2014年度版「教程」

2014年度版の受検資料、大改定があって前年までの独創的な記述が入れ替えられている

2か月前に準指受検のために2013年版の受検資料を購入した。
その技術関係の記述を読んで驚いてしまった。

平面と平面が交差したら直線が出来るという数学の常識が覆されてスキーの場合はどうも面が出来るらしい。
それはスキー板の縦軸・横軸と「水平面」がつくる面(フェース)と名付けられている。
フェースコントロールというこの理論のキーになる重要な要素だがどの位置にどう出来るかは書かれていない。
「フェースコントロールはスキー板の面のコントロールのことであり・・・」という記述がだいぶ後に出てくる。
それではスキーの角付けの調節によるコントロールなのかなとも思うが水平面との関連が全く分からない。

水平面に立っているスキーヤーが重心をずらしたら推進力が発生する(重力を活用して前へ進む)とも書いてある。
これが出来たらセグウェイのように進めるのだろうが素晴らしい技術だ。
ただ、親父は足掛け60年以上スキーをしているが一度も経験したこともみたこともない。

また、重力をスキーの縦軸方向の傾斜で分解する事は加速度を表すためと理解できるが横軸の傾斜で出した分力はなにを表しているのだろう。
日本スキー教程「技術編」の「自然で楽なスキーのすすめ」、「スキー指導と検定」、「オフィシャルブック」にはこんな理解できない説明や面白い図が山ほど出てくる。

極め付きは「オフィシャルブック」にあるこんな記述である。
「・・・重力にはニュートン理論だけでは説明できないことも多くあり、アインシュタインの相対性理論、そして量子力学、これからの超弦理論とまだ解明されなければならない・・・」
さすがSAJにはすごい事を考える人がいるものだ。
人工衛星やロケット程度の速度であれば、軌道計算でもニュートン力学で十分な精度でできる。
スキーヤーがニュートン力学で扱えないような光速近い速度で滑るとでも思っているのだろうか。

親父はまだ「自然で楽なスキー」の理論を正式に習っていないし、やっと一級になれた程度の未熟者だがどうもこれは単なるダラダラスキーのように思える。
1日、目いっぱい滑って遊んで疲れてセンターハウスに戻る時、親父もそんな力を入れない滑り方をする。
しかしそれは技術の向上にも競技での勝利にも全く結び付かない滑りだ。
添付されているDVDを見ても親父の目では良く理解できなかった。

その辺まで資料を読んでから技術関係の記述をまともに理解しようとする事はすっかり諦めた。
ただ、準指導員にはなるつもりだから「そんなバカな」と天動説を唱えるSAJに「それでも地球は回っている。」などと恰好を付けても不合格になるだけだ。
なんとか天動説に合わせた回答を丸暗記することにしよう。

・・・と思っていたら先日、2014年度版の「スキー指導と検定」「オフィシャルブック」が発行されたと教えてもらった。
早速、取り寄せてみたら前文に次のようにあった。
「・・・スキー技術と指導法を新たな視点で見直し、その内容を全面改定いたしました。したがって現在発刊されている教程は・・・使用せず・・・」
とあの何とも珍妙な理論はきれいに抹殺されていた。
そういえばKサークルの会長が技術指導は昔に帰るような事をちらっと云っておられた。
そこでネットで調べてみたら改正前の教程に関する批判の書き込みが山ほどあった。
それでもあの荒唐無稽な教程は10年ほど使われていたらしい。

全柔連のような不祥事ではないがSAJも神がかりのような人に長年、技術指導に関する主導権を握られて脱線したのだろうか。
どうもこの前文で察するにSAJはこの10年間はなかった事にしたいようだがこの期間に受検した人たちは本当に気の毒だった。

新教程ではプルークボーゲン、シュテム、横滑りなど懐かしい技術がきちんと説明されている。
これにクリスチャニアやウェデルンなどを入れると親父の若い頃と一緒になるがさすがにそれはなくカービングになっていた。

去年まで受検しないで良かったなあ。
ただでも弱っている頭であんな奇妙な理論に合わせた回答を丸暗記するのは大変だった。

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