田舎の年寄りの面倒を看ないというのなら

 かつて石原慎太郎氏は東京都知事の時に「どうして、東京が田舎の年寄りの面倒を看なければならないのか?」とおっしゃいました。
では、お聞きします。「どうして、地元から離れて行ってしまう子供の教育を地方が負担しなければならないのですか?」


東京出身の学生さんばかりじゃないはずです

 東京には優秀と言われる大学が沢山あります。優秀と言われる大学が沢山あれば選択肢も増えます。だから東京には優秀な学生さんが全国から集まって来ます。東京という都市だけが優秀な学生を育てている訳ではありません。


地方の都市が高校まで教育しても

その学生さんは、東京に行ってしまってそのまま東京で就職してしまいます。日本を代表するような大企業の本社はほとんど東京にあります。一流の大企業に就職できるならその方が将来より多くの収入を得る事を期待できますからね。
 大企業に就職できなくてもそのまま東京に残られる人も多いでしょう。何と言っても東京は便利ですし、いろいろと魅力的な事柄が沢山あります。4年も東京で生活してしまうと地元に戻るのが嫌になってしまう人もいるでしょう。


しかし、子供を大学生になるまで教育したのは地方の都市です

 子供の教育はお金がかかっています。そのお金は地方行政の負担です。東京をはじめ大都市が負担してくれる訳ではありません。(地方交付税を貰ってはいますが……)
 子供の教育にかかったお金には目を瞑ったままで、いざその子供を育てられた親御さんたちが歳をとって支援が必要になった時にそれを負担するのが嫌だというのはあまりにも勝手が過ぎます。


東京だけで完結している訳ではないのです

 東京とは漏斗の底のような都市です。まぁ、大都市はそのような傾向にありますが……。あらゆる事柄が流れ込んできて、全国の全ての事が見えている様に思えます。しかし、漏斗の上の面で起こっている事は見えていないのです。
 東京にいると自分の周りに何もかもあって地方の事など気にする必要を感じられないのでしょう。しかし、毎日 食べられている食物も、産物も地方から運ばれてくる物ですし、大企業も決して東京の消費者だけに製品を買ってもらっている訳ではないはずです。東京だけで成り立っている訳ではないのです。何かにつけて「オイシイ部分」だけを持って行っているだけなのだと思います。
 それなのに、地方の都市を ただ縋り付いているだけの存在 だと言われるのは心外です。負担が重いからと言って、お子さんを送り出された親御さんを見捨てるとは 「何をかいわんや」です。


今、日本では多数決主義が幅を利かせています

 立候補者は選挙区の有権者にウケのいい事を言っていれば安泰なのでしょう。都会の選挙に地方の人が意見を反映させることはできません。
 しかし、都会の有権者が全てを見通している訳ではないと思います。地方の窮状まではご存じないでしょう。
 「そんなことは私には関係ない」とおっしゃるかもしれません。しかし、都会とは地方に支えられているのです。全国から富を吸い上げながら富を分配する事を嫌がり地方の人を切り捨てていると いつか巡り巡って自分たちがしっぺ返しを喰らうかもしれません。



2017/07/13



戻る 巣窟トップ 行政