弁天小僧
『青砥稿花紅彩画』より、「知らざあ言って聞かせやしょう」でお馴染み、弁天小僧の厄払いを紹介。
(ルビつき)
『青砥稿花紅彩画』
- 二代目河竹新七(後の河竹黙阿弥)作。1862年。市村座にて初演された、5幕8場の世話狂言。
- 「あおとぞうしはなのにしきえ」と読む。
- 白浪物(盗人をを主人公にした歌舞伎狂言)。
- ティーンエイジャーだった十三代目市村羽左衛門[1844〜1903](後の五代目尾上菊五郎)のために書き下ろされた。
- 以下のような通称がある。
- 弁天小僧(べんてんこぞう)
- 白浪五人男(しらなみごにんおとこ)
- 弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
- 音菊弁天小僧(おとにきくべんてんこぞう)など
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二幕目・第一場「雪の下浜松屋の場」より。
美しく女装した弁天小僧が、盗人仲間の南郷力丸を伴って、呉服商・浜松屋に現れる。
鼻の下を伸ばした番頭とたあいない話を交わしながら、弁天は懐に売り物の反物をしのばせる。
それを見た店側が人を呼び、万引きだと一騒ぎする。
弁天の額をそろばんでかち割ったりしたあげく、その反物は他の店で購入したものと判明。
濡れ衣だ、死ぬの殺すのと大騒ぎの末、弁天は百両で手を打とうとする
ところが玉島逸当に男であることを見破られ、ついに諸肌脱いで自分の正体を明かし、啖呵を切るくだりである。
初演の配役
- 弁天小僧 : 十三代目市村羽左衛門(五代目尾上菊五郎)
- 日本駄右衛門 : 三代目関三十郎
- 南郷力丸・青砥藤綱 : 四代目中村芝翫
- 忠信利平 : 初代河原崎権十郎(九代目市川團十郎)
- 赤星十三郎 : 三代目岩井粂三郎(八代目岩井半四郎)
- 浜松屋幸兵衛 :中村仲蔵
- 倅宗之助 : 尾上多賀之丞
- ほか
仮想劇団くじら座