何のへんてつもない昼下がり
一人ベンチに座り 行きかう人々を
ぼんやりながめる
めまぐるしい人の流れの中で
知っているひとなんて 一握りにもみたない
いつのまに こんなに人が増えたのか

同じつくりの 同種の動物
それぞれの意思はあれど
元をたどれば
皆同じはなかい生命体で
私は小さな細胞の一部でしかない

はてしなく続く
遺伝子のつながりが見える
遠い昔からの記憶
全てが一つになっていく感覚
そして 辺りを埋めつくす
確かな内なるぬくもりに触れた

頭上で鳥が鳴いていて
ふと我に返った瞬間
前より少し
この世界を好きになれた気がした

やけに空が青い日の
そんな白昼夢

(星屑ぽえめる6月号掲載)

戻る




このホームページに掲載のイラスト
文章等の無断転載を禁じます。