南蛮壺

径 45.1cm 高さ 33cm

かなり口の広い上部が失われたような壺である。
弥生式土器の名の由来となった東京弥生町出土の壺は、 もとは長頸壺であった。頸部が欠損した今の形で出土した。 同形式の長頸壺が完器で出土しているが、 胴部だけのこの壺は実によい。 むしろ頸部あるいは口部を欠くがゆえに、 壺の存在空間が豊かで大きくなっている。
ここでの欠損はただ無いということではない。 無いということが在るのである。 そこには明らかに無い口部が存在するのである。 無い口部を存在せしめている素晴らしい壺が存在するのである。
私も無いということを存在させてみたいと思った。 無限定な空間を現してみたいと思った。


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