1930年代に旧日本陸軍の移動式小型無線機の発振・変調管として開発された日本独自の直熱双3極管。家庭用ラジオなど民生用に多用されたUX-12A(直熱3極出力管)のユニットが2個封入され、そのスペース確保のためにバルブサイズはUX-12Aよりひと回り大きいST-14タイプになってます。ユニットごとのプレート特性はUX-12Aと同じとされていますが、実測してみると増幅率(μ)がUX-12Aよりかなり小さいなどやや違いがあるように思えます。
2本あれば小型シャーシに直熱管ステレオPPアンプが組めるので重宝しますが、残存数がごく僅かのためネットオークションにもほとんど出てきません。
※ 先日、特性良好な1本(川西、その2)を入手できたので、そのデータを追加しました(2023/09/02)
【データシート値】
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UZ-12C |
UZ-12C |
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バルブ 形状 |
ST-14 |
ユニット |
直熱3極 ×2 |
フィラメント |
5V/0.5A |
最大プレート電圧 |
180V |
最大プレート損失 |
1.53W(推定) ×2 |
動作例 |
Ep |
180V |
Eg1 |
-15V |
Ib0 |
8.5mA ×2 |
rp |
4.15kΩ |
RL |
- |
μ |
7.5 |
gm |
1.8 |
Po |
0.27W ×2 |
備考(データ元) |
軍用無線機概説 など |
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(注) Ep 180Vでの Ib0を9.5mA(最大プレート損失1.71W)とする動作例もある。
【実測値】 ※3定数(μ、rp、gm)は、上記動作例での動作基点付近の数値。
① 川西 UZ-12C (その1) |
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<実測値> |
フィラメント |
5V/0.55A |
μ |
6.92
7.04 |
rp |
4.25k
4.67k |
gm |
1.63
1.51 |
<コメント> |
戦時中で極度の物資不足に
陥っていた昭和19年の製造な
がら、両ユニットの特性がきっち
り揃っていて、工作精度の高さ
がうかがわれます。 |
➁ 川西 UZ-12C (その2) |
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<実測値> |
フィラメント |
5V/0.55A |
μ |
7.13
7.47 |
rp |
4.38k
4.17k |
gm |
1.63
1.79 |
<コメント> |
U2の3定数などが公開データと
見事に一致、U2のEp-Ipカーブ
がUZ-12Cの平均的な姿のよう
です。 |
③ マツダ UZ-12C |
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<実測値> |
フィラメント |
5V/0.56A |
μ |
7.13
6.89 |
rp |
4.74k
4.45k |
gm |
1.50
1.55 |
<コメント> |
バイアスが深くなるにつれて
両ユニット間の差が次第に
大きくなるものの、ユニットご
とのカーブは素直で良好で
す。製造年は不明。 |
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