってきたバラック組み()でも得られるデータは一緒なんですが、タコ足配線の取り付けには毎度うんざりしますし、メーター類の視認性も良くないうえ、ミノムシクリップが外れたのに気付かず貴重な球を昇天させてしまったことも・・・
 

【B電源部】

  基本的な必要条件は①出力電圧が安定していること②電圧を連続的に可変できること。機器を動かすベースとなる商用AC100Vは普通、不規則に2~4%程度は変動するので、その影響をもろに受けるB電源だと正確な測定は期待できなくなります。また、出力電圧を小刻み(最低10V単位)かつ正確に可変できないとアバウトなデータしか得られません。


 では、上記を満たした上で300Bを計測するにはどの程度のB電源が必要かというと、のWE300B Ep-Ipグラフを見ていただくと分かり易いです。赤曲線は300Bの最大プレート損失(36W)ラインで、真空管の寿命を縮めたくなければ、計測はこのライン前後までにしておくのが得策でしょう。

 つまり、B電源には電圧ゼロから最大600~650V、電流は低電圧領域で260mA、高電圧領域で70mA程度の能力があればいいことになります。
 
  構成として一番簡単なのは、600V以上の出力が得られる直流安定化電源(高砂ZX-S-400Hなど)から直接取り込むことですが、残念ながら当方はそんな高電圧を出せるものを持ち合わせておりません。

 そこで、東京精電の交流安定化電源CVFT1(AC 0~250V、200W)==のAC出力をトレーサーのシャーシ内で倍電圧整流してDC約700Vまで確保することにしました。

 ただ、両安定化電源とも新品に手を出すには覚悟のいるお値段ですし、ネットオークションにもあまり登場しません。最悪の場合、商用100V⇒摺動型変圧器(スライダック)⇒100V:200V絶縁トランスか真空管アンプ用電源トランス⇒整流回路でも必要なDC電圧・電流は得られますが、商用100Vの不規則変動がそのまま出力に反映されるうえに電圧微調整も難しいので、あまりお勧めできません。
 

 の回路図はB電源まわりのみを抜き出したものです。倍電圧整流した出力を真空管ソケットのプレート端子にどんどん並列に繋いで行き、その経路のどこか適当なところにプレート電圧計測用の直流電圧計をぶら下げます。同じく、電流の帰り道として傍熱管はカソード、直熱管はフィラメントの片側をどんどん並列に繋いで行き、その経路のどこか適当なところからプレート電流計測用の直流電流計をぶら下げてアースに落とします。

 プレート電圧の設定は交流安定化電源のAC出力を連続可変させることで行い、DC出力を0.2V刻み位で調節できます。DC出力自体は約700Vまで可能ですが、秋月電子で入手したデジタル・パネルメーターの定格に制限されて現状では残念ながら600Vまでしか上げられません。

    

【A電源部】

 数えてみたことはありませんが、真空管のヒーター(フィラメント)電圧って一体何種類位あるんでしょうかね? 真空管試験機は20種類前後の電圧切り替えをできるものが一般的なので、実際にはそれ以上の種類があるのでしょうが、欲張ってもきりがないので、内蔵のA電源は利用頻度の高い2.5~6.3Vとしました。但し、12.6V球のうち12AX7や12BH7AなどヒーターCTのあるMT9ピン球は切り替えスイッチを設けて6.3V駆動で使えるようになってます。それら以外の電圧球は、直流安定化電源などを利用して外部取り込みとします。

 ヒータートランスはノグチPM-H2(6.3Vまで3A、7.5Vのみ2A)を利用。普通のロータリースイッチでは大電流に対して接点が持たないので、5A×2回路のパワーリレー(942H-2C-5DS)で電圧切り替えを行います。直熱出力管50などに対応する7.5V端子を利用しなかったのは、手元に同じリレーが4個しかなかったためで、他意はありません。

 
     
   

【C電源部】

 300Bなど出力管用のバイアスを考えると、-160V位までの可変かつ安定化された高(低?)電圧が必要になりますが、非常に大掛かりなものとなるので、電圧増幅管用の0~ -11Vのみを内蔵させ、それ以外は外部の直流安定化電源から取り込むことにしました。

 電圧増幅管用はDC12Vのスイッチングアダプタを電源とし、そのマイナス出力を抵抗で1V単位に分割します。スイッチングアダプタのAC100V接続先は、上の「A電源回路図」にある5Vスイッチングアダプタと同じ場所で、パワースイッチONと連動しています。アダプタ出力と最初に繋がっているカッコ付き10Ωは、実測で12.106Vあるアダプタ電圧をほぼ12Vに下げるための補正抵抗なので、実測値に合わせて増減させることになります。

 後で触れますが、「双3極管用Bias」端子を設けているのは、6SN7や12AX7など双3極管についてはソケットに挿したままユニット1とユニット2を切り替えて計測できる回路にしているので、そのバイアスは他の真空管とは別ルートにする必要があるためです。

   

  1V単位の電圧を揃えるため、12本ある100Ωは相対誤差の少ないもので構成しなければなりません。±0.1%級はお値段がはるので、秋月電子で売っている100本入り一袋300円也のKOA金属皮膜抵抗±1%級の中から選別しました。

 100本全てが-0.55%から+0.48%の範囲に分布しており、そのばらつきは右グラフのとおり。このうち99.92~99.96Ω台の13本の相対誤差が最も少ないので、これらを使うことにしました。

 まだ88本も残ってますが、ローソクが短くなってしまった人生の中で果たして使い切ることはできるのだろうか・・・

【ユニット切り替え回路】

    なにかと使う機会の多い双3極管については、ユニット1とユニット2の計測の際に球の挿し替えや配線変更で対応するのは手間が大変なので、MT9pin、US8pinそれぞれに専用ソケットを設け、トグルスイッチでユニット1とユニット2を切り替えて計測する回路にしました。プレート、カソード、グリッドとも切り替えてますが、プレートのみ切り替えてカソードやグリッドは切り替えなしで共通化しても問題ありません。


 MT9pinソケットの両グリッドにある3kΩは、6DJ8など高gm球の発振防止用で、これがないとプレート電流が安定するのに時間がかかったり、最悪の場合は発振して電圧・電流が変な数値を示してしまいます。


 MT9pinのヒーター回路には6.3Vと12.6Vの切り替えSWも設けていますので、5687などピン接続が特殊なごく一部の真空管を除いてほとんどの双3極管に対応できます。

【ソケットと管種割り当て】

  ソケット穴は直径16mm~30mmが計10個。本当はあと3~4穴欲しかったし、同時に複数球を挿すことはないのでもっと密集させれば可能だったのですが、ネックはアルミ厚が1.2mmしかないこと。ただでさえヘナヘナしているシャーシなので、これ以上間隔を詰めると球の抜き挿しに伴う圧力で強度が保てなくなってシャーシが歪んでしまう恐れが極めて高く、断念しました。

 手元にあったり、ないけど欲しいなあ、という球との兼ね合いでの配置で配線を半田付け。UYやUZのほかピン接続の特殊な球などは、卵ラグ付き配線のソケット()を作り、必要に応じて予備穴と絶縁スペーサを利用した半田付け外し無しの臨時接続で対応しました。
 
  

 ソケット          主な対応球
UX    12A 、71A 、45 、50 、2A3 、VT25、VT62、300B など
 UF   PX4、PX25、AC/P1、CV1198 など
 US(双3)   6SN7、6SL7、6BX7、6EM7 など
US(3結)    6F6、6V6、6L6、6W6、6K6、6G6、7581A、KT66、KT88、6550A、EL34、6B-G8、8045G など
CPT12    50C-A10、6C-A10
MT7   未配線
MT9   3極管用にするか複合管用にするか悩ましく、ヒーターのみ配線済み
MT9(3結)    6BQ5、6R-P15、7189、6CW5 など
MT9(双3)   12AX7 12AU7、12AT7、12BH7A、6AQ8、6BQ7A、6DJ8、6DT8、6FQ7、6N6P、5751WA、5963、6085、6240G、6922、ECC32 などなど
予備穴    5687、6267、7119、6EU7、6G-A4、42、47、56、76 など


【ハラワタなど】


     

 メーターは上からバイアス電圧、プレート電流、プレート電圧。

  シャーシはリードのS-3(350×60×250mm)。手ごろなサイズのうえ廉価でもありますが、1.2mm厚なのが難点。メーターやソケットで大穴だらけになって強度が落ちるので、1.5mm厚が欲しいところです。

 左下のユニバーサル基板には、ヒーター電圧切り替え用のパワーリレー4個と、-1V~-11Vのバイアス電圧生成抵抗13本を載せており、その上側の8P平ラグが倍電圧回路。

 各トグルスイッチには動作誤認防止用のLEDを付けましたので、回路図よりも1回路分多いスイッチを使っています。

 デジタル・パネルメーターは種類が豊富で廉価な秋月電子の品ぞろえの中から、測定可能電圧が最も高くて文字も大きい「DE-3370C」(1個1200円)に。DC電圧がフルスケール200mV~600Vの5レンジオート、DC電流はフルスケール20mA~200mAの2レンジオートと扱い易いです。説明書には電源共用不可とあるので006P電池による単独電源とし、そのON-OFFは電源スイッチ(4回路2接点)のうちの3回路分を充てて、商用電源と連動させました。

 各ソケットを結ぶ配線の色分けは、プレートラインが太い赤色と黄色(耐圧600V)、バイアスラインが青色と緑色、カソードラインが茶色、ヒーターラインが白と黒色。


     
 
 ハンダの付け外しなしにソケット交換ができる予備穴付近の様子です。

予備穴の周囲に全体の回路と繋がっている5本の絶縁スペーサ(ヒーター用2本、プレート用、バイアス用、カソード用が各1本)を立て、予備ソケットから出ている先端に卵ラグを付けたコードをスペーサにナット締めすれば、交換作業がずいぶん楽になります。

   
 ヒータートランス、DC5Vと12Vのスイッチングアダプタ、パネルメーター用の006P電池3個はタカチのケースMB-12Sに押し込み、シャーシ上に固定しました。
 アダプタの消費電流はDC5Vが約150mA、12Vが約10mAとわずかなので、小型品で十分です。006P電池は面ファスナーでケース底面に固定しました。


【Ep-Ipグラフの作成】

 Ep-Ipグラフの作成は以下の手順で行います。

①貴重な真空管を赤熱させてぶっ壊さないよう、印加電圧ごとの最大プレート損失ポイントを事前に計算しておきます。最大プレート損失(W)を印加しようとするプレート電圧で割ればその時のプレート電流が求められ、Ep-Ipグラフでは横軸にプレート電圧、縦軸にプレート電流が表示されるので、電圧値と電流値の交点が最大プレート損失ポイントになります。動作させるのは損失ポイント以下が原則ですが、短時間なら若干オーバーしても半導体のように瞬時に壊れることはありません。

②バイアス電圧とプレート電圧を何ボルト間隔で測定するかを決め、まず真空管を30分程度ウオームアップ。次にバイアス電圧を0Vに設定、プレート電圧を10V位から段階的に上げて行って、それぞれのプレート電圧時の電流値をひたすらメモします。電圧がどんどん高くなって電流が最大プレート損失ポイントを超えそうになればそのバイアス値での測定を終え、次のバイアス値で同じ作業を繰り返します。

③こうして得られたデータを表計算ソフトのExcelやOpenOffice Calc(フリーソフト)に打ち込んでグラフにします。はOpenOffice Calcの画面ですが、手順はExcelでもほとんど一緒です。(使用データは直熱3極管71Aの実測値)



 ④ 最初の列(A)に測定プレート電圧値を打ち込みます。B~Jの列はバイアス毎の電流値欄で、左端のプレート電圧の時の電流値を記入します。最後のK列は、計算で求めた最大プレート損失ポイントの電流値です。    ⑤ データを全部入れ終えたら、その部分を選択(青になる)した後、グラフマーク(赤矢印)をクリックします。
   ⑥ グラフウィザード画面に変わりますので、「グラフの種類」→「散布図」→「線のみ」の順で選択、四つのサンプルのすぐ下にある「線の平滑化」にチェックを入れて「完了」をクリックします。
     


 ⑦ バイアス毎に色違いになったカラーグラフが出てきます。凡例は場所をとるし、見やすいとも思えないので非表示にした方がすっきりします。このままでは非常にバランスの悪いグラフなので軸表示の修正が必要です。
     ⑧ Y軸(電流)の数字にマウスカーソルを当てて右クリック、「軸の書式」を選択して目盛りの最小値や最大値などを入力、OKボタンをクリックします。同様にX軸(電圧)も数値を入力します。
   


 ⑨ グラフの縦横比を決め、主タイトルや軸タイトル、副目盛線などを挿入します。バイアス毎の色違いカーブは別にそのままでもかまいませんが、当方は昔ながらの黒単色の方が読みやすいので、「データ系列の書式」で色を黒に変えて行きました。ただ、凡例を消しているので、このままではバイアス値などが表示されません。    ⑩ そこで、左の状態でパソコンの「PRTSC」キーを1回押した後、Windows付属のソフト「ペイント」を起動してここに貼り付け、必要部分をトリミングのうえペイントのテキストツールで文字を加えてファイルに保存すれば完成です。  
     


 最終的にのEp-Ip特性グラフが完成しました。右隣はメーカーから公表されているグラフで、両者を重ね合わせると見事ドンピシャ、細部まで狂いなく一致しており、製造から半世紀以上という齢を全く感じさせないこの個体の元気さがよく表れています。しかし、こいつはどうも例外みたいで、数年前に米国Antique Electronic Supplyで購入した手元の5本をチェックしてみたところ、良好なのは2本だけで、ヘタリかけが1本、工夫次第では当面使えなくもないが1本、完全不燃ゴミが1本という結果でした。

   


【やっぱりちゃんと測ってみなくちゃ分かんない】


 残る4本のデータは以下のようなものでした。

   
  こいつも個体①同様に健康状態は良好です。


 
 ややエミッション減が来ていて、30mA前後からプレート電流が流れにくくなってます。しかし、直ちに動作への目立った悪影響が出るレベルではないので、このままでも当分は使えそうです。



 



 
 
 歪みが多いなど挙動に問題アリの個体④でしたが、うかつにも、ここまでエミ減が進んでいるとは思ってませんでした。 フィラメント電圧を5%程上げて熱電子の放出量を増やせばかなり改善されますが、所詮はその場しのぎ。潔く引退させて元気な後任を探すべきでしょうが、71Aは随分と高騰してますし・・・

 ちなみに、エミッション型真空管試験機は十分に「GOOD」の御託宣。この手の試験機はゼロバイアス、プレート印加電圧DC50Vを基準点として良否判定するものが多いので、このケースではまったく実態を反映していない結果になってしまいます。



    入手当初から、いくらバイアスを浅くしてもプレート電流が流れにくくて使用を諦め、「ジャンクBox」入りしていた71Aです。関係ないけど見た目はきれい。

 マグネシウムゲッターもたっぷり残ってたので「火あぶりの刑」なども試してみましたが、だめでした。古典球は「危険がいっぱい」という典型例ですね。

 さすがにここまでヘタっていると、エミッション型真空管試験機も「BAD」と言ってくれます。


【おわりに】

 上記71Aのほか6DJ8、12A、12B4A(3結)、5A6(3結)などでもEp-Ip特性グラフを作ってみましたが、思っていた以上にいい感じのものができました。
ただ、時間がかかるのが難点。71Aで言えば、バイアスゼロから-80Vまで計9本の曲線データをプレート電圧5Vおきに測定してグラフ化するには、たっぷり2時間は必要です。手抜きして10Vおきに測定すれば時間は半分で済みますが、真空管データシートにあるようなきれいな曲線が得られず、ロードラインを引く上での問題はないとは言え「痛しかゆし」といったところ。

 同じ品種名の真空管であっても、メーカー別の微妙な~かなりの特性の違いだとか、真空管1本1本の個体差や劣化の状態がよくわかります。まあ、結論として、時間だけはたっぷりある方にとっては、試してみて損はない測定機と言えるのではないかと思いました。(2018.11.16)


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