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2010. 2.19(Fri.) ライヴDVD「VAMPS LIVE 2009」本編集
今までのライヴ映像はインディーズらしさとかロックな感じを目指してたんですが、今回はクオリティの高いライヴ映像を見せたいなと思ってました。アリーナのスケ
ール感を出したいとも思ってた。いいライヴがパッケージできましたね。そんな苦労した記憶はないけど、やっぱりミュージシャンと監督って目線が違うじゃないで
すか。そういうところのすり合わせの作業ですね。たとえばプレイヤーとしてここがすごいんだけど、監督としてはほかに考えてるところがあったりする。ミュージシ
ャンとして“いや、ここなんだよ!”みたいなところがあったりとか。あとは客観的なところだね、監督が見落としてそうな。演出として実はこういうことやってるんだよ
っていうのをすり合わせる感じ。
2010. 3. 1(Mon.) 『BEAST』レコーディングのためサンフランシスコへ
(編集担当・きくち「なんでサンフランシスコだったんですか?」)今回のレコーディングは以前からミックスしてるジョッシュ(・ウィルバー)とやりましょうっていうのが最初の
目標。彼のスタジオはN.Y.なんですけど、俺N.Y.あんまり好きじゃないんですよ。街が好きじゃない。というのがありながら、環境がいいところでやりたかった。街で
やるんじゃなくて、リゾートスタジオ。そういうところのほうが気分的にはうれしいんだよね。そしたら、N.Y.の北のほうとサンフランシスコが出てきて。写真で見る限
りサンフランシスコがかなり良かったからこっちにした。でもさ、ちょっと自分の独断で選んだところがあるから、変なところだったら申し訳ないなあと思いつつ現地
に行ってみたら、サンフランシスコの街からすぐだと思ってたんだけど車で1時間くらい走って、どんどん山のなかに入って行って。牛しかいないの。牧場のなかに
入っていく感じ。俺はすっごいそういうの好きだからわくわくするんだけど、みんな大丈夫?って気にしながら(笑)。たどり着いたら草原のなかにアメリカンハウス
があるって感じでしたね。スタジオと家が離れてて、俺的にはステキー♪って感じだった。
2010. 3. 3(Wed.) 日本から持っていった納豆を食べる
(きくち「やっぱり海外に行っても日本食を求めるタイプなんですね」)うん、どこに行こうが関係ない。スタジオが合宿所みたいな感じだから、シェフがいて毎食作ってくれる
の。その人にもなるべく和食を中心にしてほしいって最初から伝えておきました。
2010. 3.10(Wed.) 街にギターを見に行く
行ったんだけど別におもしろいものなくて。日本のほうがぜんぜんあるなって感じ。L.A.に行ったときもそんなに感動しなかったし、サンフランシスコのギターセンタ
ーもいいのなかったな。日本のほうがよっぽどあるね。
(きくち「レコーディング中盤戦はどんな感じでした?」)歌詞の進行がすごく遅かったですね。なかなかできないな
〜って感じでやってました。あとはレコーディングの作業の仕方が変わった。本当はリズム隊が終わったらあいつらとっとと帰すつもりだったんですけど(笑)、ドラ
ムのあとにベースじゃなくてギターを録ることになったんで、結局Ju-kenがずっとヒマそうにしてましたね(笑)。このやり方は初めてでした。でも合理的だと思う。
一度ベースを録ってしまうと、次にギターを入れたときに音がぶつかってるところを修正できなくなっちゃうとか、むずかしいコードを入れなきゃいけなくなっちゃうん
だよね、隙間を探すために。でもベースだと1音だから修正するのもすごく簡単。特にVAMPSの場合はギターメインだと思うから、メインの音をガツンと作ることによ
って、あとがラクっていうか。ギターメインの曲の場合、ギターはたぶんこういう音がくるから……ってベースは想定してやるじゃない?そういうムダな作業がない。
やりたいギターの音をガン!ってやって、あとはそれに合わせてベースを録るっていうのがすごく合理的ですね。
2010. 3.15(Mon.) 一時帰国
本当は用事があったんだけどその日程がずれて、なんでもない日に帰ってきちゃった(笑)。でも俺、飛行機がぜんぜん苦じゃなくて、すごい楽しいの。むしろ飛行
機移動好き、みたいな。あのロックされる感じ?もう日本に着くまでの10時間ぐらい何もできません!っていうのが好き。好きなだけ映画観ようとかさ。映画観たり
お酒飲んだりする、その時間が好きですね。
2010. 3.18(Thu.) 再びサンフランシスコへ
(きくち「戻ってきて“おや?”と思ったことかありました?」)少人数で行ってるから、俺結構マネージャーの気分で、スケジュールとか気にはなってたんだよね。放っとくと録
れないだろうから、スタジオはフル回転しないとなって思ってたんで。だからムダな時間があるのがすごくいやだった。常にだれかがやっててほしかった。そのへ
んの粗がちょっと気になった記憶があるな。
(きくち「そんななか、またヴォーカル録りをやってますね。向こうでは何曲歌ったんですか?」)3曲。「LIVE WIRE」と「DEVIL SIDE」と
……「REVOLUTION」。「REVOLUTION」がラルク アン シエルの「REVELATION」とごっちゃになってしょうがない(笑)。いつも「あ……ええ……あう……」ってなっ
ちゃう(笑)。
2010. 3.23(Tue.) 「What's IN?」取材
どうせ取材するならいいところでやろうよってことで、眺めのいいところでやったのはいいんだけど、ハチが何十匹もいて(笑)。でも刺される心配はないのよ。自然
のなかにいるとわかるね、こいつらそれが目的で飛んでるわけじゃないって。眺めはすごくいいところでした。ちょっとした気分転換にもなりましたね。
(きくち「もうこ
のへんになるとレコーディングも後半戦になってますが、この時期はどんな感じでした?」)
ベースとギターを交互に録ってました。ギターのベーシック録ってはベース録りをくり
返しながらも、しめ切りがあるんでやりきらないとなって。
(きくち「トータルでサンフランシスコでのレコーディングはどうでした?ここまで長い海外でのレコーディングって初めてです
よね?」)
こんなに連続してはないかもね。すごくいい、今まででいちばん良かった。クリエイティブな感じだった。“スタジオに行く”っていうのがあんまり好きじゃな
いんだけど、そういう感じじゃなかったね。ものを作りに行くっていうか、ちょっと遊びに行く感じに近かったかな。歌録りは基本的にここでやる予定じゃなかったから
かもしれないけど。これはアリだなって思った。音もぜんぜん違うし、やりがいのあるレコーディングだったな。あと、毎日ピアノ弾いてたね。「きらきら星」を弾けるよ
うになろうと思って。隙間があると練習してたんですけど、日本に帰ってきて正式なものを聴いたらちょっと間違ってた(笑)。
2010. 3.31(Wed.) 「DEVIL SIDE」ミュージッククリップ撮影 朝8時現場入り
実際に営業してるクラブで撮影されたんで、夜に営業が始まる時間が決まってたんですよね。だからどんなに大変でもその時間までには終わるなっていう。だけ
ど逆に言うとその時間までに撮りきらないとだめだから、俺的にはピリピリというか、段取りが気になってましたね。
(きくち「帰国した翌日で、しかも朝8時に現場に入ってる
じゃないですか。これはある意味、時差ボケがあるとすると正しいんですかね?」)
だからちょうどいいんだよね、慣れるには早起きのほうが。朝はそんなにつらくなかった。日
本に帰って早寝早起きになってるんだよね、たぶん。早寝早起きってちょっと憧れない?この業界の人って。そんな生活ちょっとしてみたい、みたいな。健康的な
イメージへの憧れ。その環境をなくしたくないんだよね。だからなるべく仕事を朝に入れるようにして努力してました。
2010. 4. 1(Thu.) 朝イチで事務所に来て作詞作業
(きくち「戻ってきたらなんと言ってもヴォーカル録りが始まるわけで。作詞作業とヴォーカル録りと、っていう感じですかね」)そうですね。“今月はこういうスケジュールで録ります”っ
ていうのを見たとき、“うわ〜……もうこれ絶対無理!”って思いましたね。N.Y.に行く予定だったけどこれ行けないなあ、K.A.Zくんよろしくね、みたいな感じで。でも
確かにこのスケジュールでやらないと終わらなかったんですよ。だから無理だとは思ったんだけど、言葉にする勇気がなかった(笑)。まあやれるところまでやって
みようっていう感じで、心のなかで思ってました。
(きくち「各曲ごとによって違うとは思いますが、今回の作詞作業はいかがでしたか?」)普通、歌録りって全部のオケが録りお
わってから“じゃあこの曲どうぞ”ってなるんだけど、逆に言うとひとつの作品の完成を待たなきゃ歌がうたえない。でも俺の今回の状況って、ベーシックは全部録
れてるからどれ歌ってもいい。その代わりどの曲もうわもののギターは録れてないけど、歌う順番は自分で選べる。その状況が良かったみたい。たとえば作詞す
る期間、歌録りと歌録りの間が1日しかないっていう状況だと、いちばん早く詞が書けそうな曲から始める。反対にちょっと時間があるんだったら、この曲録れるか
な、作詞できるかなとか、自分ですべて選べたから合ってたね、今回の作業には。順調に進んでいって、気がついたらちょっとまいてました。でも、合間にいろい
ろつっこんでくるんですよ、プロモーションとかを!作詞だけでも無理だなと思ってるのに、なんか差しこんでくるんですよ!ホントね、鬼だなと思いましたね(笑)。

きくち「ベーシックだけでギターがない状況でヴォーカル録りするのはすごく珍しいと思うんですけど、曲のイメージとか全体像とか想像しながら歌っていくっていう感じだったんですか?」)

のギターはありますからね、デモテープの。だからそこもVAMPSらしいというか。デモが結構しっかりしてるから。完全じゃないけどね。そういう意味ではVAMPSに
合ってたかな。
2010. 4. 4(Sun.) 移動販売のくだもの屋さんでデコポンを購入
事務所の前に、値段は忘れたけど“5個300円”みたいな看板が出てる安いデコポンが売ってた。みんなビタミン不足だろうから買おうと思って「ひとつください」っ
て言ったら、「あ、300円なのはこっちで……」って言って、見えないところから小さいの5個出してきて!それ食べれないでしょ、おもちゃでしょそれ!みたいなやつ
(笑)。大きくておいしそうなのは1個100円、みたいな。きたねえなと思いながら、まあいいやと思って大きいほう買いましたけど。「今日雨だからおまけしとく〜」と
か言われたんだけど、たぶんうしろめたい気持ちがあるんだと思うよ(笑)。
2010. 4.13(Tue.) 「KYUKETSU-SATSUGAI VAMPS Ver.-」歌録り
(きくち「このあたりからK.A.ZさんがN.Y.に行き、日本のヴォーカル録りと、N.Y.のギター録りとミックスが並行作業になっていくわけですけど、どんな感じで進めていったんですか?」)ヴォーカ
ル録りおわったらN.Y.に送って、向こうもギター録りおわったら日本にオケ送って、録った音をお互いがチェックし合うっていう感じ。途中からそれがミックスに変わり
ました。チャットで会話しながら、ここもうちょっとこうしたいとか。だからK.A.Zくんの感性を信じるしかないよね。「髪の毛1本分」とかややこしいこと言うとむずかしく
なっちゃうから、「ちょっとだけ大きい」っていうような漠然とした言い方で伝えて、あとは彼の感性でやって、それを信頼するしかなかった。「1デジ上げて」とか細か
いこと言うと“これ1デジ上げたけどこれでいいのかな?”ってなっちゃうと思ったから。
(きくち「こういう海を渡る作業はやっててどうでした?」)いい面もあり悪い面もありだ
ね。悪い面はデータのやりとりのタイムラグが大きいから細かい作業ができない。いい面は、ミックスが客観的に聴けるんです。これすごく大きいと思う。エンジニ
アがいないところだとみんな好きなこと言う。普段何も言わないJINちゃんとかが「こうだよね」とか(笑)。でもJINちゃんって結構的を射たこと言うのよ。俺は気づか
なかったこととか。
(きくち「ヴォーカル録りと作詞とミックスが同時に行われて、かなり混沌とした状態になってますね」)かなりすごかったよ。頭の中がフル回転していくの。“作詞
脳”が絶好調!キーン!ってモーターが回ってる感じ(笑)。だから作詞始めるとめちゃくちゃ早い。しかも気に入った詞が短時間で書けるようになってきて気持ち
良かったな。いい作品を絶対期日までにやってやる!っていう意地が働いてました。
2010. 4.27(Tue.) 歌入れ終了
かなりの達成感があった。やっぱり制作期間に入った時点からずっと脳が動いてるんですよ。休みであっても休みでないっていうね。特にここまでガーッ!ってや
った最終日だったんで、これで明日から何も考えなくていいなっていう感じだった。自分のなかでほっとした感じ。大手を振って飲みに行ける、みたいな(笑)。すご
いうれしかったと思う。たしかこの日飲み会入れてたな。この日絶対早く終わらせるから集まれ!と(笑)。酒飲もうって決めてたはず。実際終わったのも早かった
から「いいですか?もう行っていいですか?」って(笑)。
2010. 4.29(Thu.) 「SAMSARA」坂本美雨さんの歌入れ
「SAMSARA」って曲で、最初は自分でメロディを歌ってたんですけど、画的なイメージだと俺が歌ってるんじゃないんだよなと思って。俺が歌うとインストじゃなくな
るのがちょっと違う。映像的には“俺がギターを弾いてる横で女の人が歌ってる”っていうのがかっこいいなと思った。こういう声で歌える女性がいいなって、スタッ
フと相談したら「美雨ちゃんどう?」ってことになってお願いしました。想像以上によかったですね。もうほとんど何も言わずに何回かテイク回して、おいしいところい
ただいたって感じです。よかったですね。
2010. 5. 5(Wed.) 『ROENTGEN』以来の真っ白な金髪に
前からしたいとは思ってたんですよ。kyoさん(BUG)の金髪見ていつもかわいいなって思ってた(笑)。金髪に目のまわりが真っ黒なメイクってかわいいな〜って前
から思ってて。kyoさんに会うたびに「マネしていいですか?」って聞いてたんです(笑)。で、たしか“JACK IN THE BOX 2009”のときに「マネしていいよ」って言っ
てくれた記憶があるんですよ。許可もらったなって印象がずっとあったのと、「ANGEL TRIP」の映像を考えるとすごく合うんじゃないかなと思ってたから、やっちゃっ
たって感じですね。
2010. 5.22(Sat.) “VAMPS LIVE 2010 BEAST”リハーサル合宿開始 ダイエットを始める
これも前からやろうとはしてたんですけど、本気でやろうと思って。今(取材当日)炭水化物抜いて10日目くらい。完全に炭水化物を抜きはじめたのは5月24日か
らだね。合宿でそばが出てきたんだけど、そのときに「こういうダイエットがあるんだよ」って話してて。俺はそこまでやるつもりはなくて、1食だけ抜くとかでいいか
なって思ってたんだけど、Ju-kenがそばを食わなくて、気合い入ってるな!と思って。俺はそのときはそば食ったんだけど、次の日から俺もやってみようかなと思
って始めました。そんなつらくないんですけど、体重減らないんだよなあ。酒飲んでるからかな?(笑)そのダイエット方法だと、焼酎はOKで、赤ワインは△。赤ワイ
ンは糖質が少ないんだって。けど顔は少し締まってきたかな。
(きくち「もうガッチリ固まったチームっていう感じになりましたもんね」)そうだね。ただ、問題はアルバムのマス
タリングが終わってないってことですね(笑)。
今号のシメのひと言

“VAMPS LIVE 2010 BEAST”も始まって、
もうすぐアルバム『BEAST』が出ます。また
印象がガラッと変わると思いますが、ライヴ
はさらにグッと深みが増して楽しくなると思
うので、お楽しみに。