>>vol.95
2017.12.10(Sun.) | "HYDERoom presents 黑ミサ 2017 in
Furano"リハーサル 当初、富良野での"黑ミサ"開催は決まっていて、幕張はもともとVAMPSでやろうとしてたんですけど、ツアー終了から数ヵ月空いてたから、またリハーサルからやり直さないといけないから結構大変だなと思ってたんですよ。いい日だからぜひやりたかったので、VAMPS以外に幕張で2日間やれることといったら"黑ミサ"かもしれないなと。 以前から"黑ミサ"に関しては、いつか東京でやりたいなと思ってて、別の場所を探してたんですよ。知りあいからも、ああいうライヴが観たいって話をよく聞いていて、それもおもしろいなと思ってたので。やっぱり富良野だと、観たくても仕事があって来られない人とかが多いじゃないですか。パフォーマンスを気にしないで歌に集中するのもおもしろいなと思えてきたタイミングでもあったので、いろいろ折りあいがよく、このタイミングで開催することにしました。 |
2017.12.11(Mon.) | 元Roenの高原 啓氏と共同で起ちあげた自身のファッション ブランド「SWITCHBLADE」レセプション パーティに参加 もともと高原さんとは仲がよくて、自分の衣装とかを作ってくれたら楽なのになとは思ってたんで、そういう流れでいっしょにやることになり、それが「SWITCHBLADE」という形になりました。僕自身はデザイナーではないので、こういう服が着たいなと思ったら高原さんに伝えて、それを彼なりにデザインしてもらったり。そういった関係性ですかね。自分のブランドを持つことには、これといった興味はないです。いろいろなことに手を出して、自分の美意識が薄れていくのがいやだったりもするし。やっぱり、多方面に手を広げると一つひとつ完全にはできなくなっていくから。ただ、高原さんや周りのスタッフが一生懸命やってくれる状況を作れてるから、僕がプロデューサー的な立場でいられるのであれば、ミニマムな関わりでやれたらいいなって感じです。 「SWITCHBLADE」って"飛びだしナイフ"のことなんですけど、イメージは映画の「アウトサイダー」や「理由なき反抗」で。子供の頃、かっこいいなって思ってたんですよね。でも、本物は日本だと持ってちゃだめだったから、よく少年マンガ誌の広告に載っていた飛びだしナイフ型のマイナス ドライバーを買ったりして(笑)。 でも、そんな憧れって今となってはどうでもいいじゃないですか。たまに雑誌とかで見かけたら"いいな~"とは思うけど、海外で見つけてもどうせ持って帰れないから意識もしなくなってきたし。お酒やタバコもそうだけど、子供の頃はめっちゃ憧れてたのに、今となってはそんなにこだわらなくてもいいかって思えるもの。それってすごくロックと似てるなと思ったんですよね。音楽も"あまり聴かなくても大丈夫"って感じになってきてるし。だから、あの頃のロックへの憧れを忘れちゃいけないなと思い、「SWITCHBLADE」と名づけました。大人になることも重要だけど、少年の心を忘れないのも重要。ふとした瞬間、内ポケットのナイフの絵を見たときに"憧れを忘れない"って思えるように。 |
2017.12.12(Tue.) | 「Hyde Radio[ハイドラ〕」収録 「HYDERoom」向けに配信しているラジオ番組なんですけど……嫌いじゃないです(笑)。ちゃんと司会者がいるから。ひとりしゃべりは面倒くさくて嫌いだけど、これは司会の人に振られたことをずっと茶化してる感じで、気楽にやってますね。 |
2017.12.16(Sat.)~17(Sun.) | "HYDERoom presents 黑ミサ 2017 in
Furano"@新富良野プリンスホテル もはや忘年会みたいな感じで、富良野に行って"黑ミサ"をやらないと年は越せないなって気分ですね。やっぱり今年も行かないと締まらない、みたいな。 リハーサルも含め、数日前に富良野に入ったんですけど、無駄な時間を過ごさないように取材を入れたりして。今回は「森の楽団」っていうお店で、木とか枝とか花とか森に落ちているものを使って楽器を持った人形を作りました。それがね、よく出来てて。どんぐりで帽子を作ったり、ギターにしてもラベンダーの茎を乾燥させたら4本に分かれてきれいな細い糸が取れるんですよ。こんなの、よく見つけられたなって思うんですけど、それを弦に使ったりして。富良野にあるものだけで作られてて、森の素敵なものをいろいろ教えてもらいましたね。僕にああいうものを作らせたら、絶対にうまいってわかってますから(笑)、結果、いい感じの作品が出来て。でも、プラモデルみたいな感じで素材の一つひとつを先生が用意してくれて、僕はそれを接着するくらいの作業だったから、あれをゼロから素材集めも含めて自分で作ったとしたら、もっとクオリティが落ちたでしょうね。 初日の本番前には倉本 聰先生とお会いしました。これまでも何回かお会いできそうな機会はあったんですけど、あいさつレベルしかしたことなく、ちゃんとお話ししてみたいなと思ってたんですよ。もうね、富良野では神様みたいな人だし、怖いパブリック イメージもあったんですけど、怒られるのもいい思い出かなってちょっと緊張しながらお会いしに行って。当日はせっかくだからということで、先生のアトリエに伺うことにして先生が来るのを待ってたんですけど、そのアトリエには玄関とは別に勝手口があったんですね。「まさか、ここからは入ってこないよね」とかスタッフと話してたら、そこから現れて。"ほんまに来た!"ってびっくりしましたね(笑)。 事前に、先生はお忙しいから5分くらいしかお話しができないと聞いてたので、会話が途切れたら終わりやなと思ったから、僕、そんなに話を転がすのがうまいほうじゃないんですけど、先生がおもしろいと思えるような話題がずっと途切れないように、それはそれはがんばってしゃべりましたね。結果、15分ぐらいはお話しできたんですけど、その間、ずっと緊張していて、「いっしょに写真撮ってください」も言えませんでした(笑)。先生からしてみたら、東京からガキが来たなって感じじゃないですか。でも、"こいつ、悪いヤツじゃないな"って感じてくれたから、15分もお話しをしてくれたんだと勝手に思ってます。「どの季節が好きですか?」って僕が投げかけた質問に対して、先生は「冬が好き」って言ったんですよ。「日本は色に対しての規制がないから、いろんな色が溢れててうるさい。でも、冬になって雪が降ると、真っ白になって色がなくなり、見ていて落ちつくから好き」みたいなことを言っていて。それって、ちょうど僕の思ってる冬の"黑ミサ"のイメージと似てるなあと思って、すごく共感できましたね。目の前が巨大なガラス張りの素敵なアトリエで、その向こう側にはただただ森が見えて。冬になるとそこに雪が積もって、真っ白な世界だけが見える部屋。ああ、なるほどな、ここから見える白いキャンバスをもとに、いろんな作品が生まれていくんだなって感慨深い思いがしました。 →12月16日・17日 HYDERoom presents 黑ミサ 2017 in Furano@新富良野プリンスホテル |
2017.12.19(Tue.)~20(Wed.) | "HYDE Christmas Concert
2017-黑ミサTOKYO-"リハーサル できれば、"HYDE Christmas Concert 2017ー黑ミサTOKYO-"は富良野公演の前にしてほしかったんですけどね。体調を崩したら終わりだから、やっぱり声の調子とかは気にしました。"これは滑れないな"っていう公演でしたから。 ライヴの核となるのは、やはりKenさんがゲストで登場するところだと思っていたので、そこを踏まえて流れを演出できたらいいなと考えていて。Kenさんが現れてからの会場の雰囲気を想像しながら、"ここでこういう曲が来たほうがうまくいくだろうな"とか組みたてていきました。選曲に関しては、基本的に冬に関連する曲をメインにしつつ、やはりKenさんがいるからKenさんが作った曲がいいかなっていうのもあって。あとは"黑ミサ"だったりクリスマス感だったりのさじ加減でしたね。 オーケストラ用のアレンジに関しては、Kenさんにあまり負担をかけたくなかったし、Kenさんのスタイルを崩してまで参加してもらう必要はないと思っていたので、"Kenさんのギターパートはなるべくそのままで行って、そのほかの部分をオーケストレーションに変えていきましょう"っていうことを基本軸にして。僕は「もうちょっとバラードっぽくしたいな」とかアイデアを出すくらいで、あとはバンド マスターのひこにゃん(堀向彦輝)や、ほかのアレンジャーにお願いしました。 オーケストラをバックにライヴをするのもVAMPSのアンプラグドで経験してたし初めてじゃないから、だいたいデモの段階で雰囲気はわかってましたね。リハーサルではほんと確認作業くらいでした。 |
2017.12.23(Sat.)~24(Sun.) | "HYDE
Christmas Concert 2017-黑ミサTOKYO-"@幕張メッセ国際展示場4・5・6ホール 当日、会場に行ってみたら僕の知らなかった柱が客席にあったりして、ちょっとびっくりして、ステージが見えづらい所はないか確認して、なるべくどこの席からでも見やすいように意識しましたね。そういう作業をギリギリまでやっていたから、本番はもうなるようになれって感じでした。 会場の設営を考えるにあたっては、舞台をゴージャスにするかとか、客席をゴージャスにするかとか、いろいろ考えたんですよ。でも、今回は冬だし、スタンディングじゃなくて座席指定だから冷えるんじゃないかなと思って、赤いカーペットを敷いて客席のほうを豪華にしようという考えに至って。で、当日、床を触ってみたら、カーペットが敷いてある所は全然冷たくないんですよ。カーペットのない所はめちゃめちゃ冷たいのに。"これは勝ったな"と思いましたね(笑)。やっぱりお客さんには演奏に集中してほしいじゃないですか。ステージ以外の環境も重要だなと、僕は思うんですよね。 ライヴは楽しかったですね。独特な緊張の糸がピンと張った感じ。それこそ、VAMPSのアンプラグドの頃はそれが怖かったけど、今はそれが気持ちいい。だからこそ伝わるものって、きっとあると思うんですよね。ちょっと咳をすることもためらわれるとか、それくらいの緊張感のなかで歌を聴いてもらうということは、それはそれでおもしろい。責任感ももちろん伴いますけど。それぞれの楽器の細かい部分まで集中して聴く感じというか。そういう序盤から始まって、後半ではリラックスして聴ける流れで。 僕自身もリラックスして、あの場を楽しめたんですよ。みんなに感動してもらうライヴを目指し、自分としても自信があって、実際、とてもいいライヴだった。曲数はそんなに多くなかったけど、僕自身、あんまり長いライヴは好きじゃないから、だいたい2時間前後でまとめて、時間的にはたぶんあれくらいがベストだと思うんですけど……ラストの「未来世界」のとき、あと1曲でこの楽しい時間も終わってしまうんだと思ったら寂しくて、泣けてきました。そういうライヴができたのって初めてのことかもしれない。 やっぱりいい歌を届けている自信があるから、僕自身はリラックスできて。緊張してると歌が震えてくるんですよね。ある程度、自信を持てると堂々と歌えるから、そこに余裕も生まれてお客さんのことも考えられたり、その状況を楽しんだりできるんだと思います。以前と比べて、そのへんの心がまえはちょっと変わったから、やっぱりそこはにじみでてくるものだと思いますね。 "歌う"ということに関しては、いまだに勉強してます。歌いながら"あ、こういうことか"とかって学んだり。ここ10年間で得たものも結構大きいから、その体得した歌の技術を表現できてうれしいですけど、もう少し高みに行けると思ってます。よく歌手の方の、50~60歳で自分のパワーがダウンしていくとか、高いキーが出なくなるとかいう話を聞きますけど、僕にはいまいちわからなくて。その人たちは若い頃にピークがあったからかもしれないですけど、僕はまだピークを迎えていないのかもしれない。若い頃の僕は何も考えずに歌ってたから、逆に今のほうが声域もグッと伸びて、楽だし、歌っていて楽しいんですよ。 海外を見わたしても、自分よりもうまいなと思うアーティストはいっぱいいて、ヴォイス トレーニングをきっちりやっている人たちにはかなわないと思うんですけど、音楽表現における表情っていう意味では、あまり負けてないなとも思っていて。そういう点においては彼らの域を目指して、感情表現のできる楽器として、僕の歌にはまだまだ伸びしろがあるなと。もちろん若い頃には声の色艶とか、それなりにいい部分もあったと思いますけど、それはどのみち今の僕には不可能な部分だから、違ったところでどんどん歌を表現できたらいいなと思います。 →12月23日・24日 HYDE Christmas Concert 2017-黑ミサTOKYO-@幕張メッセ国際展示場 4・5・6ホール |
2018. 1. 1(Mon.) | 新年を迎えて 2017年は激動の一年だったような気がしますね。自分としてはVAMPSの『UNDERWORLD』という作品が作れたことで、大きな可能性というか、ひとつのレベルに達したと思えたから、それをきっかけに次のアルバムではさらなる高みを望みたいなと思います。まちがいなく大きなきっかけになったけど、"こうすればよかったな"ってところもすごく感じたので、それを現実として受けとめて、次はレベルアップした状態で自分の理想を具現化できるなと。まあ、VAMPSは活動休止になりましたけど、そこで得たものをなくすつもりはないので、次へのステップ アップに大いに役だてたいなと思います。 今年はHYDEのソロ プロジェクトをお披露目する年ですね。久々のソロ復活ではありますけど、ゼロからスタートだと僕は思ってて。やっぱり今、過去のものをもう一度焼きなおして作るのには興味がないから、ゼロからスタートするほうが楽しみだし、うまくいくとも思う。まずは新しいソロ プロジェクトをお披露目して、それを今後に繋いでいく一年にできればと思っています。 |
2018. 1.10(Wed.)~14(Sun.) | スタジオにてプリプロや各種作業 ソロ プロジェクトに向けての曲作りの第一歩ですかね。デモ作りです。少ししか元ネタはなかったんですけど、それを形にする作業ですね。あと、今になって、なぜ自分ひとりで全部作曲することにこだわってたんだろうって気づいたんですよね。アメリカや世界を見たら、大勢で作曲してるバンドはたくさんいるし、僕ひとりの才能だけで僕の理想は作れないんですよね。やっぱり、いろんな才能が重なって僕の理想が完成するってこともあると思うから。だから、ちょっと頭を切りかえてます。何人か作曲家と曲を作っている状態ですね、今は。 |
2018. 1.15(Mon.) | スタジオ作業後、ASH DA
HEROのライヴを観に渋谷へ 今まで観たASH DA HEROのライヴのなかでいちばんよかったですね。ステージ構成がちゃんとまとまっていて、僕好みだったんですよ。彼の長所である曲の多様性がよくまとまっていたので、すごく見ごたえのある飽きないライヴでした。成長してますね。ASHには「今まででいちばんよかったよ」とだけ伝えました。普段結構、ダメ出ししちゃうんですけど、今回は細かいことはいちいち伝えるようなことでもないなと思って。 |
2018. 1.16(Tue.)~ 2.23(Fri.) | スタジオにてプリプロやレコーディング作業 この時期の後半には、すでにレコーディングを開始していて、1曲だけですけどレコーディングして、歌も録りおわってます。その曲、聴いたらびっくりするでしょうね(笑)。結構、激しいかもしれない。VAMPSより激しいかも。 ラルク アン シエルだったり、VAMPSだったり、ソロだったり、確かに僕の音楽表現っていろいろなスタイルがあると思うんですけど、今となってはその多様性/多面性こそが僕自身だとも思っていて。ジキルとハイドじゃないけど、人格が何重にもあって、それを縦横無尽に表現するのが僕の個性かなと。実はこの考えって、以前、ラルク アン シエルの活動だけをしていた頃に気づいていたことなんですよ。ken、tetsuya、yukihiro、そして自分と、それぞれの曲の作曲者の理想に沿うようなヴォーカルになっていて。そのときに培った自分の多面的なスタイルを今はもっと掘りさげて、"黑ミサ"で披露したようなクリアな歌声からヘビーな歌唱法まで、完成度を高めてきたんですよね。クリアとヘビーって相反するような気がするじゃないですか?でもね、それぞれを高めることによってね、両方ともちょっとずつ成長していって。歪んだ歌唱法とかは以前はあまりやってなかったから、勉強するところもいっぱいあるんですよね。で、それを勉強するとクリアな歌唱法にも役立つんです。例えばきれいな声って、たぶん誰にでも出せるじゃないですか。でも、歪んでて安定した声って普通の人では出せない。でも、歪んだ声を安定して出せるようになると、クリアな歌声も安定してくる。要は歪んだ声を安定して出せる術を知らないと、無理をして声を出しちゃうから声自体が変になっちゃって、クリアなほうにも影響しちゃうんですよね。今回の"黑ミサ"で安定した歌声を披露できたのも、やっぱりそのテクニカルな部分が大きかったと思います。 海外のアーティストを見わたしてみると、感情的にガツンをいきたいときは力を込めて歪んだりするじゃないですか。日本でも桑田佳祐さんとかはクリアも歪みも普通に両方できる。でも、日本だと歌のスタイルとしてクリア/歪みを分けがちですよね。僕はそこを分けるんじゃなくて、クリアも歪みも音楽表現のひとつ、それを自然に自由に行き来することによって、さらに歌に深みを出せるようになりたい。以前の僕は歌に力を入れるときに力んでたんですよ。力んでヘビーな声を出そうとしてた。でも、今はもっとテクニカルに行き来できるようになってきているので。 |
今号のシメのひと言
このLE-CIELが届く頃には、いろんなことが発表に |