赤色土器壺

径 32.2〜29.7cm  高さ 28.7cm

野焼の赤色土器も、前二者同様の手法での焼造である。ただ赤色土器においては黄土に加える低火度釉の量がずっと少ない。
低火度釉を添加するのは、本焼した素地に黄土を野焼の温度でよく焼きつけるためだが、添加量の多少で楽釉になったり赤色土器になったりする。
そもそもこちらの作品を手がけたのが先で、あやまって低火度釉を加えすぎ、楽釉のように熔けたのをきっかけにして野焼楽へと発展していった。
この壺も、前に紹介した南蛮の壺同様、丸底でごろごろする。ごろごろするが、達磨の原理でけっしてひくりかえらない。
成形は轆轤を用いず、浅い鉢のようなくぼみの曲面を利用して、器自身を転がしながら土を伸ばして作る。手びねりや紐作りでは掌のくぼみを使って土を伸ばしながら形をこしらえてゆくが、それに似た方法である。



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