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野焼陶筥長辺16.7cm 短辺15.4cm 高さ9.9cm |
この陶筥も前掲の野焼楽茶碗同様の手法で焼造した。 この手の筥ものは、ふつう、構成する各面を適度な厚さの粘土板から切り出し、それらを貼りあわせて作られることがおおい。 私の場合、土を叩き伸ばした底面に、紐作りで器壁を立て、やはり叩き伸ばした上面を貼り付け、 少し乾かしてから、蓋と身を切りはなして筥にしている。 ちょっと手間がかかるけれど、紐作りや手びねりによる成形は、ひと連なりの運動の展開からなる轆轤成形とはまた違った表現を生み出す。土を叩き伸ばしたり土の紐を捻りつけたりする行為の呼吸とタッチが、時の密度となって積み重なり、器を形づくるのである。 |