南蛮壺

径 30.8cm 高さ 29.5cm

底面のない丸底のごろごろする壺は、原始的な土器に多く見受けられる。液体を容れて、 頭に載せて運搬するところでは、ごく一般的である。底面がないほうがかえって、 頭上やでこぼこの地面のうえで安定する。
わが国では中世以降、丸底の壺は絶えて見られない。 丸底の壺は、固定せずに、壺自体を動かしながら作るが、 中世以降、轆轤あるいは台に据えての成形が主流となったからである。
フラット面での現代生活では非実用的で、もはや省みられることもすくなくなった。
だけれども作者はこの手の壺が好きでたくさん作ってきた。 地上との接点が一点で支えられる丸底の壺の、重力から解放されたような、軽やかな緊張感が好きだ。


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