創作研究会＝北西航路の歴史年表を参照すれば分かるが、１９９４年４月に『北西航路７』を発行した後、同人誌活動は、実質的に、休止状態になった。南山鳥27は、『北西航路７』を発行することで、創作研究会の同人誌としての活動は、完了したものと考えていた。この認識の理由は、７号の前の『北西航路６』の発行が、、１９８３年５月で、ほぼ１１年間の時間が経過した後の「北西航路」の発行であることを考えると、理解可能である。
端的に、「北西航路」は発行することが難しい同人誌であった。一旦、同人誌が、あるレベルに到達すると、レベルを落として同人誌を発行し続けることは困難になる。「北西航路」を編集し、発行することは、きわめて手間のかかる作業であった。１９７０年代とは、色々な意味で状況が変わって来ていたと、南山鳥27は述べる。彼女は、『北西航路７』を最後の「北西航路」と見なした。これ以上に、北西航路同人誌を編集発行するのは、不可能だと云う認識であった。
とはいえ、「北西航路」の完了は、同人サークルとしての「創作研究会＝北西航路」の終了を意味してはいなかった。１９９０年代には、同人誌の発行は、ほぼ休止状態であったが、会合や、酒席での宴会は盛んであった。山都風位は、定例会が変容したのだと主張する。２０周年記念集会に引き続き、２５周年記念集会（銀祝会）が、１９９０年代に開催されている。従って、創作研究会は、死滅して、雲散霧消した訳ではなかった。
１９９０年代は、パソコン通信の時代であり、９０年代も末になると、インターネットへの進出が社会的にも顕著となってきた。南山鳥27は彼女のウェブサイトを造り、活動をそちらに移動させた。他方、山都風位は、１９９９年に、「世界に開かれた密室」サイト、すなわち、非公式の「創作研究会」ウェブサイトを立ち上げた。活動する同人の人数が減少すると共に、それぞれが、自分の活動に専念した。
こういった状況のなかで、会の創立３０周年を考慮してか、山都風位は、『風の翼』の記念号を久々に発行することを計画した（と思われる）。あるいは、原稿が集まって来たので、同人誌の発行を考えたのかも知れない。このようにして、２００１年の暮れか、２００２年の春には、『風の翼』30周年記念号の発行は、確定したものとなった。しかし、この年に、眉村卓先生の奥様であられる悦子氏が、闘病生活の後、逝去なされた。かくて３０周年記念号には、悦子様への追悼文が加わった。
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